株式会社Shido 調査レポート

採用・求人市場マーケティング資料〈関西2府4県〉

作成 2026年9月対象 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山(近畿2府4県)テーマ 採用状況・応募者の動き・求人広告・採用コスト・賃金・働き手の供給主な根拠 厚生労働省 一般職業紹介状況・各労働局/日本銀行 短観/総務省/全国求人情報協会/マイナビ・リクルート・doda・帝国データバンク

関西の求人広告は2026年7月に45.5万件と前年から16.6%増えました。増えたのは正社員の募集です。一方でハローワークの有効求人倍率は下がり続け、大阪府の就業地別の倍率は0.95倍と全国で最も低くなっています。それでも日銀短観では近畿の企業の人手不足感は強いままで、人手不足倒産は過去最多のペースです。「人はいるのに、欲しい職種・条件の人が来ない」のが、いまの関西の採用市場です。本資料は、関西で人を採る企業と、採用を支援する事業者のために、府県ごとの採用環境・応募者の動き・求人広告と採用コストを、公的統計と業界データからまとめたものです。

45.5万件
近畿の求人広告掲載件数(2026年7月)。前年同月比+16.6%。全国の18.6%
0.95倍
大阪府の有効求人倍率(就業地別・季節調整値、2026年7月)。全国最低。受理地別は1.12倍
−33
近畿の雇用人員判断DI(全産業、2026年6月短観)。非製造業は−42。先行きは−35とさらに不足へ
682万円
近畿の企業の年間中途採用費用(2025年実績)。全国は610万円。予算を約100万円超過
8.21倍
大阪府の高卒求人倍率(2027年3月卒、7月末)。全国3.60倍の2倍超
1,231円
大阪府の最低賃金(2026年度答申、10月1日発効予定)。2019年度から+267円
CHAPTER 1

採用市場の全体像 ── 倍率は下がっても、人手不足は深まる

ハローワークの求人倍率と、企業の人手不足感は、違う動きをしています。

有効求人倍率の推移 年平均、受理地別、単位:倍。厚生労働省「一般職業紹介状況」。
2019年は大阪府が1.78倍と全国を上回っていましたが、2025年は1.20倍まで下がりました。兵庫県は2025年に0.97倍と1倍を割っています。ハローワークに出る求人が減り、求職者が増えたためです。
近畿の雇用人員判断DI 「過剰」−「不足」、各年6月調査、全規模。日本銀行大阪支店「短観(近畿地区)」。
数字がマイナスに大きいほど人手が足りません。コロナ期に一度ゼロ近くまで戻った不足感は、2026年6月に全産業−33、非製造業−42とコロナ前を超えました。先行きは−35で、企業はさらに足りなくなると見ています。
指標数値時点出典
有効求人倍率(全国、季節調整値)1.18倍。正社員は1.00倍2026年7月厚生労働省 一般職業紹介状況
関西2府4県の有効求人倍率(原数値)1.03倍(有効求人35.8万人÷有効求職者34.8万人)。全国の原数値は1.15倍2026年7月同上、府県別の実数をShido合算
新規求人(全国)前年同月比−0.8%。製造+6.8%、宿泊飲食−10.7%、卸小売−7.3%2026年7月同上
正社員が不足している企業51.3%。非正社員は28.8%(飲食店57.7%)2026年7月帝国データバンク(n=10,518)
人手不足倒産2025年427件(過去最多)、2026年上半期227件(前年同期+12.4%)。10人未満の企業が77.0%2026年上半期帝国データバンク。東京商工リサーチの人手不足関連倒産は2026年上半期237件
求人広告掲載件数(全国)261.0万件(前年同月比+15.8%)。正社員+35.6%、アルバイト・パート−12.8%2026年7月全国求人情報協会
産業別の新規求人(全国) 2026年7月、前年同月比(%)。厚生労働省。
ハローワークの新規求人は、製造業(電子部品+43.7%)や医療福祉で増え、宿泊飲食・小売で大きく減っています。兵庫労働局の集計でも、医療福祉+7.6%、宿泊飲食−20.2%と同じ傾向です。飲食・小売の求人は、ハローワークではなく求人サイトやスキマバイトのアプリへ移っています。
読み方:有効求人倍率はハローワークに出た求人と求職者だけで計算します。民間の求人サイトや人材紹介の求人は含みません。求人広告が増えているのに倍率が下がるのは、企業が採用の窓口をハローワークから民間へ移しているためで、「人が余っている」ことを意味しません。企業の実感に近いのは短観の雇用人員判断DIです。
CHAPTER 2

府県別の採用環境 ── 大阪で出した求人が、周りの府県で人を探す

有効求人倍率には、求人を受け付けたハローワークで数える「受理地別」と、実際に働く場所で数える「就業地別」があります。

府県別の有効求人倍率 2026年7月、季節調整値、単位:倍。
受理地別就業地別
大阪府は受理地別1.12倍に対し、就業地別は0.95倍で全国最低です。大阪に本社がある企業の求人が、滋賀・奈良・兵庫の工場や店舗の求人として出ているためです。滋賀県は就業地別1.35倍で、関西で最も人が採りにくい府県です。
正社員の有効求人倍率 2025年平均、単位:倍。正社員求人÷パートを除く常用の求職者(Shido計算)。
正社員に限ると、1倍を超えるのは京都府だけです。兵庫県は0.79倍で、ハローワーク経由では正社員を希望する求職者のほうが多い状態です。正社員を希望する人は多いので、求人が「見つけられているか」「選ばれているか」が採用の成否を分けます。
府県有効求人倍率
受理地/就業地
有効求人数有効求職者数新規求人
前年同月比
完全失業率
2025年
就業者
2025年
求人広告件数
2026年7月
滋賀県1.07/1.3521,14421,070−0.5%2.3%77.2万人26,958(+11.0%)
京都府1.21/1.1951,54444,552−1.7%2.4%136.3万人55,610(+15.1%)
大阪府1.12/0.95175,294162,662−3.9%3.0%481.6万人240,827(+16.3%)
兵庫県0.93/1.0775,11784,536+0.7%2.4%280.6万人88,021(+10.0%)
奈良県1.11/1.2121,03619,991+5.0%2.2%66.0万人26,158(+38.9%)
和歌山県0.94/1.0314,06615,445−8.2%2.2%45.5万人17,293(+46.5%)
全国1.18/1.182,246,2251,960,390−0.8%2.5%-2,442,394(+16.4%)

倍率は2026年7月の季節調整値、求人数・求職者数・前年同月比は原数値。完全失業率・就業者は労働力調査の都道府県別モデル推計。求人広告件数は全国求人情報協会(括弧内は前年同月比)。

府県ごとの特徴

  • 大阪府:求職者も多い最大市場。失業率3.0%は関西で最も高く、転職した人の割合(4.9%)も最も高い。人は動くが、求人も多く、条件を比べられて選ばれる。
  • 京都府:正社員が採りにくい。正社員倍率1.04倍は関西で唯一1倍超。大学生は多いが、卒業後に府外へ出ていく(第8章)。
  • 兵庫県:数字は緩いが偏りが大きい。倍率0.93倍でも、建設・介護・警備は3倍超と、職種による差が大きい。
  • 滋賀県:工場の採用が厳しい。従業者の26.9%が製造業。就業地別1.35倍で、派遣・請負の外国人労働者比率が36.6%と高い。
  • 奈良・和歌山:広告は急増、人は減る。求人広告は前年比+39〜47%。2040年までに生産年齢人口が3割近く減る見込み。

中小企業が多い地域

92.3%
大阪府の事業所のうち従業者30人未満の割合。関西はどこも92〜95%
経済センサス 2021年
55.8%
和歌山県で30人未満の事業所で働く人の割合。奈良は51.3%、全国46.7%
同上
54.4万人
大阪府に府外から通勤する人。兵庫28.5万人・奈良12.4万人・京都8.2万人
国勢調査 2020年
41.4%
大阪府の障害者法定雇用率の達成企業割合。全国46.0%を下回る。2026年7月に法定率2.7%へ
厚生労働省 2025年
CHAPTER 3

職種別の人手不足 ── 事務は余り、現場は5倍を超える

職業別の有効求人倍率(常用・パートを含む、2026年7月)を、大阪・兵庫・京都の3府県で比べます。

職業別の有効求人倍率 2026年7月、原数値、単位:倍。大阪労働局・兵庫労働局・京都労働局。
大阪府兵庫県京都府
一般事務は大阪0.16倍(求職者6人に求人1件)と大幅に余る一方、建設・警備・建築土木の技術者は4〜8倍です。大阪府の訪問介護は14.92倍で、ほぼ採れない水準です。大阪は飲食物調理(3.53倍)と自動車運転(貨物3.21倍)も高く、観光・物流の需要が表れています。京都は施工管理と建設の不足が特に深刻です。
比較の注意:大阪は厚生労働省編職業分類(2023年改定)、兵庫・京都は日本標準職業分類(2009年改定)で、区分が完全には一致しません。大阪の介護は施設介護、自動車運転は貨物、情報処理はソフトウェア開発の値です。京都は常用とパートの人数を合算して計算しました(Shido計算)。
転職求人倍率(職種別、全国) 2026年8月、単位:倍。doda(パーソルキャリア)。全体2.86倍。
転職サービスの登録者で見ても、ITエンジニアは12倍、機械・電気エンジニアは6.8倍です。事務・アシスタントは0.65倍で、ハローワークと同じく人が余っています。求人数は前年同月比+18.7%、転職希望者は+0.3%で、中途採用の競争は1年で強まりました。

職種で変わる採用の打ち手

  • 事務・アシスタント(0.2〜0.7倍):応募は集まる。課題は選考の手間と見極め。応募の絞り込み・適性検査・Web面接で工数を下げる。
  • 販売・接客・調理(1.3〜3.5倍):時給と勤務時間の柔軟さで選ばれる。スキマバイトや短時間シフトの受け皿を作る。
  • 介護・看護・警備・運転(2〜5倍):資格者の取り合い。資格取得支援・未経験採用・シニア採用で母集団を広げる。
  • 建設・施工管理・ITエンジニア(4〜12倍):求人を出して待つだけでは採れない。人材紹介・ダイレクトリクルーティング・リファラルで「探しに行く」。
CHAPTER 4

求人広告の動向 ── 正社員の広告が急増、アルバイトは減少

全国求人情報協会が集計する主要15媒体の求人広告掲載件数(週平均、派遣・職業紹介を除く)で、関西の広告量を見ます。

近畿の求人広告掲載件数(月次) 2024年8月〜2026年7月、単位:万件。全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果」。
近畿の掲載件数は2025年3月の46.7万件をピークに、2026年1月には34.6万件まで3割近く減りました。2026年春から再び増え、7月は45.5万件と前年同月比+16.6%です。大阪府はそのうち24.1万件(53%)を占めます。
府県別の求人広告掲載件数 2026年7月、単位:件(括弧内は前年同月比)。
伸び率は和歌山県+46.5%、奈良県+38.9%と、周辺県が大阪府(+16.3%)を大きく上回ります。人口が減る地域ほど、1人を採るために広告を増やしています。
雇用形態別の求人広告(全国) 2026年7月、前年同月比(%)。
正社員の求人広告は175.3万件で前年から約3分の1増え、アルバイト・パートは72.9万件で1割以上減りました。アルバイトの募集は、スキマバイトのアプリ(タイミーの登録ワーカー1,470万人、登録事業所48.8万拠点)や店頭・SNSでの直接募集に一部が移っています。
求人情報提供サービスの市場規模(全国) 年度、単位:億円。全国求人情報協会。
求人広告(求人サイト・情報誌など)の市場は2024年度6,661億円です。これとは別に、求人検索エンジン(アグリゲーター)やソーシャルリクルーティングなど新しい形のサービスが3,938億円あり、合わせると1兆円を超えます。お金の流れは「掲載課金の求人サイト」から「クリック課金の求人検索」へ移っています。

媒体の変化

  • 求人検索エンジンが主役に。Indeed・求人ボックスなどを使う企業は44.2%(近畿45.4%)で、転職サイト(47.1%)に並ぶ。
  • 紙の求人は縮小。アルバイトの仕事探しで求人紙を使った人は30.6%(2024年)→25.1%(2026年)。企業の利用も折込17.0%、フリーペーパー16.4%。
  • SNS採用が伸びる。SNSを採用に使う企業は28.5%(前年+4.6pt)。ただし求職者側は仕事探しにSNSを使う人が8.0%で、10代(29.9%)以外ではまだ補助的。
  • 「どこに出すか」より「どう書くか」。同じ求人が複数の検索エンジンに転載されるため、職種名・勤務地・給与の書き方と、写真・仕事内容の具体性で表示順と応募率が決まる。
注意:協会の集計は2023年10月以前と2024年8月以降で方法が変わり、つながりません(近畿の旧集計の年平均は2019年25.4万件、2023年1〜10月21.8万件)。市場規模も2022年度以前とは定義が違うため、推移は参考です。
CHAPTER 5

応募者の動き ── 探すのは転職サイト、決め手は「連絡の速さ」

求職者がどこで仕事を探し、何で応募先を決めるのかを、民間調査で見ます。

転職者が使ったサービス 2025年に転職した正社員(%)。マイナビ「転職動向調査2026年版」(n=1,446)。
情報収集応募
転職サイトが情報収集・応募とも最も多く、人材紹介・求人検索エンジン・ハローワークが続きます。求人検索エンジンは「見る」18.0%に対して「応募する」13.6%と差が大きく、検索で見つけた求人を、企業の採用ページや転職サイトで確かめてから応募する人が多いと考えられます。正社員の転職率は7.6%で過去最高です。
アルバイトの仕事探しに使った手段 (%)。マイナビ「アルバイト就業者調査」(n=9,000)。
2024年2026年
求人サイト・アプリが中心で、求人紙は2年で5.5pt減りました。勤務先を決めた理由は「応募後すぐに企業から連絡がきた」が39.9%、「すぐに合否の連絡がきた」が30.1%で、応募から採用まで1週間未満だった人が35.4%です。
関西の中途採用市場の指数 2021年度10〜12月期=100、2026年1〜3月期。リクルートエージェント「転職市場インサイト」。
関西の企業の採用予定人数は4年余りで3.8倍に増えましたが、求職者は2.1倍、応募数は3.0倍にとどまります。採用したい人数の伸びに、応募の伸びが追いついていません。
過去1年に転職した人の割合 有業者に占める割合(%)、2022年。総務省「就業構造基本調査」(Shido計算)。
大阪府は転職者の割合が4.9%、転職希望者も9.9%で関西で最も高く、人がよく動く市場です。和歌山県は3.3%と低く、今いる人に長く働いてもらう「定着」の比重が大きくなります。
項目数値出典
正社員求人の応募数(本社所在地別、前年同月比)京都府217.3%、滋賀県196.8%、大阪府133.8%(全国103.0%)。求人件数は滋賀184.6%、奈良183.3%、京都151.3%マイナビ転職 2026年8月
仕事選びの軸「自分にできそうか」64%、「希望条件に合うか」54%、「給与アップ」50%エン「求職者の心理2026」(n=2,162)
前職を辞めた理由(転職入職者)女性は「労働時間・休日等の条件が悪い」12.9%、「職場の人間関係」11.5%。男性は「給料等収入が少ない」9.9%厚生労働省 雇用動向調査 2025年
転職後の賃金増えた40.8%、減った31.0%同上
府県別の入職率/離職率(2025年)京都13.8%/17.5%、大阪13.6%/14.6%、兵庫12.8%/13.6%、滋賀12.3%/13.0%、奈良20.4%/14.4%、和歌山21.7%/14.9%(全国14.7%/13.7%)同上。府県別は標本が少なく参考値
マーケティング上の含意:求職者は「自分にできそうか」を最初に確かめ、応募後は返事の速い会社に決めます。求人原稿で仕事内容と1日の流れを具体的に見せること、応募から24時間以内に連絡する体制を作ることは、広告費を増やさずに応募と採用を増やせる手段です。
CHAPTER 6

採用手法とコスト ── 関西の企業は全国より多く払っている

マイナビ「中途採用状況調査2026年版」(2025年実績、n=1,500、うち近畿222〜262社)から、採用手法と費用を見ます。

中途採用で使った手法 利用率(%)。マイナビ。
全国近畿
近畿の企業は、転職サイト(52.3%)・自社ホームページ(47.3%)・ハローワーク(43.1%)をいずれも全国より多く使い、ダイレクトリクルーティングやリファラルはやや少なめです。「広告を出して待つ」手法に頼る傾向が強いといえます。
手法別の年間費用(全国) 利用企業の平均、単位:万円。マイナビ。
費用が最も大きいのは人材紹介で、求人広告の3倍です。人材紹介は成功報酬(年収の30〜35%程度が一般的)のため、採りにくい職種ほど費用がかさみます。
682.2万円
近畿の年間中途採用費用(全国609.9万円)。予算580.4万円を101.8万円超過
マイナビ 2025年実績
約61万円
近畿の1人あたり採用費の目安(682.2万円÷採用11.2人)。全国は約50万円
Shido計算
71.1%
近畿の目標人数に対する採用数(平均目標15.7人・採用11.2人)。全国73.3%。目標を下げた企業が多く、「達成した企業」は全国92.9%
マイナビ
15.0%
中途採用の内定辞退率(全国)。前年9.3%から急上昇
マイナビ
59.9%
新卒採用の総費用が前年より「増えた」関西の企業(全国49.3%)
就職白書2026(n=142)
20.4%
近畿の応募者のうち採用に至った割合(11.2人÷55.0人)。全国18.0%
Shido計算
マーケティング上の含意:関西の企業は、全国より多くの費用をかけ、全国より少ない応募で、目標に届いていません。応募から採用までの歩留まりは全国より良いので、課題は「応募の数」です。費用を人材紹介に積み増す前に、求人検索エンジンと自社採用ページで応募を増やす余地があります。内定辞退率が上がっているため、内定後の連絡と入社前の接点も費用対効果の大きい改善点です。
注意:1人あたり採用費は平均費用÷平均採用数の目安で、職種や手法の違いを含みません。近畿の値は回答200社余りの集計です。
CHAPTER 7

賃金と募集条件 ── 最低賃金が募集時給に追いついてきた

最低賃金は2019年度から約3割上がりました。募集時の時給との差は100円前後まで縮んでいます。

地域別最低賃金の推移 年度、単位:円。厚生労働省。2026年度は答申額。
2026年度の答申は大阪府1,231円(+54円、10月1日発効予定)、京都府1,180円(+58円、11月16日)、兵庫県1,172円(+56円)です。京都は国の目安を2円上回りました。和歌山・奈良は発効が10月上旬です。
募集時の平均時給と最低賃金 単位:円。アルバイト・パートの募集時平均時給(2026年2月、リクルート)と2026年度最低賃金(答申)。
募集時平均時給最低賃金 2026年度
どの府県でも、募集時の平均時給と新しい最低賃金の差は85〜101円しかありません。10月以降は多くの求人で時給の引き上げが必要になり、「最低賃金+α」だけでは違いが出せなくなります。
府県一般労働者の
所定内給与(月額)
短時間労働者の
時給
最低賃金
2025年度→2026年度
アルバイト募集時
平均時給(2026年2月)
滋賀県32.7万円1,372円1,080→1,136円1,226円
京都府33.7万円1,580円1,122→1,180円1,281円
大阪府34.9万円1,658円1,177→1,231円1,318円
兵庫県33.5万円1,448円1,116→1,172円1,257円
奈良県32.2万円1,587円1,051→1,107円1,194円
和歌山県30.2万円1,292円1,045→1,101円1,190円
全国34.1万円1,518円1,121→1,177円(加重平均)-

所定内給与・短時間の時給は賃金構造基本統計調査2025年(企業規模10人以上)。募集時平均時給はリクルート(現IRPリサーチセンター)の調査で、同調査は2026年2月分で終了。

5.07%
連合大阪の2026春闘 賃上げ率(16,202円)。300人未満は4.47%
連合大阪 2026年7月
62.9%
2026年度に賃金改善を見込む近畿の企業。過去最高。理由の1位は「労働力の定着・確保」74.1%
帝国データバンク(n=1,634)
1,280〜1,326円
関西のアルバイト募集時平均時給(2026年8月)。マイナビバイト1,280円(前年比−2.3%)、バイトル1,326円
マイナビ・ディップ
23.7万円
大卒初任給(2026年4月入社、全国)
リクルートワークス研究所

募集条件で差をつける

  • 時給は横並びになる。最低賃金の上昇で、募集時給の差は数十円に縮む。時給以外の条件(シフトの自由・短時間・交通費・まかない・研修)を具体的に書く。
  • 正社員は「年収の上がり方」を見せる。転職で賃金が増えた人は40.8%。初年度だけでなく、3年後・5年後の年収モデルを示す。
  • 休日と働き方は必須項目。女性の退職理由の1位は労働時間・休日。年間休日・残業時間・有給取得率を数字で出す。
CHAPTER 8

働き手の供給 ── 若者は大阪へ集まり、東京へ出ていく

人口の移動、通勤圏、外国人・女性・シニアの就業から、関西で採用できる人の広がりを見ます。

20〜24歳の転入超過数 2025年、単位:人。総務省「住民基本台帳人口移動報告」。
就職の年代にあたる20〜24歳は、大阪府だけが8,567人の転入超過で、ほかの5府県はすべて転出超過です。関西の若者は大阪に集まります。
東京圏に対する転入超過数 2025年、全年齢、単位:人。同上。
その大阪府も、東京圏に対しては9,133人の転出超過です。関西全体では東京圏へ約2.2万人が流出しており、若手・専門人材を東京の企業と取り合う構図が続いています。
生産年齢人口(15〜64歳)の変化 2020年→2040年(%)。国立社会保障・人口問題研究所(令和5年推計)。
働き手の人口は2040年までに関西のどこでも15%以上減ります。奈良・和歌山は約3割減で、今の採用のやり方を続けるだけでは人が確保できなくなります。
外国人労働者数 2025年10月末、単位:人(括弧内は前年比)。厚生労働省「外国人雇用状況」。
大阪府の外国人労働者は20.8万人で前年から19.1%増え、全国(+11.7%)を大きく上回ります。大阪は留学生のアルバイト(資格外活動)が27.2%、技術・人文知識・国際業務が23.0%を占め、接客・事務・ITでも外国人の採用が広がっています。滋賀県は派遣・請負経由が36.6%と工場中心です。
府県有業率女性25〜44歳
有業率
育児中の女性
有業率
65歳以上
有業率
副業者比率非正規の割合昼夜間人口比率
滋賀県62.8%80.1%70.4%26.4%4.6%40.2%96.9
京都府60.2%83.6%76.1%25.0%7.5%40.7%101.7
大阪府59.9%78.0%70.3%23.0%4.8%39.8%103.9
兵庫県57.9%77.3%69.7%22.4%4.8%39.2%96.1
奈良県55.1%76.9%69.6%21.9%4.9%40.6%91.1
和歌山県57.4%79.2%71.1%25.3%5.6%38.1%98.5
全国60.9%81.1%73.4%25.3%4.8%36.9%-

総務省「令和4年就業構造基本調査」(2022年10月)。女性・育児中・65歳以上の有業率と非正規の割合(正規+非正規に占める割合)はShido計算。昼夜間人口比率は国勢調査2020年。

読み方:育児中の女性と65歳以上の有業率は、京都府を除いて全国を下回ります。特に兵庫・奈良・大阪は、働いていない子育て世代の女性とシニアが多い地域です。短時間勤務・扶養内・在宅・送迎時間に合わせたシフトの求人は、競合の少ない層に届きます。
CHAPTER 9

新卒・若手の採用 ── 大阪の高卒は8倍、大学生は京都・大阪に集まる

高卒・大卒の求人倍率と、関西の大学生の進学・就職の流れを見ます。

高卒者の求人倍率 2027年3月卒、2026年7月末時点、単位:倍(括弧内は前年同期差)。厚生労働省。
大阪府の高卒求人倍率は8.21倍で、全国の2倍以上です。求人数も前年から6.0%増えました。大阪の企業にとって高卒採用は「1人の生徒を8社で取り合う」市場で、学校との関係づくりと早い時期の職場見学が欠かせません。奈良県は求職者が38%増えて1.80倍に下がりました。
大卒求人倍率(全国) 卒業年、単位:倍。リクルートワークス研究所。
2027年卒の大卒求人倍率は1.62倍で2年続けて低下しましたが、従業員300人未満の企業の求人は38.5万人と全体の半分を占めます。業種別では建設の求人が+16.3%と大きく増えています。
府県大学数大学生数地元の大学へ
進学した割合
大学入学者の
流入超過
出身府県で
就職したい学生
高卒 2026年3月卒
求人倍率・内定率
滋賀県931,13118.9%−524人31.2%3.14倍・99.0%
京都府34173,90254.6%+20,263人39.9%5.56倍・97.5%
大阪府58262,99861.3%+13,119人74.6%8.97倍・99.4%
兵庫県35124,52646.0%−1,505人39.2%4.52倍・99.0%
奈良県1021,14815.1%−3,347人3.4%3.07倍・98.5%
和歌山県510,19417.6%−2,194人5.4%※2.88倍・98.6%

大学数・学生数・進学は文部科学省「学校基本調査」2025年度(地元進学割合はShido計算)。出身府県で就職したい学生はマイナビ「2027年卒 大学生Uターン・地元就職に関する調査」(※和歌山は回答11人で参考値)。高卒はいずれも3月末時点。

若手採用のポイント

  • 関西の大学生は関西に残りたい。関西2府4県の高校出身者の87.9%が関西の大学に進み、地元外に進学した学生で地元就職を望む割合も関西が61.4%と全国で最も高い。
  • 京都は「集まるが残らない」。京都府は大学入学で2万人を集めるが、20代で転出超過。京都の企業は在学中のインターンやアルバイトで早くから接点を持つことが効く。
  • 奈良・和歌山出身者は大阪で働く。出身県で就職したい学生は1割に満たない。地元企業は大阪への通勤圏・UIJターン・奨学金返還支援で呼び戻す。

府県の採用支援制度

  • 兵庫県:兵庫型奨学金返済支援。県内中小企業の40歳未満の正社員が対象。1人年6万円まで、最長17年間。
  • 京都府:就労・奨学金返済一体型支援。企業の手当の1/2以内、就職後1〜3年目は年9万円まで。京都ジョブパークでUIJターン支援。
  • 大阪府:奨学金返還支援の導入促進支援金は2025年度で終了。OSAKAしごとフィールドで求職者と企業のマッチングを支援。
  • 内定辞退:学生1人あたりの内定辞退は関西1.60社(全国1.63社)。複数内定が当たり前で、内定後のフォローが採用数を左右する。
CHAPTER 10

Shidoからのご提案
見つけられ、選ばれ、辞めない会社へ

ここまでのデータから、関西で人を採る企業と、採用を支援する事業者が取るべき打ち手を整理します。

1. 採用は「府県」ではなく「通勤圏」で考える

大阪府の就業地別の倍率は全国最低でも、滋賀は1.35倍です。奈良の通勤者の23.9%、兵庫の13.0%が大阪に通っています。勤務地から通勤60分圏の住所と沿線で配信地域を決め、求人原稿に最寄り駅と通勤時間を書くと、府県をまたいだ応募を取り込めます。

Shidoができること:通勤圏の分析にもとづく配信地域の設計(リサーチ&インサイト)、最寄り駅・通勤時間を載せた求人原稿と求人広告の運用(Webサイト・コンテンツ制作/デジタルマーケティング)。

2. 求人検索エンジンと自社採用ページを整える

企業の44〜45%が求人検索エンジンを使い、転職者は検索で見て、確かめてから応募します。職種名・給与・勤務地を検索される言葉で書くこと、自社の採用ページに社員の声・1日の流れ・写真を載せることは、広告費を増やさずに応募率を上げる基本です。

Shidoができること:検索される言葉で書いた採用ページの制作と、社員の声・1日の流れの撮影(Webサイト・コンテンツ制作/撮影・映像制作)、求人検索エンジン向けの原稿整備(デジタルマーケティング)。

3. 応募から24時間以内に連絡する

アルバイトの39.9%が「応募後すぐ連絡がきた」ことで勤務先を決め、中途の内定辞退率は15.0%に上がりました。応募への即日連絡、面接日程の自動調整、内定後の定期連絡を仕組みにすると、同じ応募数でも採用数が増えます。

Shidoができること:応募後の自動返信・面接日程の調整・内定後の連絡を載せたLINE公式アカウントの設計(デジタルマーケティング)、選考案内ページの制作(Webサイト・コンテンツ制作)。

4. 職種で手法を分ける

事務は応募が集まり、建設・施工管理・ITは4〜12倍です。応募が集まる職種は求人広告と選考の効率化、採れない職種は人材紹介・ダイレクトリクルーティング・リファラルと、予算を職種ごとに配分し直すことで、近畿の1人あたり約61万円の採用費を下げられます。

Shidoができること:職種ごとの採用費配分を見直す分析(リサーチ&インサイト)、職種別の求人広告・ダイレクトリクルーティング向けのコンテンツ制作(デジタルマーケティング/Webサイト・コンテンツ制作)。

5. 働いていない層に届く求人を作る

関西は育児中の女性とシニアの有業率が全国より低く、外国人労働者は大阪で+19%と急増しています。短時間・扶養内・送迎に合う時間帯・未経験可・やさしい日本語の求人は、競合の少ない層から応募を集めます。

Shidoができること:短時間・扶養内・未経験可・やさしい日本語の求人ページと広告の制作(Webサイト・コンテンツ制作/デジタルマーケティング)、シニア・育児中の層に向けたチラシ・広告(デザイン/マス・メディア広告)。

6. 賃上げを「見える条件」にする

最低賃金は大阪で1,231円になり、募集時給との差は100円を切りました。近畿の企業の62.9%が賃上げを予定しています。昇給の実績、年収モデル、年間休日、残業時間を数字で出すことで、時給の横並びから抜け出せます。定着が進めば、採用の必要数そのものが減ります。

Shidoができること:昇給実績・年収モデル・年間休日を数字で伝える採用ページと求人原稿の制作(Webサイト・コンテンツ制作)、採用ブランドの整理(ブランディング戦略)。

ご提案:貴社の採用データをお預かりできれば、職種・エリア別の採用戦略にできます

本資料は公的統計と業界調査に基づく関西全体の汎用版です。以下の情報をお預かりできれば、貴社の職種・勤務地・採用目標に合わせて、配信エリア・媒体の配分・求人原稿・選考フローまで具体的にご提案します。

媒体別の応募・採用実績

求人サイト・求人検索エンジン・人材紹介・ハローワーク・SNSごとの費用、応募数、面接数、採用数。どの媒体の1人あたり費用が高いかを職種別に出します。

応募者データ(採用管理システム)

応募日時・住所・年齢・経験と、連絡までの時間。どの地域・層から応募が来て、どこで辞退されているかを地図と数字で示します。

求人原稿と採用ページ

現在の求人票・原稿と、採用ページのアクセスデータ。検索での見つけられやすさと、応募までの離脱を点検し、書き換え案を作ります。

在籍者の通勤圏と前職

社員・スタッフの居住地、通勤手段、前職、入社経路。定着している人と同じ層が多い地域と媒体を割り出します。

給与・勤務条件

職種別の給与、シフト、休日、手当。近隣の競合求人と比べた条件の位置を示し、見せ方と改善の優先順位を決めます。

退職・内定辞退の記録

退職者の在籍期間と理由、内定辞退の理由。辞める前・辞退する前の兆しを見つけ、定着とフォローの施策に落とし込みます。

進め方:データはExcel・CSV・採用管理システムのエクスポートのままで結構です。お預かりから2週間で、職種・エリア別の採用難易度、媒体別の費用対効果、配信エリアと予算配分の案、求人原稿の改善案をまとめてご報告します。

SOURCES

出典と注意事項

  1. 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」2026年8月28日公表、報道発表資料および職業安定業務統計(e-Stat 第11表 受理地別 statInfId=000040492561、第15表 000040492565、第18表 就業地別 000040492568、第19表 正社員 000040492569)。年平均は各年の同統計。
  2. 大阪労働局「職種別有効求人倍率及び求人求職賃金」、兵庫労働局「職業紹介状況」第5表、京都労働局「求人・求職バランスシート」(いずれも2026年7月分)。
  3. 総務省統計局「労働力調査 都道府県別結果(モデル推計値)」2025年平均(e-Stat statInfId=000031952605)。
  4. 日本銀行大阪支店「全国企業短期経済観測調査(近畿地区)」2026年6月調査(2026年7月1日公表)および時系列。日本銀行「短観(全国)」2026年6月調査。
  5. 厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」2026年3月卒(3月末現在)、2027年3月卒(7月末現在)。
  6. 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」(令和7年度)、「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」2026年9月3日公表。
  7. 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況(令和7年10月末時点)」2026年1月30日公表。「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」2025年12月19日公表。
  8. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」都道府県別(e-Stat statInfId=000040421202、000040420945、000040420948)。「令和7年雇用動向調査」2026年8月31日公表。
  9. 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」。総務省「人口推計」2024年10月1日現在。総務省「住民基本台帳人口移動報告 2025年」(2026年2月3日公表)。総務省「令和2年国勢調査」従業地・通学地集計。
  10. 総務省「令和4年就業構造基本調査」結果の概要および地域結果(e-Stat 第1-1表ほか)。総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」。文部科学省「令和7年度学校基本調査」。
  11. 公益社団法人全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果」2026年7月分(2026年8月25日)、旧集計(2018年1月〜2023年10月)、「求人情報提供サービス市場規模」(2026年2月13日)。
  12. マイナビ「中途採用状況調査2026年版」(2026年3月27日)、「転職動向調査2026年版」(2026年3月23日)、「正社員の求人件数・応募数推移」2026年8月、「アルバイト就業者調査2026」、「SNSのアルバイト探しと闇バイトに関する調査」、「アルバイト・パート平均時給レポート」2026年8月、「2027年卒 大学生Uターン・地元就職に関する調査」(2026年5月)。
  13. リクルート ジョブズリサーチセンター(現IRPリサーチセンター)「アルバイト・パート募集時平均時給調査」「派遣スタッフ募集時平均時給調査」2026年2月度。リクルートエージェント「転職市場インサイト 2025年度1-3月期」(2026年4月27日)。リクルートワークス研究所「第43回 ワークス大卒求人倍率調査(2027年卒)」(2026年4月23日)。就職みらい研究所「就職白書2026」(2026年2月20日)。
  14. パーソルキャリア doda「転職求人倍率レポート」2026年8月(2026年9月17日)。ディップ「バイトル 平均時給レポート」2026年8月(2026年9月14日)。エン「求職者の心理2026」。
  15. 帝国データバンク「人手不足倒産の動向(2025年)」「同(2026年上半期)」「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」「2026年度の賃金動向に関する企業の意識調査(近畿)」。東京商工リサーチ「人手不足関連倒産」。連合「2026春季生活闘争 最終回答集計」、連合大阪「2026春季生活闘争 第7回集計」。
  16. タイミー「2027年4月期 第1四半期 決算説明資料」(2026年9月10日)。兵庫県・京都府・大阪府の奨学金返還支援制度の各ページ、京都ジョブパーク、OSAKAしごとフィールド。
注意事項:有効求人倍率はハローワーク経由の求人・求職のみを対象とし、民間の求人サイトや人材紹介は含みません。関西2府4県の合計倍率はShidoが府県別の実数を合算したものです。職業別倍率は府県で職業分類が異なり、厳密には比較できません。短観の近畿分は単純集計値、全国は母集団推計値です。求人広告掲載件数は協会会員など主要15媒体の週平均で、2023年10月以前とは集計方法が異なります。民間調査(マイナビ・リクルート・doda・エンなど)は各社の登録者・会員を対象としたもので、近畿の値は標本が数百以下です。雇用動向調査の府県別値は標本が少なく参考値です。最低賃金の2026年度額は答申段階で、発効日は予定です。