株式会社Shido 調査レポート
「推し活」は、アイドル・アニメ・VTuber・スポーツ選手など、好きな対象を応援するための消費の総称です。公的統計に「推し活」という区分はなく、市場規模は調査ごとに定義が大きく違います。本資料は、定義の違いを明示したうえで、消費者の支出、売れている商品、オンラインで売る仕組み、規制を一冊にまとめたものです。
引用される数字は、消費者アンケートからの推計、分野別の市場の積み上げ、産業統計の3種類に分かれます。対象も期間も違うため、足したり比べたりできません。資料に書くときは必ず定義を併記してください。
| 物差し | 最新値 | 期間 | 範囲・性格 |
|---|---|---|---|
| 推し活総研「推し活実態アンケート」 | 約4.1兆円 | 2026年1月調査(年間) | 15〜69歳23,125人の回答から、推し活人口1,940万人×平均年間支出209,716円で推計。遠征・ネイルなど周辺支出を含む。前年調査は約3.5兆円 |
| 矢野経済研究所「オタク市場」16分野 | 約1兆90億円 | 2024年度(予測値) | アニメ・アイドル・同人誌など16分野の市場規模。分野ごとに算出基準が違い重複もあるため、合計は参考値(野村證券の集計) |
| 日本動画協会「アニメ産業市場」 | 3兆8,407億円 | 2024年(暦年) | ユーザーが支払った金額の推定。うち国内1兆6,705億円、海外2兆1,702億円 |
| ぴあ総研「ライブ・エンタテインメント市場」 | 8,564億円 | 2025年(暦年) | 音楽・演劇などのチケット推計販売額。グッズ・遠征費は含まない |
| 日本玩具協会「国内玩具市場」 | 1兆1,664億円 | 2025年度(見込み) | メーカー希望小売価格ベース。トレカ・ぬいぐるみ・ホビーなどを含む |
推し活をする人は1年で4割増えました。一方で1人あたりの平均支出は下がり、中央値は約4万円にとどまります。少数の熱心な層が平均を押し上げている構造です。
| 項目 | 2025年1月 | 2026年1月 |
|---|---|---|
| 推し活をしている人の比率 | 16.7% | 24.0% |
| 推し活人口 | 1,384万人 | 1,940万人 |
| 1人あたり年間支出(平均) | 255,035円 | 209,716円 |
| 1人あたり年間支出(中央値) | ─ | 約4万円 |
| 市場規模(推計) | 約3.5兆円 | 約4.1兆円 |
| 調査 | 対象 | 年間支出 |
|---|---|---|
| 矢野経済研究所(2025年7月) | 15〜69歳10,000人。オタク31分野 | 平均50,472円(0円回答を含む)。最多は1万〜5万円未満の31.3% |
| FPパートナー(2025年11月) | 20〜59歳1,500人 | 平均120,841円(男性124,938円・女性116,550円) |
| ハルメク(2025年) | 50〜88歳の女性529人 | 推しにお金をかけている人の平均114,039円(前年より増加) |
推し活の「モノ」の動きは、日本玩具協会の市場統計にはっきり出ています。キャラクター玩具が減る一方で、カードゲーム・トレーディングカードとぬいぐるみが急伸しています。
| 分野 | 金額 | 前年度比 |
|---|---|---|
| ぬいぐるみ | 624億円 | 138.2% |
| ハイテク系トレンドトイ | 212億円 | 115.5% |
| カードゲーム・トレカ | 3,384億円 | 111.9% |
| ホビー(プラモデル・フィギュア等) | 1,960億円 | 106.3% |
| キャラクター玩具 | 681億円 | 89.1% |
| 玩具市場 合計 | 1兆1,664億円 | 106.3% |
推し活のオンライン販売は、商品の作り方と代金の受け取り方で6つに分かれます。推し活に限ったEC化率の公的統計はありませんが、近い分野の「書籍・映像・音楽ソフト」は物販ECで最もEC化が進んだ分野(56.45%、2024年、経済産業省)です。
権利元・メーカーの公式通販。在庫リスクを事業者が持つため、売れ残りと品切れの両方が起こりえます。購入先の最多は「公式ショップ・物販」(72.0%)です。
注文を受けてから作る。在庫リスクを抑えられる一方、届くまで数か月かかることが多く、引渡時期の表示が重要になります(第6章)。
スマホ・PCで引くくじ。例えばKADOKAWAの「くじ引き堂」は、はずれなしのオンラインくじで、作品ごとに1回770円(税込)などの価格で販売しています。1回の単価は低く、回数で客単価が上がる型です。
月額会費で限定コンテンツや先行受付を提供。ファンクラブ基盤「Bitfan」の有料会員数は134.2万人(旧SKIYAKI、2024年1月期)。チケットの先行受付や会員限定コンテンツを特典にして、毎月の会費を受け取る型です。
ライブ市場(8,564億円)の入口。転売は法律で規制され(第6章)、行けなくなったチケットのために公式リセール(定価での再販売)を用意する興行もあります。
ランダムグッズの交換や、売り切れ品の取引。公式の外で価格が決まるため、権利元の売上にならず、高額転売の温床にもなります。
中身が選べない「ランダムグッズ」「ブラインド販売」は、推し活グッズの代表的な売り方です。オンラインくじも同じ構造を持ちます。2026年の大規模な意識調査は、この売り方への不満の強さを示しています。
推し活のオンライン販売にかかわる主な法律です。いずれも、発売前から設計に入れておくと手戻りが少なくなります。
| 法律 | 内容 | 推し活ECでの論点 |
|---|---|---|
| チケット不正転売禁止法 | 2019年6月14日施行。興行主の同意のない有償譲渡の禁止と購入者の氏名確認などを券面に明記したチケット(特定興行入場券)の、業としての高額転売を禁止。罰則は1年以下の懲役(現・拘禁刑)または100万円以下の罰金、またはその両方 | 券面表示と本人確認の設計。公式リセールの用意 |
| 特定商取引法(通信販売) | 広告に商品の引渡時期などを表示(第11条)。申込みの最終確認画面に分量・価格・支払時期・引渡時期・申込期間・解除に関する事項を表示(第12条の6) | 受注生産・予約品の発送時期の明示。ファンクラブ等の月額課金の自動更新と解約方法の表示 |
| 景品表示法(ステルスマーケティング規制) | 2023年10月1日施行。広告であることを隠した表示を不当表示として規制。措置命令の対象は広告主 | インフルエンサー・ファンアカウントへの依頼投稿に「広告」「PR」の明示 |
ここまでのデータから導ける論点です。実際の優先順位は、扱う商品(グッズ・チケット・会員サービス)と、自社が権利元か販売者かによって変わります。
推し活人口は1年で約556万人増えましたが、平均支出は下がり、中央値は約4万円、月1万円未満が74.3%です。新しく入ってきた層に向けた、数千円で完結する商品が入口になります。
Shidoができること:価格帯別の商品構成と、ECサイト・商品ページの設計(EC、Web)
2026年調査で最も伸びたのは10〜40代の男性です。トレカ市場の拡大とも重なります。女性向けの見せ方だけでは取りこぼす層が出てきています。
Shidoができること:ターゲット別のクリエイティブと広告の出し分け(デジタルマーケティング、デザイン)
89.7%が「単価が上がっても選んで買える」を希望しています。ランダム販売の客単価は大きいものの、選べる販売や受注生産を組み合わせると、顧客の不満を減らしながら単価を保てる可能性があります。
Shidoができること:販売方式ごとの商品ページ・告知の設計と制作(EC、Web、デザイン)
ぬいぐるみは前年度比138.2%。推しのグッズは持ち歩いて撮影し、SNSに投稿されることで広がります。撮影されることを前提にしたデザインとハッシュタグの設計が販促になります。
Shidoができること:SNSで拡散される企画と、商品・使用シーンの撮影(SNSマーケティング、撮影・映像)
受注生産は在庫リスクを抑えられますが、届くまでの期間が長くなります。引渡時期の明示に加え、制作の進み具合を伝える連絡が、待つ時間の満足度を左右します。
Shidoができること:注文後のメール・LINE・SNSでの情報発信の設計(デジタルマーケティング、SNSマーケティング)
ファンクラブや定期便の月額課金は収益を安定させますが、定期購入の相談は3年連続で増えています。自動更新・解約方法・引き落とし日を申込み画面で明示することが信頼につながります。
Shidoができること:申込み画面・会員ページの設計と、表示事項のチェックリスト化(Web、EC)
推し活はファン同士の口コミで広がりますが、事業者が依頼した投稿はステマ規制の対象です。措置命令の対象は広告主のため、依頼の段階で表示のルールを決めておく必要があります。
Shidoができること:インフルエンサー施策の企画と、表示ルールの整理(SNSマーケティング、ブランディング戦略)
売り切れやランダム品は、フリマなど公式の外で取引されます。受注生産・再販・公式のトレードや公式リセールで、需要を公式の売上に戻す設計が考えられます。
Shidoができること:再販・受注の告知と特設ページの制作(Web、EC、マス・メディア広告)
| 知りたいこと | 現状 | 入手の方法 |
|---|---|---|
| 推し活関連のEC化率・EC市場規模 | 公的統計に「推し活」の区分がない | 自社・モールの販売データ、調査会社への個別委託 |
| 支出の内訳(グッズ・チケット・遠征・配信・ファンクラブ)の金額 | 推し活総研の公式noteに掲載とされるが、公開範囲で金額を確認できなかった | 同調査の詳細レポート |
| オンラインくじの市場規模 | 国内の公表値が見当たらない。各社の売上も非公表 | 事業者の決算資料、調査会社への委託 |
| ファンクラブ会員の継続率 | 各社とも公表していない | 自社の会員データで算出 |
| アニメ産業の商品化分野(2024年) | 速報では全体と国内・海外のみ公表 | 「アニメ産業レポート2025」本編 |
本資料は公的統計・業界団体・民間調査の公表値に基づく汎用版です。貴社のデータを重ねると、どの商品を、どの売り方で、誰に届けるべきかが具体的になります。
以下の情報をお預かりできれば、貴社の扱う作品・アーティストのファン層に合わせて、商品構成、販売方式、ECサイト、SNS施策まで、優先順位をつけてご提案します。
在庫販売・受注生産・くじ・ランダムの別の売上と粗利。どの売り方が利益を作っているかを分けて見ます。
年代・性別・購入回数・会員の継続期間。新しく入ってきたライト層がどこで止まっているかを特定します。
発売日のアクセス集中、カート離脱、売り切れ時の行動。販売開始の設計を見直します。
投稿別の保存・シェア・プロフィールアクセス、ファンの投稿の量。撮られて広がる商品を見分けます。
発送時期、ランダム品、転売への不満の生の声。販売方式の改善に直結します。
媒体別の広告費と、インフルエンサーへの依頼内容。効果と表示ルールの両面から点検します。
進め方:データはExcel・CSV・管理画面のエクスポートのままで結構です。お預かりから2週間で、収益構造の分析、優先施策、EC・SNS・販売方式の改善案をまとめてご報告します。