株式会社Shido 調査レポート

住宅業界向けマーケティング資料〈関西圏の猫飼育世帯〉猫と暮らす世帯の規模・住まい・悩みの基礎資料(2026年9月版)

対象 関西2府4県(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山) 飼育統計基準 2024〜2025年調査 住宅統計基準 令和5年住宅・土地統計調査 用途 しっくいの家 ブランディング広告提案の補足資料

「猫も子どもも、心地いい」という広告メッセージが、関西でどれだけの世帯に届く話なのかを数字で確かめるための資料です。猫を飼っている世帯の数を府県・市ごとに推計し、住まいの形(一戸建てか集合住宅か、持ち家か賃貸か)が猫の飼育をどう左右しているか、猫の飼い主が住まいのどこに困っているかを、公的統計と業界調査から整理しました。各図は数値にカーソルを合わせると内訳が表示されます。

約77万世帯
関西2府4県の猫飼育世帯(推計)
猫は約136万頭
約3.9万世帯
京阪4市の猫飼育世帯(推計)
交野・枚方・寝屋川・高槻。68%が一戸建て
11.5%
一戸建てに住む人の猫飼育率
マンションは6.5%
34.4%
猫を飼いたいのに飼えない理由の1位
「集合住宅で禁止されている」
30.0%
猫の飼い主の住まいの悩み
「床や壁に汚れや傷が付く」
83.5%
「室内のみ」で飼われている猫
猫は一生を家の中で過ごす
第 1 章

関西の猫飼育世帯の規模 ── 11〜12世帯に1世帯が猫と暮らしている

全国で猫を飼っている世帯は496.4万世帯、全世帯の8.42%です。関西2府4県に当てはめると約77万世帯、広告の配信エリアである6市だけでも約16万世帯になります。「猫の家」は一部の愛好家の話ではなく、住宅の見込み客の中に普通に含まれている層です。

496.4万世帯
全国の猫飼育世帯(2025年)
全世帯の8.42%/1世帯あたり1.78頭
884.7万頭
全国の推計飼育頭数(2025年)
犬は682.0万頭。2014年に猫が逆転
約76.5万世帯
関西2府4県の猫飼育世帯(推計)
うち一戸建てに住む世帯 約47.7万(62%)
約32.8万世帯
大阪府の猫飼育世帯(推計)
府内全世帯の7.82%
約15.8万世帯
配信6市の猫飼育世帯(推計)
大阪市・豊中・高槻・枚方・寝屋川・交野
なし
府県別・市別の猫飼育率の公表値
国・業界団体・自治体のいずれも未公表
府県別・市別の猫の飼育率は、どこにも公表されていません。 猫には犬のような登録制度がありません。ペットフード協会の全国調査は関西のサンプル(約1万人)を持っていますが、地域別の飼育率は公表していません。2府4県と4政令市の動物愛護管理推進計画・行動計画も確認しましたが、いずれも全国値を引用しているだけでした。そのため本章の府県・市の値は、全国の住居形態別の飼育率を、各地の住宅構成に当てはめた本資料の推計です。

推計の方法

手順使った数値出典
① 住居形態別の飼育率の比を取る猫の現在飼育率は一戸建て11.5%、マンション6.5%。一戸建てはマンションの1.77倍ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査 2025年(個人ベース、n=50,000)
② 全国の世帯飼育率に合わせて世帯ベースに直す全国の世帯飼育率8.42%と、全国の一戸建て比率52.2%から逆算。一戸建て世帯10.63%、集合住宅世帯6.01%同調査 主要指標/総務省 住宅・土地統計調査 令和5年
③ 各府県・市の住宅構成に掛ける主世帯数×一戸建て比率×10.63%+主世帯数×(1−一戸建て比率)×6.01%住宅・土地統計調査 令和5年 第3-2表・第8-4表
④ 頭数に直す飼育世帯数×1世帯あたり1.78頭ペットフード協会 2025年
検算として、単身世帯と二人以上世帯の飼育率(5.87%/10.48%、2024年)を使う別の方法でも推計しました。関西2府4県で約80万世帯となり、住居形態で推計した約77万世帯との差は約5%です。本資料では、住まいとの関係を見るために住居形態の方法を採っています。地域ごとの飼育意向の差(地方ほど猫が多いなど)は、住宅構成を通じてしか反映されていません

府県別の猫飼育世帯(推計)

一戸建てに住む猫飼育世帯集合住宅・長屋に住む猫飼育世帯
単位は世帯。右端は全世帯に占める猫飼育世帯の比率(推計)。数では大阪府が約32.8万世帯と突出していますが、比率は7.82%と2府4県で最も低くなります。集合住宅の多い大阪府では、猫を飼う世帯の47%が集合住宅に住んでいる計算です。反対に和歌山県・奈良県・滋賀県は一戸建てが多く、比率は9%台に上がります。

主要市と配信6市の猫飼育世帯(推計)

広告配信6市そのほかの関西の主要市
単位は世帯。右端は全世帯に占める比率(推計)。配信6市の合計は約15.8万世帯、猫は約28万頭です。大阪市は約10.7万世帯と規模は大きいものの、そのうち一戸建てに住む世帯は3分の1にとどまります。枚方市・高槻市・寝屋川市・交野市は、猫を飼う世帯の65〜80%が一戸建てに住んでいる計算です。
第 2 章

誰が猫を飼っているか ── 子育て世帯も10人に1人

猫は「単身者のペット」と思われがちですが、統計は逆を示しています。単身で暮らす人の飼育率は最も低く、子どものいる既婚世帯は全体平均と同じ約10%です。「猫も子どもも」は、同じ家の中で実際に起きている組み合わせです。

10.48%
二人以上世帯の猫飼育率(2024年)
単身世帯は5.87%。約1.8倍
7.4〜11.9%
既婚・子ありの人の猫飼育率
性別×年代の6区分の範囲(2024年)
13.2%
単身女性20〜30代の猫の飼育意向
いま飼っていない人のうち。全区分で最高
約40%
猫の飼い主のうち多頭飼育(推計)
1世帯あたり1.78頭。犬は約18%

家族構成・性別・年代別の猫飼育率

20〜30代40〜50代60〜70代
個人ベースの猫の現在飼育率(%、外猫を除く)。ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査 2024年(全体9.6%、n=50,000)。既婚・子ありは男女・年代を問わず7〜12%で、全体平均とほぼ同じです。低いのは単身男性(4.5〜5.6%)。配偶者なし・子ありの男性20〜30代(24.4%)はn=38の参考値です。

これから猫を飼いたい人(いま飼っていない人の飼育意向)

年代別の新規飼育意向率(%、いま飼っていない人のうち「今後飼いたい」)。2024年(全体5.7%)。20代が7.7%で最も高く、住宅の一次取得層である30〜40代も6.4%です。
単身・未婚親同居の性年代別(%、2024年)。単身女性20〜30代が13.2%、40〜50代が10.4%と突出します。結婚や住宅購入で住まいが変わるときに、猫を迎える候補になる層です。
第 3 章

住まいが猫の飼育を決めている

猫を飼うかどうかを大きく分けているのは住まいの形です。一戸建てに住む人の猫飼育率はマンションの1.8倍。反対に、猫を「飼いたいのに飼っていない」人は賃貸・マンションに多く、その最大の理由は「禁止されているから」です。

住居形態別の猫飼育率と飼育意向(全国・2025年)

いま猫を飼っている人の割合飼っていない人のうち「今後飼いたい」割合
個人ベース(%)。ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査 2025年(全体 n=50,000、持ち家33,752・賃貸14,644・一戸建27,860・マンション20,535)。飼っている率は持ち家・一戸建てが高く、飼いたい率は賃貸・マンションが高い。この「ねじれ」が、住まいを変えるときに猫を迎える動機になります。犬も同じ傾向で、一戸建て12.6%・マンション6.1%です。
15年前の政府調査でも同じ構図です。 内閣府「動物愛護に関する世論調査」(平成22年、n=1,939)では、ペットを飼っている人は一戸建て40.1%・集合住宅19.3%。猫に限ると一戸建て12.6%・集合住宅5.4%(本資料の計算値)でした。集合住宅に住んでペットを飼っていない人の74.3%が、理由に「禁止されているから」を挙げています。内閣府の同種の調査はこれが最新です。

猫を飼いたいのに飼っていない理由

複数回答(%)。ペットフード協会 2024年 調査③(いま猫を飼っていないが今後飼いたい人、n=739)。1位は「集合住宅に住んでいて、禁止されているから」34.4%。いちばんの理由を一つだけ選ばせても29.8%で、2位「お金がかかる」8.5%の3倍以上です。2020年の30.0%から上がっています。「家や庭が狭いから」も7.7%あります。
「集合住宅に住んでいて禁止されているから」の年代別(%、複数回答、2024年)。20代44.4%、30代45.0%。これから家を持つ世代ほど、住まいが猫の壁になっています。
分譲マンションの管理組合のうち、犬・猫等の飼育を「禁止している」割合(%)。国土交通省 マンション総合調査 平成30年度(n=1,688)。全体では40.3%が禁止。平成11年以前に完成したマンションは5〜7割が禁止で、平成17年以降は数%です。中古マンションでは今も飼えない物件が多く残っています。

賃貸住宅とペット

19.3%
賃貸物件に占める「ペット可」
LIFULL HOME'S 2025年3月。2022年は12.9%
+3.5万円
ペット可物件の平均掲載賃料の差
可112,771円/不可78,253円
91.6%
ペット連れの住まい探しで不便があった
1位「ペット可物件が少ない」34.4%(犬猫合算)
62.8%
飼いたいのに飼えない理由「賃貸で禁止」
パナソニック ホームズ、首都圏の賃貸居住者(犬猫合算)
LIFULL「ペット可賃貸に関する調査」(2025年5月発表、住まい探しの設問は n=1,100)、パナソニック ホームズ「賃貸住宅におけるペット飼育に関する意識調査」(2025年2月発表、n=516)。「ペット可」のうち猫も飼える物件の割合は公表されていません。ポータル各社の解説記事は「猫可は犬可より見つけにくい」と書いていますが、数値はありません。賃貸でペットを飼えば、国土交通省の原状回復ガイドラインでは「ペットによる柱等のキズ・臭い」は借り手の負担とされます。
第 4 章

関西の住宅構成と猫 ── 重点エリアの地図を「猫」で読む

第1章の推計を、広告の重点エリアに絞って並べます。コアの交野市と2次商圏の枚方・寝屋川・高槻の4市(本資料では「京阪4市」)には、猫を飼う世帯が約3.9万あり、その68%が一戸建てに住んでいます。大阪市の京阪沿線4区(都島・城東・旭・鶴見)は、猫の家の6割が集合住宅で、「いつか一戸建てで猫と」という層の供給源です。

重点エリアの猫飼育世帯の住まい(推計)

一戸建てに住む猫飼育世帯集合住宅・長屋に住む猫飼育世帯
単位は世帯。第1章と同じ推計で、大阪市の区は住宅・土地統計調査の区別の住宅構成を使いました。京阪4市の合計3.9万世帯のうち、一戸建てに住むのは2.6万世帯(68%)。交野市は80%が一戸建てです。京阪沿線4区は1.7万世帯で、一戸建ては38%にとどまります。参考として大阪市全体と豊中市も載せています。
主世帯数一戸建て比率持ち家率単身世帯率猫飼育世帯
(推計)
うち一戸建て飼いたいが
飼えていない
集合住宅世帯(参考)
交野市(コア)29,55069.9%76.0%25.4%2,7002,200500
枚方市171,43055.2%69.0%33.3%14,70010,1004,500
寝屋川市99,73051.3%63.8%35.8%8,4005,4002,800
高槻市151,35054.2%65.8%33.2%12,9008,7004,000
京阪4市 計452,06038,60026,40011,900
大阪市 都島区58,95015.8%44.1%4,0001,0002,900
大阪市 城東区84,60023.4%47.6%6,0002,1003,800
大阪市 旭区46,43036.8%44.7%3,6001,8001,700
大阪市 鶴見区49,84030.7%50.6%3,7001,6002,000
京阪沿線4区 計239,82017,3006,50010,400
(参考)大阪市全体1,520,40021.8%40.1%55.6%106,70035,20069,300
(参考)豊中市177,27030.9%54.2%35.0%13,2005,8007,100
配信6市 計2,149,730158,50067,50088,300
大阪府4,197,00039.3%54.5%43.6%328,400175,300148,500
関西2府4県9,286,000765,300477,100279,600
主世帯数・一戸建て比率・持ち家率・単身世帯率は総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年10月1日現在)。一戸建て比率は専用住宅に占める一戸建ての割合(大阪市の区は住宅に占める割合、単身世帯率は区別の集計を使っていないため空欄)。猫飼育世帯は百の位で丸めた推計値で、計は丸める前の値の合計です。右端の列は参考値で、集合住宅・長屋に住み猫を飼っていない世帯に、マンション居住者の飼育意向率6.2%(個人ベース)を掛けた概算です。個人の意向を世帯に当てはめているため規模感の目安としてだけ使ってください。京阪沿線4区では、猫を飼っている集合住宅世帯(約1.1万)とほぼ同じ数の「飼いたいが飼えていない」集合住宅世帯(約1.0万)がいることになります。
6市の住宅市場との接点 同じ6市を対象にした「不動産業界向けマーケティング資料」(2026年9月18日、Shido)では、大阪市から子育て期の30代が郊外5市へ転出する流れを示しました(大阪市の2025年の30代の転出超過は3,806人)。第3章のとおり、猫を飼いたいのに飼えていない人は賃貸・マンションに多く、20〜30代の45%が「集合住宅で禁止」を理由に挙げています。大阪市の京阪沿線の集合住宅から、京阪4市の一戸建てへ移る世帯は、猫を迎える候補と重なっています。
第 5 章

猫の飼い主の住まいの悩み ── 壁・におい・留守番

猫は8割以上が一生を室内で過ごし、リビングから寝室、階段まで家じゅうを使います。そのため猫の飼い主の悩みは、そのまま家の内装の悩みです。壁や床の傷、においが上位に並び、それでいて傷つきにくい内装材を選んでいる人は6.4%にとどまります。

83.5%
猫の飼育場所が「室内のみ」
2020年は79.6%。ペットフード協会 2024年
16.34
外に出ない猫の平均寿命
外に出る猫は14.24歳(2024年)
39.6%
部屋の傷対策を何もしていない
猫の飼い主 n=250(積水ハウス 2024年)
6.4%
傷がつきにくいクロスや床材を使っている
同上。最多は「こまめに爪を切る」38.4%

猫の飼い主が家の中で困っていること

複数回答(%)、上位5項目。積水ハウス 住生活研究所「ペットとの暮らしに関する調査(2024年)」猫の飼い主 n=250(2025年2月発表)。「床や壁に汚れや傷が付く」30.0%と「臭いが気になる」26.4%は、内装材で解決できる悩みです。

猫と暮らすうえで重視すること ── 戸建てと集合住宅

戸建てに住む猫の飼い主(n=165)集合住宅に住む猫の飼い主(n=85)
複数回答(%)。同調査(元資料は戸建てと集合で5ポイント以上差のある項目を表示)。すべての項目で集合住宅のほうが高く、とくに騒音対策は集合27.1%に対し戸建て7.3%と差が大きい。集合住宅で猫と暮らす人は、周りへの気兼ねを抱えています。戸建てに移ることで、この負担の一部は消えます。
家の中で自由に行き来できる場所(%)。同調査、猫 n=250・犬 n=250。猫はキッチン80.8%、主寝室70.8%、階段52.8%と、犬よりはるかに家じゅうを使っています。壁の面積すべてが猫の生活空間です。
猫のために入れている設備(%)。同調査 n=250。爪とぎ柱は48.0%(戸建て44.2%・集合55.3%)。爪とぎは猫の本能で、止めさせるのではなく「どこでさせるか」を家の側で用意する発想が要ります。

賃貸で猫と暮らす人の不満

設問割合n
いまの「飼う環境」に不満がある43.3%245
不満の理由「ペットに配慮した室内インテリア(床・壁等)になっていない」42.0%112
不満の理由「ペットのニオイが残る」38.4%112
「ペットを残して外出するのが心苦しい」(飼い主)44.2%516
パナソニック ホームズ「賃貸住宅におけるペット飼育に関する意識調査」(2024年12月、首都圏の賃貸居住者、犬猫合算)。自由回答には猫の飼い主から「猫が引っ掻いて壁がボロボロと落ちたり、それを猫が口にしてしまう」という声があります。壁が傷む、においが残る、という不満は賃貸でも持ち家でも共通で、これが住み替えのときの要望になります。
第 6 章

関西の地域指標 ── ペット支出と保護猫

関西の猫事情を地域別に測れる公的データは、家計調査のペット関連支出と、環境省の猫の引取り統計くらいしかありません。どちらも「猫の飼育世帯の数」そのものではないため、補助的な指標として扱ってください。

ペット関連の年間支出(二人以上の世帯、2023〜2025年の3年平均)

ペットフードペット用品動物病院代
1世帯あたり年間支出(円)。総務省「家計調査」第4-1表(都道府県庁所在市・政令市別)の2023・2024・2025年の単純平均で、本資料の算出です(統計局の公式ランキングにペット関連品目は載っていません)。近畿地方の平均はペットフード8,751円で、全国10,307円より15%低い。堺市はペットフード9位・動物病院代8位と高く、京都市・奈良市は低めです。ペットを飼っていない世帯も分母に入っており、犬と猫を分けた品目もありません。各市の集計世帯は78〜120世帯と少なく年ごとの振れが大きいため、順位は目安です。

猫の引取りと保護猫活動(令和6年度)

自治体(全域)引取りうち所有者不明譲渡殺処分引取り R5
大阪府425126218193428
兵庫県7875164723201,034
京都府321258194145476
滋賀県285197155130369
奈良県22019316550455
和歌山県507426334136589
全国22,01013,68816,8544,86625,224
単位は頭。環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」令和6年度。府県の値に、管内の政令市・中核市を本資料で合算しています。関西6府県の引取りは合計2,545頭で、前年度(3,351頭)から約800頭減りました。地域猫(TNR)活動も定着しています。大阪市の「街ねこ事業」は464地域・累計7,828匹、神戸市は令和7年度だけで1,452匹、京都市は累計372地域の不妊去勢手術を実施しました。飼い主の33.6%は「野良猫を拾った」経路で猫を迎えており(2024年、全国)、保護猫を迎える文化は関西でも広がっています。
第 7 章

しっくいと猫 ── 広告で言えること・言えないこと

第5章の悩み(壁の傷・におい)に、しっくいの壁がどこまで応えられるかを、根拠の強さで整理します。広告表現は景品表示法の対象です。数値や比較を使う表現は、マルモそのものの試験データがそろってからにすることを勧めます。

性質公的・第三者の根拠根拠の強さ広告での扱い(案)
燃えにくい平成12年建設省告示第1400号で「しっくい」は不燃材料に指定。日本漆喰協会も既調合品で大臣認定(NM-4569)を取得◎ 法令「燃えにくい天然素材の壁」と言える
湿気を吸ったり吐いたりするJIS A 6909に「調湿形」の基準(吸放湿量70g/m²以上)があるが、しっくい一般がこれを満たす公的データは見当たらない。ビニル壁紙が下地の吸放湿を妨げることは学会論文で確認されている「呼吸する壁」など定性的な表現にとどめる。数値・他素材との比較は試験成績書が必要
においを抑える他社のしっくいシート製品の第三者試験で、酢酸≧98%・アンモニア78%減(24時間後)。しっくい(消石灰)は強アルカリで、酸性のにおいは中和できるが、アルカリ性のアンモニアは吸着にとどまると考えられる△ 他社製品「においがこもりにくい」程度。「猫のおしっこのにおいを分解」は根拠が弱い
カビ・菌野村工務店のリリースでは、マルモの壁でカビが生えなかったとする第三者試験に言及。「99.9%不活性化」の出典は他社製品のデータシート○ カビのみカビはマルモの試験番号・日付を確認のうえ使用。「99.9%」は使わない
爪とぎをしない・毛がつかない公的・学術データは見当たらない。OB施主の声(「壁で爪とぎをしなくなった」「猫臭がしない」「壁にくっついていた毛も見なくなった」)がある体験談「個人の感想です」を添えて、施主の声として紹介する
部分補修ができる塗り壁の一般的な性質。OB施主の声(犬1匹・猫6匹の家「汚れた箇所だけ補修すればいい」)「傷んだところだけ塗り直せる」と言える
出典は第9章。しっくいの消臭・抗菌・調湿について、公的機関・学会・日本漆喰協会が試験した数値は見つかりませんでした(日本漆喰協会が示している性能は、不燃と化学物質の放散の自主認定のみ)。野村工務店の2026年8月のリリースには、マルモ以外の製品のデータを出典に挙げている箇所があります。
表現を詰める前に、野村工務店に確認したいこと (1) マルモそのものの試験成績書(試験機関・試験番号・日付・試験方法)。カビ試験以外に、消臭・VOC吸着・調湿の試験があるか。(2) OB施主の声を広告に使う許諾と、猫を飼っているOB施主の人数(「◯組の猫の家」と言えるか)。(3) CMで「猫が爪とぎをしない」と受け取れる演出をするかどうか。体験談の範囲を超えて効果をうたうと、景品表示法の不実証広告規制の対象になりえます。
第 8 章

広告への示唆

ここまでのデータから、「猫も子どもも、心地いいマルモの家」の広告設計に使える論点をまとめます。

猫の家は「ニッチ」ではない

関西の猫飼育世帯は約77万、京阪4市だけで約3.9万世帯。子どものいる既婚世帯の飼育率も約10%あります。コピーの「猫」は一部の愛好家ではなく、住宅の見込み客の10軒に1軒に当たる話です。

一番の見込み客は「飼いたいのに飼えない人」

猫を飼っていない人の飼育意向は、賃貸7.2%・マンション6.2%で、持ち家・一戸建ての1.5〜1.8倍。飼えない理由の1位は「集合住宅で禁止」で、20〜30代では45%に達します。家を建てることは、猫を迎えられるようになることでもあります。

エリアで語り口を変えられる

京阪4市は猫の家の68%が一戸建てで、交野市は80%です。京阪沿線4区は6割が集合住宅で、「飼いたいが飼えていない」集合住宅世帯も約1万あります。京阪4市では「いまの猫と、もっと心地よく」、京阪沿線4区では「いつか猫と暮らす家」と出し分ける余地があります。

悩みは壁とにおい。そこにしっくいが刺さる

猫の飼い主の悩みの上位は「床や壁の傷」30.0%と「におい」26.4%。それなのに傷に強い内装材を選んでいる人は6.4%しかいません。「壁を素材から選ぶ」という発想自体がまだ知られていないので、CM案A「猫は、正直だ。」で猫がしっくいの壁の前で丸くなる場面は、この空白をそのまま見せられます。

猫は一生、家の中にいる

室内飼育は83.5%。外に出ない猫の寿命は16.34歳で、外に出る猫より2年長い。猫にとって家の空気と壁は、生涯の環境そのものです。「空気の良さは目に見えない」という企画の前提を、この数字が裏づけます。

集合住宅の気兼ねからの解放も価値

集合住宅で猫と暮らす人は、騒音対策を戸建ての3.7倍(27.1%と7.3%)気にしています。賃貸では傷やにおいは退去時の借り手負担です。「気にせず暮らせる」ことも、一戸建てのしっくいの家が出せる価値です。

数値の主張は慎重に、体験談は大きく

しっくいの消臭・調湿・抗菌の公的データは見当たらず、確かなのは不燃だけです。一方、OB施主の「壁で爪とぎをしなくなった」「猫臭がしない」は強い素材です。CMとSNSは施主の実話を軸にし、数値はマルモの試験成績書がそろってから使うのが安全です。

子育て世帯と猫は同じ家にいる

既婚・子ありの人の猫飼育率は7〜12%で、全体平均とほぼ同じです。「猫も子どもも」は二つのターゲットを並べたものではなく、一つの家族の姿として描いてよいことを統計が示しています。

データの制約 ── この資料で埋められなかったこと

知りたいこと現状入手の方法
府県別・市別の猫飼育率国・業界団体・自治体のいずれも未公表。本資料は住宅構成からの推計ペットフード協会への個票集計の依頼、または自社アンケート
賃貸の「猫可」物件の割合(関西)「ペット可」の全国比率19.3%のみ。猫可・府県別はなしポータルサイトの検索件数を当社で数える(「当社調べ」と明記)
猫のために家を建てた・買った人の割合国交省の住宅市場動向調査に「ペット」の選択肢がない来場者アンケートに設問を追加
しっくいの消臭・調湿・抗菌の数値公的・学術データなし。他社製品のデータのみマルモの試験成績書の確認、必要なら第三者試験の実施
近畿圏の分譲マンションのペット可比率全国の管理組合調査(平成30年度)のみ。最新の令和5年度は設問なし不動産経済研究所等の有料データ

貴社のデータをお預かりできれば、広告の根拠をさらに強くできます

この資料は公開統計だけで作った共通の土台です。ここに貴社の実データを重ねると、「猫と暮らす家族」が貴社の顧客のどれだけを占め、どの市のどんな住まいから来ているかまで具体化できます。

OB施主のペット飼育状況

猫・犬を飼っている施主の数と割合。「◯組の猫の家」と言えれば、CMとリリースの説得力が上がります

来場者・資料請求者のアンケート

ペットの有無、飼いたい意向、いまの住まい(賃貸・マンション・戸建て)。本資料の全国値と比べて、貴社の顧客の特徴が分かります。

マルモの試験成績書

試験機関・番号・日付・方法。広告で使える表現の範囲が、ここで決まります

施主の声・写真の許諾状況

猫と暮らす施主宅での撮影やインタビューが可能か。CM案Cの「実話」化の前提です。

成約者の前住所と住居形態

大阪市の京阪沿線から京阪4市へ、という流れが貴社の成約でも起きているかを確かめ、配信エリアの配分に反映します。

Webサイトのアクセス・問い合わせ

「猫」「ペット」関連ページの閲覧と問い合わせ数。配信後の効果測定の基準値になります。

お預かりした後の進め方 最初の2週間でデータを本資料の枠組みに載せ替え、貴社の顧客に占める猫の家の比率と出どころを可視化します。次の2週間で、CMのエリア配分・訴求の出し分け・使える表現を整理し、本提案に反映します。個人情報は氏名・住所・連絡先を除いた形でのご提供で構いません。

出典

出典と注意事項

本資料の数値はすべて公開情報からの引用、または引用値にもとづく計算です。取得日は2026年9月21日です。

公的統計・業界統計

  1. 一般社団法人ペットフード協会「令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査」 https://petfood.or.jp/data/ /主要指標 https://petfood.or.jp/pdf/data/2025/3.pdf /居住形態別 https://petfood.or.jp/pdf/data/2025/4.pdf /調査設計 https://petfood.or.jp/pdf/data/2025/1.pdf
  2. 同「令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査」 主要指標(家族構成別飼育率・飼育意向・推計式) https://petfood.or.jp/pdf/data/2024/3.pdf /飼育阻害要因 https://petfood.or.jp/pdf/data/2024/7.pdf /入手先 https://petfood.or.jp/pdf/data/2024/11.pdf
  3. 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計 第3-2表・第8-4表 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?toukei=00200522
  4. 内閣府「動物愛護に関する世論調査」平成22年9月 https://survey.gov-online.go.jp/h22/h22-doubutu/index.html (集計表 表2-1・3-1・9-1)
  5. 国土交通省「平成30年度マンション総合調査」管理組合向け調査 表24① https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001723256.xlsx /令和5年度 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750161.pdf
  6. 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf /国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブル」 https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/chintai.html
  7. 総務省統計局「家計調査」家計収支編 二人以上の世帯 第4-1表(2023・2024・2025年) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&stat_infid=000040409546 ほか
  8. 環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」令和6年度 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r07/2_4_3a.pdf /令和5年度 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r06/2_4_3a.pdf
  9. 大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県 動物愛護管理推進計画、大阪市「街ねこ事業」 https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/cmsfiles/contents/0000371/371503/R7machineko.pdf 、京都市「まちねこ活動支援事業」 https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000189400.html 、神戸市人と猫との共生推進協議会 https://kobeneko-happy.com/pdf/joukyo_R8_3.pdf
  10. 建設省告示第1400号「不燃材料を定める件」 https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201703/00006465.pdf /日本漆喰協会 https://www.shikkui.gr.jp/funen-ninsho /JIS A 6909:2014 /日本建材・住宅設備産業協会「調湿建材判定基準」 https://www.kensankyo.org/nintei/tyousitu/kijyun.pdf /日本建築仕上学会 2015年大会論文 https://www.jstage.jst.go.jp/article/finex/2015/0/2015_08/_pdf/-char/ja

民間調査・企業発表

  1. 積水ハウス 住生活研究所「ペットとの暮らしに関する調査(2024年)」2025年2月21日 https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20250221/
  2. パナソニック ホームズ「賃貸住宅におけるペット飼育に関する意識調査」2025年2月20日 https://homes.panasonic.com/company/news/release/2025/0220.html
  3. LIFULL「ペット可賃貸に関する調査」2025年5月29日 https://lifull.com/news/43335/
  4. 日東エルマテリアル「LSしっくいテープ」製品データシート https://www.nitto-lmaterials.com/product/safety/stucco/pdf/data_sheet/stucco_ds.pdf
  5. 野村工務店 プレスリリース(@Press)2026年8月10日 https://www.atpress.ne.jp/news/622040 /2026年8月12日 https://www.atpress.ne.jp/news/622220
  6. 株式会社Shido「不動産業界向けマーケティング資料」6市版(2026年9月18日) https://shido-creative.jp/marketing/report/realestate/building/osaka/ ほか

数値を読むうえでの注意