第 1 章
関西の犬飼育世帯の規模 ── 登録頭数という実数がある
全国で犬を飼っている世帯は501.1万世帯、全世帯の8.50%です。関西2府4県では約82万世帯と推計され、猫(約77万世帯)とほぼ同じ規模です。犬は市町村に登録する義務があるため、府県や主要市ごとの実数から推計できます。
501.1万世帯
全国の犬飼育世帯(2025年)
全世帯の8.50%/1世帯あたり1.36頭
682.0万頭
全国の推計飼育頭数(2025年)
2013年は871.4万頭。2024年から下げ止まり
604.9万頭
全国の犬の登録頭数(令和6年度末)
推計飼育頭数の約89%
99.1万頭
関西2府4県の登録頭数(令和6年度末)
うち大阪府41.3万頭
約82.1万世帯
関西2府4県の犬飼育世帯(推計)
うち一戸建てに住む世帯 約54.1万(66%)
45.1万頭
全国の新規飼育頭数(2025年)
2021年の39.7万頭から増加
推計の方法
| 手順 | 使った数値 | 出典 |
| ① 登録頭数を実際の飼育頭数に直す | 全国の推計飼育頭数682.0万頭÷登録頭数604.9万頭=1.128倍。登録されていない犬の分を全国一律で上乗せ | ペットフード協会 2025年/厚生労働省 衛生行政報告例 令和6年度 |
| ② 世帯数に直す | 飼育頭数÷1世帯あたり1.36頭 | ペットフード協会 2025年 |
| ③ 一戸建てと集合住宅に分ける | 犬の現在飼育率は一戸建て12.6%・マンション6.1%(2.07倍)。全国の世帯飼育率8.50%に合わせて一戸建て世帯11.28%・集合住宅世帯5.46%とし、各地の住宅構成で按分 | ペットフード協会 2025年/住宅・土地統計調査 令和5年 |
| ④ 登録頭数が個別に公表されていない市区 | 交野市と大阪市の区は、③の住宅構成モデルで推計。大阪市の区は、大阪市全体の登録水準に合わせて0.82倍に補正 | 同上 |
登録頭数が個別に公表されているのは、府県・政令市・中核市だけです。大阪府の場合、交野市などの府所管の市は「府所管分の合計」しかありません。住宅構成だけで推計した値と登録頭数から推計した値を比べると、大阪府は32.5万世帯と34.2万世帯でほぼ一致します。ただし大阪市は住宅構成モデルが10.2万世帯、登録ベースが8.3万世帯と、モデルが2割多く出ます。府県間で登録率に差があるかどうかは公表されておらず、①の上乗せ率は全国一律です。
府県別の犬飼育世帯(登録頭数から推計)
一戸建てに住む犬飼育世帯集合住宅・長屋に住む犬飼育世帯
単位は世帯。右端は1,000世帯あたりの登録頭数(全国は108.7頭)。数では大阪府が約34.2万世帯と最多ですが、1,000世帯あたりの登録頭数は98.3頭と全国を下回ります。滋賀県(136.9頭)・和歌山県(125.7頭)・兵庫県(116.7頭)は全国より多く、一戸建ての多い地域ほど犬の密度が高い傾向です。
主要市の犬の登録密度
京阪4市・大阪市・豊中市(広告配信6市)そのほかの関西の主要市
1,000世帯あたりの登録頭数(令和6年度末、主世帯数は令和5年住宅・土地統計調査)。右端は推計した犬飼育世帯数。寝屋川市128.6頭・枚方市110.9頭・高槻市107.0頭と、京阪3市は全国並みかそれ以上です。大阪市は66.2頭と主要市で最も低く、豊中市も87.6頭にとどまります。交野市は登録頭数が個別に公表されていないため載せていません。
第 2 章
誰が犬を飼っているか ── 子育て世帯ほど犬がいる
猫では子育て世帯の飼育率が平均並みでしたが、犬は違います。既婚で子どものいる男性の犬飼育率は14〜16%と、全体平均の10.2%を大きく上回ります。犬は「家族で飼う動物」で、戸建てを建てる子育て世帯と最も重なるペットです。
11.48%
二人以上世帯の犬飼育率(2024年)
単身世帯は4.77%。約2.4倍(猫は1.8倍)
14.3〜16.2%
既婚・子ありの男性の犬飼育率
年代3区分の範囲(2024年)。全体は10.2%
9.3%
20代の犬の飼育意向
いま飼っていない人のうち。全体は7.1%
48.2%
犬を飼ったきっかけ1位
「日々の生活に癒しや安らぎが欲しい」(2025年)
家族構成・性別・年代別の犬飼育率
20〜30代40〜50代60〜70代
個人ベースの犬の現在飼育率(%)。ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査 2024年(全体10.2%、n=50,000)。既婚・子ありの男性は20〜30代16.2%・40〜50代14.3%・60〜70代15.3%。未婚で親と同居する20〜30代も14%台と高く、実家の犬です。単身の女性は5〜6%台と低くなります。配偶者なし・子ありの男性20〜30代(26.7%)はn=38の参考値です。
これから犬を飼いたい人(いま飼っていない人の飼育意向)
年代別の新規飼育意向率(%、2024年、全体7.1%)。20代9.3%が最も高く、30〜50代も7%台で、猫(全体5.7%)より高い水準です。
単身・未婚親同居の性年代別(%、2024年)。単身女性20〜30代が15.1%と突出します。いまは飼えていない単身の若い女性が、住まいを変えるときに犬を迎える候補です。
第 3 章
住まいが犬の飼育を決めている
犬は猫以上に住まいの形に左右されます。一戸建てに住む人の犬飼育率はマンションの2.1倍(猫は1.8倍)。飼いたいのに飼っていない理由を一つだけ選ばせると、1位は「集合住宅で禁止されている」で24.1%。2位「お金がかかる」9.8%の2倍以上です。
住居形態別の犬飼育率と飼育意向(全国・2025年)
いま犬を飼っている人の割合飼っていない人のうち「今後飼いたい」割合
個人ベース(%)。ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査 2025年(n=50,000)。飼っている率は一戸建て12.6%・マンション6.1%、持ち家11.5%・賃貸5.8%。飼いたい率は賃貸7.9%・マンション7.3%と、持ち家・一戸建て(6.2〜6.3%)を上回ります。猫と同じ「ねじれ」が、犬ではより大きく出ています。
内閣府の世論調査(平成22年、n=1,939)でも同じ構図です。 ペットを飼っている人は一戸建て40.1%・集合住宅19.3%。飼っている人のうち犬は一戸建て62.5%・集合住宅36.9%で、全体に占める犬の飼育率に直すと一戸建て25.1%・集合住宅7.1%(本資料の計算値)と3.5倍の差でした。集合住宅に住んでペットを飼っていない人の74.3%が、理由に「禁止されているから」を挙げています。
犬を飼いたいのに飼っていない理由
複数回答(%)。右端はいちばんの理由(単一回答)。ペットフード協会 2024年 調査③(いま犬を飼っていないが今後飼いたい人、n=706)。複数回答では「お金がかかる」29.7%と「集合住宅で禁止」28.5%がほぼ並びますが、いちばんの理由では「集合住宅で禁止」24.1%が突出します。「散歩が大変そう」13.2%、「家や庭が狭い」11.0%も、住まいに関わる理由です。
「集合住宅で禁止されているから」の年代別(%、複数回答、2024年)。20代45.4%、30代33.3%。「家や庭が狭い」も20代18.5%・40代15.5%と、若い世代ほど住まいが壁になっています。
分譲マンションの管理組合のうち、犬・猫等の飼育を「禁止している」割合(%)。国土交通省 マンション総合調査 平成30年度(n=1,688)。全体では40.3%が禁止、49.3%が「種類・サイズ等を限定して容認」です。容認でも大きさで制限されるのが通例で、中型・大型犬はマンションではさらに飼いにくくなります(サイズ制限の割合は公表されていません)。
賃貸住宅と犬
19.3%
賃貸物件に占める「ペット可」
LIFULL HOME'S 2025年3月。2022年は12.9%
+3.5万円
ペット可物件の平均掲載賃料の差
可112,771円/不可78,253円
91.6%
ペット連れの住まい探しで不便があった
1位「ペット可物件が少ない」34.4%(犬猫合算)
62.8%
飼いたいのに飼えない理由「賃貸で禁止」
パナソニック ホームズ、首都圏の賃貸居住者(犬猫合算)
LIFULL「ペット可賃貸に関する調査」(2025年5月発表)、パナソニック ホームズ「賃貸住宅におけるペット飼育に関する意識調査」(2025年2月発表)。賃貸でペットを飼うと、国土交通省の原状回復ガイドラインでは「ペットによる柱等のキズ・臭い」は借り手の負担とされます。
第 4 章
関西の住宅構成と犬 ── 重点エリアの地図を「犬」で読む
広告の重点エリアに絞って並べます。コアの交野市と2次商圏の枚方・寝屋川・高槻の4市(本資料では「京阪4市」)には、犬を飼う世帯が約4.3万あり、その71%が一戸建てに住んでいます。猫(3.9万世帯・68%)より多く、より一戸建てに寄っています。大阪市の京阪沿線4区(都島・城東・旭・鶴見)は約1.4万世帯で、6割近くが集合住宅です。
重点エリアの犬飼育世帯の住まい(推計)
一戸建てに住む犬飼育世帯集合住宅・長屋に住む犬飼育世帯
単位は世帯。枚方・寝屋川・高槻・豊中は登録頭数から、交野市と京阪沿線4区は住宅構成モデルから推計しました。京阪4市の合計4.3万世帯のうち、一戸建てに住むのは3.0万世帯(71%)。交野市は83%が一戸建てです。京阪沿線4区は1.4万世帯で、一戸建ては42%です。
| 市・区 | 主世帯数 | 一戸建て比率 | 持ち家率 | 犬の登録頭数 (令和6年度末) | 犬飼育世帯 (推計) | うち一戸建て | 飼いたいが 飼えていない 集合住宅世帯(参考) |
| 交野市(コア) | 29,550 | 69.9% | 76.0% | 非公表 | 2,800 | 2,300 | 600 |
| 枚方市 | 171,430 | 55.2% | 69.0% | 19,015 | 15,800 | 11,300 | 5,300 |
| 寝屋川市 | 99,730 | 51.3% | 63.8% | 12,830 | 10,600 | 7,300 | 3,400 |
| 高槻市 | 151,350 | 54.2% | 65.8% | 16,192 | 13,400 | 9,500 | 4,800 |
| 京阪4市 計 | 452,060 | ─ | ─ | ─ | 42,600 | 30,500 | 14,100 |
| 大阪市 都島区 | 58,950 | 15.8% | 44.1% | 非公表 | 3,100 | 900 | 3,400 |
| 大阪市 城東区 | 84,600 | 23.4% | 47.6% | 非公表 | 4,700 | 1,800 | 4,500 |
| 大阪市 旭区 | 46,430 | 36.8% | 44.7% | 非公表 | 2,900 | 1,600 | 2,000 |
| 大阪市 鶴見区 | 49,840 | 30.7% | 50.6% | 非公表 | 2,900 | 1,400 | 2,400 |
| 京阪沿線4区 計 | 239,820 | ─ | ─ | ─ | 13,600 | 5,700 | 12,300 |
| (参考)大阪市全体 | 1,520,400 | 21.8% | 40.1% | 100,645 | 83,400 | 30,500 | 82,100 |
| (参考)豊中市 | 177,270 | 30.9% | 54.2% | 15,524 | 12,900 | 6,200 | 8,500 |
主世帯数・一戸建て比率・持ち家率は総務省「令和5年住宅・土地統計調査」、登録頭数は厚生労働省「衛生行政報告例」令和6年度。大阪市の区別の登録頭数は大阪市統計書にも載っておらず、区別に分かるのは狂犬病予防注射の区窓口での交付件数だけです(動物病院での交付は区に振り分けられていません)。犬飼育世帯は百の位で丸めた推計値で、計は丸める前の値の合計です。右端は参考値で、集合住宅・長屋に住み犬を飼っていない世帯に、マンション居住者の犬の飼育意向率7.3%(個人ベース)を掛けた概算です。京阪沿線4区では、犬を飼っている集合住宅世帯(約0.8万)を上回る約1.2万の「飼いたいが飼えていない」集合住宅世帯がいることになります。
大阪府は、全国で数少ない「犬が増えている」地域です。 全国の犬の登録頭数は10年間で8.7%減りましたが、大阪府は7.6%増えました。大阪市は12.5%、堺市は19.1%の増加です。令和6年度に新しく登録された犬は大阪府で41,749頭で、年度末の登録頭数の10.1%に当たります(全国は8.4%)。京阪4市では高槻市が4.5%増、枚方市が0.9%増と横ばいからやや増加です。
第 5 章
犬の飼い主の住まいの悩み ── 床・におい・洗う場所
犬の9割以上は室内で暮らし、4頭に3頭は体重10kg以下の小型犬です。そのため犬の飼い主の悩みの1位は「滑りやすい床」。猫の悩みが壁に集まっていたのに対し、犬の悩みは床・におい・洗う場所に集まります。
91.4%
室内で飼われている犬(2025年)
室内のみ26.1%+散歩・外出時以外は室内65.3%
73.9%
体重10kg以下の犬(2024年)
平均7.72kg。1位トイ・プードル、2位柴犬
7.29回/週
散歩の平均回数(2025年)
1回平均28.3分。毎日帰宅時に足を洗う
71.6%
犬を「家のお風呂場」で洗っている
積水ハウス 2024年、犬の飼い主 n=250
犬の飼い主が家の中で困っていること
犬全体(n=250)中型犬 10kg以上(n=49)
複数回答(%)、上位項目。積水ハウス 住生活研究所「ペットとの暮らしに関する調査(2024年)」(2025年2月発表)。犬全体では「滑りやすい床」33.2%が1位、「臭いが気になる」「掃除が大変」「ペットの安全確保」が26.4%で並びます。中型犬では「掃除が大変」42.9%、「滑りやすい床」38.8%、「ペットを洗うのが大変」30.6%に上がります。上位5項目以外の値は公表されていないため、該当しない欄は空けています。
家の中で自由に行き来できる場所(%)。同調査、犬 n=250・猫 n=250。犬はリビング88.8%に集中し、キッチン59.6%、主寝室47.2%、階段18.8%と、リビング以外への出入りは半数以上が制限しています。犬の居場所はリビングの床です。
犬のために入れている設備(%、上位3項目、n=250)。右端は戸建て/集合住宅。ペット用ベッドは集合住宅68.8%・戸建て46.2%と、狭い家ほど道具で居場所を作っています。一緒のベッドで寝ている人も、集合住宅60.9%・戸建て48.4%です。
犬を洗う場所
複数回答(%)、同調査 n=250。家のお風呂場71.6%、トリミングサロン40.0%。庭・バルコニーは4.4%、玄関土間は2.4%にとどまります。積水ハウスは同じ資料で、浴室で中腰で洗う負担や、散歩帰りの汚れを浴室まで運ぶ手間を指摘し、庭の立水栓(お湯が出るもの)や多目的シンクを勧めています。散歩から帰ったときの「足洗い」の動線は、戸建てで設計できる具体的な価値です。
人気の犬種(2025年)
飼育されている犬に占める割合(%、ペットフード協会 2025年、n=1,633頭)。トイ・プードル15.4%、柴犬13.3%、ミニチュア・ダックスフンド9.4%、チワワ9.1%で上位4種が半数近くを占めます。小型犬は体が軽く床で滑りやすいうえ、段差の上り下りも負担になります。
小型犬に多い関節の病気と、床 アニコム「家庭どうぶつ白書2025」の保険請求データ(犬全体 n=741,919)では、1年間に膝蓋骨(亜)脱臼で請求があった犬は1.7%です。犬種別ではポメラニアン3.9%、チワワ2.5%、トイ・プードル2.1%と、人気の小型犬ほど高くなります。ミニチュア・ダックスフンドは椎間板ヘルニアが4.7%で、他の犬種の4.13倍です。環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(2010年)も、フローリングで滑って関節を痛める事故に触れ、カーペットを敷くなどの配慮を求めています。床の滑りと関節の病気の因果関係を数値で示した獣医学の資料は見つかりませんでしたが、第5章冒頭の「滑りやすい床」の悩みと同じ方向を示しています。
第 6 章
関西の地域指標 ── 登録の推移・ペット支出・保護犬
犬には10年分の登録統計があり、地域ごとの増減が追えます。家計調査のペット関連支出と、環境省の犬の引取り統計も補助的に載せます。
犬の登録頭数の推移(平成26年度=100)
大阪府大阪市高槻市枚方市兵庫県全国
各年度末の登録頭数を平成26年度(2014年度)=100とした指数。厚生労働省「衛生行政報告例」。平成27〜29年度は取得していないため、線は平成26年度から平成30年度へ直接つないでいます。全国と兵庫県が1割前後減る一方、大阪府と大阪市は令和2年度以降に増加しています。コロナ禍以降の新規飼育の増加(全国の新規飼育頭数は2021年39.7万頭→2025年45.1万頭)が、大阪では登録にはっきり出ています。
ペット関連の年間支出(二人以上の世帯、2023〜2025年の3年平均)
ペットフードペット用品動物病院代
1世帯あたり年間支出(円)。総務省「家計調査」第4-1表の2023〜2025年の単純平均で、本資料の算出です。犬と猫の区別はなく、ペットを飼っていない世帯も分母に入ります。近畿地方の平均はペットフード8,751円で、全国10,307円より15%低い。各市の集計世帯は78〜120世帯と少ないため、順位は目安です。
犬の引取りと譲渡(令和6年度)
| 自治体(全域) | 引取り | うち飼い主から | 返還 | 譲渡 | 殺処分 | 引取り R5 |
| 大阪府 | 207 | 159 | 34 | 142 | 32 | 159 |
| 兵庫県 | 157 | 70 | 32 | 62 | 70 | 169 |
| 京都府 | 70 | 16 | 21 | 40 | 7 | 99 |
| 滋賀県 | 132 | 42 | 61 | 51 | 21 | 179 |
| 奈良県 | 54 | 9 | 17 | 17 | 21 | 51 |
| 和歌山県 | 256 | 91 | 55 | 130 | 46 | 285 |
| 全国 | 17,399 | 2,215 | 6,630 | 8,797 | 1,964 | 19,352 |
単位は頭。環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」令和6年度。府県の値に管内の政令市・中核市を本資料で合算しています。全国では引取りの87%が所有者不明の犬ですが、大阪府全域では77%が飼い主からの引取りで、前年度の159頭から207頭へ増えました。飼い主の高齢化や住まいの事情で飼い続けられなくなる例が、都市部の課題になっています。
第 7 章
しっくいと犬 ── 広告で言えること・言えないこと
犬の飼い主の悩みのうち、壁で応えられるのは「におい」と「汚れ」です。いちばんの悩みの「滑りやすい床」は床材の話で、しっくいの壁とは別に答えを用意する必要があります。しっくいの性能の根拠は、姉妹編の猫版第7章と同じです。
| 犬の飼い主の悩み | しっくいの壁で応えられるか | 根拠の強さ | 広告での扱い(案) |
| 臭いが気になる(26.4%) | 他社のしっくいシート製品の第三者試験では、酸性のにおい(酢酸など)は98%以上減、アンモニアは24時間で78%減。しっくい(消石灰)は強アルカリで、酸性のにおいは中和できる。犬の体臭や皮脂のにおいに対する試験は見当たらない | △ 他社製品 | 「においがこもりにくい」程度の定性表現。「犬のにおいが消える」は根拠が弱い |
| 掃除が大変・汚れ(26.4%) | 塗り壁は汚れた部分だけ塗り直せる。OB施主の声(犬1匹・猫6匹の家「汚れた箇所だけ補修すればいい」) | ○ | 「汚れたところだけ塗り直せる」と言える |
| 抜け毛 | 野村工務店のリリースは「静電気を帯びにくい」、OB施主は「壁にくっついていた猫ちゃんの毛も見なくなった」。公的・第三者の試験データは見当たらない | 体験談 | 施主の声として紹介。「個人の感想です」を添える |
| 燃えにくさ・安全 | 建設省告示第1400号で「しっくい」は不燃材料 | ◎ 法令 | 「燃えにくい天然素材の壁」と言える |
| 滑りやすい床(33.2%) | 壁では応えられない。床材(無垢材・コルク・タイルカーペットなど)とワックスの選び方の問題 | ─ | 野村工務店の床の標準仕様を確認し、犬向けの提案があれば壁とセットで見せる |
| 洗う場所(中型犬30.6%) | 壁では応えられない。庭の立水栓、土間、多目的シンクなど間取りの提案 | ─ | 戸建てならではの設計として別に訴求 |
しっくいの消臭・調湿・抗菌について、公的機関・学会・日本漆喰協会が試験した数値は見つかりませんでした。野村工務店の2026年8月のリリースには、マルモ以外の製品のデータを出典に挙げている箇所があります。数値を広告に使う前に、マルモ自体の試験成績書(試験機関・番号・日付・方法)の確認が必要です。
第 8 章
広告への示唆
「猫も子どもも、心地いいマルモの家」のコピーは確定しています。犬のデータは、コピーを変えるためではなく、Web・SNSの出し分けと、商談での提案の厚みを増すために使います。
犬の家は、猫の家と同じくらいある
関西の犬飼育世帯は約82万で、猫の約77万とほぼ同じ。京阪4市では犬4.3万・猫3.9万と、犬のほうが多い計算です。コピーに犬は出てきませんが、見込み客の中の犬の家を取りこぼさない設計が要ります。
犬は子育て世帯と最も重なる
既婚・子ありの男性の犬飼育率は14〜16%で、全体平均の1.5倍前後。二人以上世帯の飼育率は単身の2.4倍です。コアターゲットの子育て期30〜44歳には、猫より犬の家が多く含まれます。
「犬のために家を建てる」理由がある
いちばんの非飼育理由は「集合住宅で禁止」24.1%で、20代では38.0%。マンションで容認されても大きさの制限がつきます。一戸建ては「犬を迎えられる家」「大きさを選ばずに飼える家」です。
大阪は犬が増えている
全国の登録頭数が10年で8.7%減るなか、大阪府は7.6%増、大阪市は12.5%増。京阪沿線4区の集合住宅には、犬を飼っている世帯より多い約1.2万の「飼いたいが飼えていない」世帯がいます。郊外の一戸建てへ移る動機になりえます。
犬の悩みは床。壁とセットで答える
犬の飼い主の悩みの1位は「滑りやすい床」33.2%。しっくいの壁だけでは答えられません。床材の提案をセットにすると、犬の家に対する説得力が一段上がります。野村工務店の床の標準仕様の確認が前提です。
足を洗う動線は、戸建てでしかできない
犬の71.6%は家のお風呂場で洗われ、散歩は週7回。玄関横の土間や庭のお湯の出る立水栓は、マンションでは作れない、一戸建ての具体的な価値です。モデルハウスや施工例で見せやすい要素でもあります。
SNSでは犬の家も主役にできる
CMの本編は猫目線の「猫は、正直だ。」でも、Instagram・YouTubeショートの短尺では犬と暮らす施主宅も撮れます。OB施主に犬の家がどれだけあるかを確認し、猫編・犬編を出し分ける余地があります。
においの主張は慎重に
犬の飼い主の26.4%がにおいに悩んでいます。ただし、しっくいが犬のにおいに効くことを示す公的・第三者のデータはありません。体験談を軸にし、数値はマルモの試験成績書がそろってから使うのが安全です。
データの制約 ── この資料で埋められなかったこと
| 知りたいこと | 現状 | 入手の方法 |
| 交野市の犬の登録頭数 | 大阪府所管の市は、府が「府所管分の合計」しか公表していない。交野市統計時報にも犬の表がない | 交野市の担当課または大阪府動物愛護管理センターへの照会 |
| 大阪市の区別の登録頭数 | 大阪市統計書にあるのは区窓口での予防注射の交付件数のみ | 大阪市への照会 |
| 犬のサイズ別の住まいの実態 | サイズ構成は体重分布のみ(2024年)。中型・大型犬の飼育と住居形態のクロスは公表なし | 来場者アンケートに設問を追加 |
| 府県別の登録率(未登録の犬の割合) | 公表なし。本資料は全国一律の上乗せ率を使用 | ─ |
| しっくいの消臭・抗菌の数値 | 公的・学術データなし。他社製品のデータのみ | マルモの試験成績書の確認、必要なら第三者試験の実施 |
貴社のデータをお預かりできれば、広告の根拠をさらに強くできます
この資料は公開統計だけで作った共通の土台です。貴社の実データを重ねると、犬と暮らす家族が貴社の顧客のどれだけを占め、どこから来ているかまで具体化できます。
OB施主のペット飼育状況
犬・猫を飼っている施主の数と、犬の大きさ。「犬の家」「猫の家」それぞれの施工例を何件見せられるかが分かります。
床材・土間・水栓の標準仕様
犬の悩みの1位は床です。犬に配慮した床や足洗い場の標準・オプションがあれば、壁と合わせて訴求できます。
来場者・資料請求者のアンケート
ペットの有無と種類、飼いたい意向、いまの住まい。本資料の全国値と比べて、貴社の顧客の特徴が分かります。
マルモの試験成績書
試験機関・番号・日付・方法。広告で使える表現の範囲が、ここで決まります。
成約者の前住所と住居形態
大阪市の京阪沿線から京阪4市へ、という流れが貴社の成約でも起きているかを確かめ、配信エリアの配分に反映します。
Webサイトのアクセス・問い合わせ
「犬」「ペット」関連ページの閲覧と問い合わせ数。配信後の効果測定の基準値になります。
出典
出典と注意事項
本資料の数値はすべて公開情報からの引用、または引用値にもとづく計算です。取得日は2026年9月21日です。
公的統計・業界統計
- 厚生労働省「衛生行政報告例」狂犬病予防 第1表(都道府県・指定都市・中核市別)令和6年度 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040359237&fileKind=1 /平成26年度 000031322616・平成30年度 000031873778・令和元〜5年度 000032045218/000032155842/000040002912/000040112023/000040217285
- 大阪府「犬に関する統計」 https://www.pref.osaka.lg.jp/o120140/doaicenter/doaicenter/inutoukei.html /第55回枚方市統計書 https://www.city.hirakata.osaka.jp/0000053836.html /大阪市統計書 第14章 https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000675866.html
- 一般社団法人ペットフード協会「令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査」 https://petfood.or.jp/data/ /主要指標 https://petfood.or.jp/pdf/data/2025/3.pdf /居住形態別 https://petfood.or.jp/pdf/data/2025/4.pdf /飼育実態 https://petfood.or.jp/pdf/data/2025/6.pdf
- 同「令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査」 主要指標(家族構成別飼育率・飼育意向・推計式) https://petfood.or.jp/pdf/data/2024/3.pdf /飼育阻害要因 https://petfood.or.jp/pdf/data/2024/7.pdf /犬の体重 https://petfood.or.jp/pdf/data/2024/8.pdf
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計 第3-2表・第8-4表 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?toukei=00200522
- 内閣府「動物愛護に関する世論調査」平成22年9月 https://survey.gov-online.go.jp/h22/h22-doubutu/index.html
- 国土交通省「平成30年度マンション総合調査」表24① https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001723256.xlsx /「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf
- 総務省統計局「家計調査」家計収支編 二人以上の世帯 第4-1表(2023・2024・2025年) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&stat_infid=000040409546 ほか
- 環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」令和6年度 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r07/2_4_3a.pdf /令和5年度 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r06/2_4_3a.pdf
- 建設省告示第1400号「不燃材料を定める件」 https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201703/00006465.pdf /日本漆喰協会 https://www.shikkui.gr.jp/funen-ninsho
民間調査・企業発表
- 積水ハウス 住生活研究所「ペットとの暮らしに関する調査(2024年)」2025年2月21日 https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20250221/
- アニコム「家庭どうぶつ白書2025」 https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202512_2_2_1.pdf /環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(2010年2月) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf
- パナソニック ホームズ「賃貸住宅におけるペット飼育に関する意識調査」2025年2月20日 https://homes.panasonic.com/company/news/release/2025/0220.html
- LIFULL「ペット可賃貸に関する調査」2025年5月29日 https://lifull.com/news/43335/
- 日東エルマテリアル「LSしっくいテープ」製品データシート https://www.nitto-lmaterials.com/product/safety/stucco/pdf/data_sheet/stucco_ds.pdf
- 野村工務店 プレスリリース(@Press)2026年8月10日 https://www.atpress.ne.jp/news/622040 /2026年8月12日 https://www.atpress.ne.jp/news/622220
- 株式会社Shido「住宅業界向けマーケティング資料〈関西圏の猫飼育世帯〉」(2026年9月21日) https://shido-creative.jp/marketing/report/realestate/cat/ /「不動産業界向けマーケティング資料」6市版(2026年9月18日)
数値を読むうえでの注意
- 犬飼育世帯数は推計です。登録頭数を全国一律の比率で飼育頭数・世帯数に直しています。登録率が地域で違えば、その分ずれます。
- 登録頭数は「年度末現在」の累計です。死亡届が出されないまま残る登録もあり、自治体によって消除の運用が違います。京都市の令和4年度や神戸市の令和3→4年度のように、年度間で不自然に増減する例があります。
- 「個人ベース」と「世帯ベース」の飼育率は別物です。住居形態別・家族構成別の値は回答者個人の飼育率(全体9.7〜10.2%)で、世帯飼育率8.50%とは算出方法が異なります。
- 「飼いたいが飼えていない集合住宅世帯」は参考値です。個人の意向率を世帯数に掛けた概算です。
- 積水ハウス・パナソニック ホームズ・LIFULLの調査は企業の発表です。全国の母集団を代表する統計ではありません。積水ハウスの中型犬の値はn=49です。
- 家計調査の支出は犬と猫を区別せず、ペットを飼っていない世帯を含む平均です。