株式会社Shido 調査レポート

通販(通信販売)業界マーケティング資料〈日本国内/市場規模・商品分野・媒体・消費者・広告・物流・規制〉

作成 2026年10月対象 日本国内の通信販売(カタログ・テレビ・ラジオ・新聞折込・インターネットの自社EC・モール)と、物販系EC。通販専業(定期購入を含む)を含むテーマ 市場規模の3つの物差し・商品分野別のEC化率・媒体とチャネル・家計と消費者・相談とトラブル・広告費・物流費・規制・主要企業主な根拠 日本通信販売協会(JADMA)/経済産業省/総務省統計局/国民生活センター/電通/国土交通省/消費者庁/個人情報保護委員会/国税庁/楽天グループ・ZOZO・LINEヤフー・メルカリ・各社IR

日本の通販(EC含む)の売上高は、日本通信販売協会(JADMA)の推計で、2025年度に15兆4,085億円(前年度比+5.9%)です。2016年度(6兆9,400億円)から2.2倍になり、年平均で約9.3%伸びてきました。ただし伸び率は2020年度の+20.1%、2022年度の+10.9%から、+5.9%まで下がっています。経済産業省の統計では、物販系ECは2024年に15兆2,194億円(EC化率9.78%)で、スマートフォン経由が61.7%です。家計では、二人以上世帯の56.9%がネットショッピングを利用し(2025年)、1世帯あたり月に26,928円を使っています。一方で、国民生活センターに寄せられた通販の相談は2025年度に382,721件(全相談の38.0%)で、定期購入の相談は9万8千件に上ります。物流では、日本郵便が2026年10月にゆうパックを平均約10%、佐川急便が2027年1月に飛脚宅配便を約13.8%値上げします。規制では、消費者庁の検討会が2026年9月に、ダークパターンや最終確認画面の支払総額表示などを盛り込んだ特定商取引法の見直しの中間取りまとめを公表しました。本資料は、通販事業者、参入を検討する事業者、広告・制作を担う会社に向けて、公的統計と各社の公表値だけで業界を整理したものです。通販の「市場規模」には3つの物差しがあり、混ぜて使えない点を、第1章で先に確認します。

15.4兆円
通販(EC含む)の売上高(JADMA、2025年度の速報)。前年度比+5.9%、2016年度の2.2倍
9.78%
物販系ECのEC化率(経済産業省、2024年)。市場規模15兆2,194億円。食品は4.52%、家電は43.03%
61.7%
物販系ECに占めるスマートフォン経由の比率(経済産業省、2024年)。9兆3,904億円
56.9%
ネットショッピングを利用した二人以上世帯の割合(総務省、2025年)。月平均26,928円(前年比+8.0%)
38.2万件
通信販売に関する相談(国民生活センター、2025年度)。全相談の38.0%。定期購入の相談は98,455件
50.3億個
宅配便の取扱個数(国土交通省、2024年度)。前年度比+0.5%、2015年度の1.34倍。再配達率は8.3%
CHAPTER 1

市場の全体像 ── 15.4兆円。ただし「市場規模」の物差しは3つある

通販の市場規模は、日本通信販売協会(JADMA)、経済産業省、メディア開発綜研(公正取引委員会の調査報告書への掲載値)で、定義も年次も違います。数字が似ていても、足したり引いたりできません。

通販(EC含む)の売上高の推移 単位:兆円、年度(4月〜翌3月)。日本通信販売協会「通販市場売上高調査」。
2025年度は15兆4,085億円で、前年度から8,585億円増えました。2019年度(8兆8,500億円)からの6年間で74%の増加です。前年度比は2020年度に+20.1%(巣ごもり需要)、2022年度に+10.9%、2024年度に+7.3%、2025年度に+5.9%と、伸びは鈍化しています。数値はすべて速報で、2025年度の調査対象は会員375社と、推計した有力非会員431社です。
物販系ECのEC化率の推移 単位:%、暦年。経済産業省「電子商取引に関する市場調査」令和6年度(2025年8月)。
EC化率は2014年の4.37%から2024年の9.78%へ、10年で2.2倍になりました。物販系の市場規模は6兆8,043億円から15兆2,194億円(2.24倍)です。2020年に8.08%へ跳ね上がった後は、年に0.2〜0.7ポイントずつの上昇に落ち着いています。2024年は+0.40ポイントでした。

3つの「市場規模」の違い

物差し最新の数値期間範囲
JADMA「通販市場売上高調査」15兆4,085億円(2025年度、速報)年度(4月〜翌3月)会員企業の売上と、推計した有力非会員の売上。衣料品・雑貨・化粧品・健康食品などの物販が中心。EC含む
経済産業省「BtoC-EC市場規模」物販系15兆2,194億円(2024年)。サービス系8兆2,256億円、デジタル系2兆6,776億円、3分野合計26兆1,225億円暦年(1〜12月)消費者向けEC。EC化率は物販系のみ算出(9.78%)。サービス系(旅行・飲食・チケット等)は通販に含めない
メディア開発綜研「インターネット通販市場(物販)」11兆4,572億円(2024年、前年比+3.6%)暦年公正取引委員会の電子商店街調査報告書に掲載された値。電通「情報メディア白書2026」の図表で確認
JADMAと経済産業省は、年度と暦年が違い、対象の範囲も違うため、差を取って「伸びた分」を論じることはできません(2025年度のJADMA 15.4兆円と、2024年の経済産業省 15.2兆円は、たまたま近い値です)。本資料では、市場全体の推移はJADMA、商品分野別・スマホ比率・EC化率は経済産業省、家計の支出は総務省、というように、指標ごとに出典を固定しています。経済産業省の令和7年度版(2025年実績)は、2026年10月10日時点で未公表です。他に、経済産業省の統計では、CtoC-EC(フリマ等)が2兆5,269億円(+1.82%)、BtoB-ECが514兆4,069億円(EC化率43.1%)で、BtoCとは別の市場です。

全国の小売全体に対する通販の位置

電通の「情報メディア白書2026」は、JADMAの売上高(14兆5,500億円)を、経済産業省の小売業商業販売額(165兆3,770億円)で割った8.8%を、2024年度の「小売業に占める通販の比率」としています(2020年度比+1.6ポイント、2023年度比+0.5ポイント)。分子と分母の出典が異なる概算で、厳密な市場シェアではありません。
CHAPTER 2

商品分野別 ── 家電・書籍はEC化が進み、食品・化粧品はこれから

経済産業省の物販系ECは、8分野に分かれます。分野によってEC化率は4%台から56%台まで開いています。通販専業が強い食品・化粧品・健康食品は、EC化率が低い分、伸びしろの大きい分野です。

物販系ECの市場規模(分野別) 単位:億円、2024年。右にEC化率を表示。経済産業省。
市場規模の上位は食品・飲料・酒類(3兆1,163億円)、衣類・服装雑貨、生活家電・AV・PC、生活雑貨・家具の4分野で、物販系ECの73.7%を占めます。食品は前年比+6.36%と最も伸びた分野です。化粧品・医薬品は+4.54%、衣類は+4.74%、書籍・映像・音楽は−0.84%でした。

EC化率が違う理由

分野(2024年)EC化率全体の商取引(逆算)
書籍・映像・音楽ソフト56.45%約3.3兆円
生活家電・AV・PC・周辺機器43.03%約6.4兆円
生活雑貨・家具・インテリア32.58%約7.9兆円
衣類・服装雑貨等23.38%約12.0兆円
化粧品・医薬品8.82%約11.5兆円
食品・飲料・酒類4.52%約68.9兆円
自動車・自動二輪・パーツ等4.16%約8.0兆円
その他2.08%約37.5兆円
物販系 合計9.78%約155.6兆円
「全体の商取引(逆算)」は、ECの市場規模をEC化率で割ったShidoの計算で、経済産業省の公表値ではありません(8分野の合計は155.5兆円で、合計行155.6兆円と1,000億円程度ずれます。EC化率の丸めによる差です)。食品は商取引の全体が約69兆円と大きく、EC化率が1ポイント上がると約0.7兆円の市場が生まれます。

家計のネットショッピング支出から見た品目

ネットショッピング支出の品目別構成 単位:%、2025年、二人以上世帯。総務省「家計消費状況調査」。
旅行やチケット、保険といったサービスを含むため、通販(物販)だけの構成ではありません。物販では、食料が21.6%と最大です。月額で見た食料は5,823円(前年比+11.4%)で、2019年の1,986円から2.9倍になっています(2021年1月の調査票変更があり、2020年以前とは厳密に連続しません)。

通販の主力品目の月額(二人以上世帯)

品目(円/月)2019年2024年2025年2025年の前年比
食料(食料品・飲料・出前)1,9865,2255,823+11.4%
衣類・履物1,5592,5362,649+4.5%
家電9341,2891,423+10.4%
保健・医療(医薬品・健康食品)6701,0761,090+1.3%
 うち健康食品542799806+0.9%
化粧品547895929+3.8%
書籍284432414−4.2%
総務省「家計消費状況調査」年報(二人以上の世帯、1世帯あたり1か月)。2025年の前年比はShidoの計算。健康食品(+0.9%)と化粧品(+3.8%)は、ネット支出全体(+8.0%)より伸びが小さく、通販専業が強い分野で市場の成長が一服しています。
定期購入(サブスク)の市場規模は非公表です。公的統計にも業界団体にも、モノの定期購入の市場規模を示す無料の公表値はありません。矢野経済研究所は2023年のBtoCサブスクリプション市場を9,430億3,000万円(前年比+5.2%の見込み、エンドユーザー支払額)と公表していますが、定期宅配サービス(モノの定期購入)は対象外で、通販の定期購入の規模ではありません。本資料では定期購入の規模を示す数値は使いません。JADMAの媒体別・商品別の売上構成も、有料の「通信販売企業実態調査報告書」(第43回)にしか載っていないため、取得していません。
CHAPTER 3

媒体・チャネルと主要企業 ── ネットが主役、テレビ通販は4.6%

通販企業の広告媒体は、ネットを軸に、DM・新聞・テレビ・カタログを併用する形です。受注の媒体別の売上構成は有料の調査にしかなく、ここでは「どの媒体を使っている会社が多いか」と、テレビ通販の市場規模で整理します。

通販企業が利用している広告媒体 単位:%、2024年度、複数回答。JADMA「通信販売企業実態調査」(電通「情報メディア白書2026」図表9-4)。
インターネット(パソコン)は96.3%、携帯端末は89.6%の企業が利用しています。2023年度からの変化は、DM 50.7→57.0%、テレビ 42.8→46.7%、新聞 40.1→44.4%、カタログ(17頁以上)34.9→43.7%といずれも上昇しました。これは企業が使っている媒体の割合で、売上の構成比ではありません。
テレビ通販の市場規模と通販全体に占める比率 単位:億円、年度。メディア開発綜研(電通「情報メディア白書2026」図表9-7)。
テレビ通販は4年間で6,845億円から6,640億円へ微減する一方、通販全体の拡大で、シェアは6.6%から4.6%に低下しました。検算:6,640億円÷145,500億円(JADMA 2024年度)=4.56%です。電通の「日本の広告費」2025年版は、BS・CSの衛星メディア関連広告費(1,223億円、−2.5%)について、物価高でテレビ通販市場が横ばい〜縮小の影響を受けたと説明しています。

スマートフォンとモバイル

指標数値
物販系ECのスマホ経由(2024年)9兆3,904億円(61.7%)
同・前年からの増加+7,723億円(+9.0%)
同・2023年のスマホ比率(Shidoの計算)58.7%
JADMA調査:購入時に見た広告媒体がスマホ等のネット(2024年)72.0%(+6.9pt)
同・申込手段がスマホ等のネット76.4%
同・返品経験29.9%
経済産業省の値は、総務省「家計消費状況調査」とeMarketerの推計などによる推計値です。JADMAの値は「全国通信販売利用実態調査」(2024年、15〜79歳1,200人)で、電通「情報メディア白書2026」図表9-13〜9-17から取りました。2025年分の公開値は取得できていません。

越境EC(日本・米国・中国の3か国間)

方向(2024年)市場規模
日本の消費者が米中のECで購入4,410億円(+4.8%)
 うち米国経由/中国経由3,945億円/466億円
中国の消費者が日本の事業者から購入2兆6,372億円(+8.5%)
米国の消費者が日本の事業者から購入1兆5,978億円
経済産業省「電子商取引に関する市場調査」令和6年度。日本・米国・中国の3か国間のみの推計で、世界全体ではありません。日本の事業者が海外へ売る越境ECは、日本の消費者が海外から買う額の約9.6倍(4.2兆円÷0.44兆円、Shidoの計算)です。

モール・プラットフォームの公表値(各社IR)

企業数値期間定義・注意
楽天グループ国内EC流通総額 6兆2,052億円(+3.3%)。2026年4〜6月は1兆5,322億円(+5.3%)2025年(暦年)、2026年Q22026年Q2に定義を見直し、過去値も遡及修正。2026年2月の決算発表時の6兆3,452億円(+3.9%)とは旧新の定義が異なり比べられません。サービス系(トラベル等)を含む
ZOZO商品取扱高 6,660億円(+8.4%)。うちZOZOTOWN事業5,166億円(+5.0%)。売上高2,283億円(+7.2%)2026年3月期取扱高と売上高は別概念。連結の取扱高には海外のLYSTなどを含む。年間購入者は1,317万人
LINEヤフーeコマース取扱高 4兆6,729億円(+7.1%)。うち国内ショッピング1兆8,660億円(+6.6%)2025年度国内ショッピングにZOZOTOWNなどを含み、ZOZOの取扱高と二重になる。前年度値は遡及修正後
メルカリMarketplace GMV 1兆2,856億円(+15%)。うち越境1,122億円2026年6月期フリマ(CtoC中心)。月間利用者2,419万人
Amazon(日本)日本法人の売上は非公表―参考:米国Form 10-Kの国別売上(Japan)は2025年に306億8,800万ドル(+12.0%)。全サービスを含むドル建てで、通販の売上ではない
モール、自社EC、D2Cの比率は非公表です。経済産業省にもJADMAの公開資料にも区分がありません。流通総額や取扱高は売上高ではなく、各社で定義が違うため、順位表にしたり足し合わせたりしないでください。

通販専業・ECの主要企業(連結、決算期別の公表値)

企業決算期売上高備考
ジャパネットホールディングス(非上場)2025年12月期2,908億円会社の公開買付け補足資料(2026年6月)。前期は2,725億円(報道値)
ZOZO2026年3月期2,283億円(+7.2%)営業利益694億円。商品取扱高は6,660億円
アスクル2026年5月期4,002億円(−16.8%)営業損失174億円。2027年5月期は売上4,900億円(+22.4%)を予想
ポーラ・オルビスHD2025年12月期1,703億円(±0.0%)オルビス単体の通販売上は短信の冒頭では取得できず
千趣会2025年12月期421億円(−8.3%)通信販売事業は360億円(−9.9%)、営業損失31億円。決算短信に継続企業の前提に関する注記あり
フェリシモ2026年2月期292億円(−0.9%)営業利益2億円(前期比3倍)。通販主体のためセグメント区分なし
ファンケル2024年3月期1,109億円(+7.0%)通販チャネルは化粧品336億円・栄養補助食品190億円。2024年12月に上場廃止し、以降の通期は取得できず
ベルーナ2025年3月期2,109億円2026年3月期は会社予想2,180億円。実績の原本は未入手
各社の決算短信・決算説明資料・公開買付け補足資料。億円未満を四捨五入しています。JADMAは通販会社の売上ランキングを公表していません。DHC、再春館製薬所、やずや、サントリーウエルネス、ジュピターショップチャンネル、QVCジャパンは非公表、ニッセンホールディングスは最新値を取得できず、ディノスは報道値(2025年3月期475億円)のみで一次資料を確認できていません。楽天は流通総額、ZOZOは取扱高と売上高、Amazonは暦年のドル建てと、基準が揃わないため、売上高の順位表にはしていません。
CHAPTER 4

家計と消費者 ── 利用世帯は56.9%。40代が最も使い、70代以上はまだ少ない

総務省の「家計消費状況調査」(毎月・二人以上世帯)は、ネットショッピングの支出と利用世帯の割合を毎年公表しています。「全国家計構造調査」(5年ごと)は、どの購入先で買ったかを調べています。いずれも、旅行やチケットなどのサービスを含む場合があるため、各表の注記を確認してください。

ネットショッピングの支出額(1世帯あたり1か月) 単位:円、暦年平均、二人以上世帯。総務省「家計消費状況調査」。
2025年は26,928円で、2017年(10,586円)の2.5倍、前年比+8.0%でした。物価上昇率(持家の帰属家賃を除く総合で+3.7%)を上回っています。年額に換算すると約32.3万円(26,928円×12、全世帯の単純な年換算)です。2021年1月に調査票が一部変更されているため、2020年以前との比較には注意してください。
世帯主の年齢階級別の月額 単位:円、2025年、二人以上世帯。同調査。
最も多いのは40〜49歳の37,865円で、40歳未満が36,726円、50代が33,955円です。70歳以上は14,692円と、40代の約39%にとどまりますが、前年比は+11.4%と全階級で最も伸びました。全階級で前年比はプラスです。利用世帯の割合は、年代別の公表値を取得できていません。
年(暦年)2017201920202022202320242025
利用世帯の割合(%)34.342.848.852.753.555.356.9
利用世帯あたりの月額(円)30,89433,46133,35339,44342,93745,04747,300
総務省「家計消費状況調査」年報(二人以上の世帯)。2025年は調査開始(2002年)以来の最高で、利用世帯の割合と支出額が過去最高です。2026年8月の月次は、支出が前年同月比で名目−1.4%、利用世帯の割合は54.9%と、単月で前年を下回りました(単月値は年次と比較しません)。

購入先別に見た通販(2019年と2024年)

通信販売の購入額 単位:円、11月1か月・1世帯あたり、総世帯。総務省「全国家計構造調査」。
通信販売(インターネット)通信販売(その他:カタログ・テレビ・ラジオ等)
インターネット通販は4,961円から9,971円へ約2.0倍に増え、消費支出に占める割合は3.3%から6.1%になりました。カタログ・テレビ等の「その他」は1,629円から1,833円と微増で、割合は1.1%のまま動いていません。消費支出の合計は149,029円から164,305円です。11月の1か月だけの値で、年間値ではありません。
世帯主の年齢別のインターネット通販の割合 単位:%、2024年11月、消費支出に占める割合。同調査。
30歳未満は14.1%と、全体(6.1%)の2.3倍です。一方、カタログ・テレビ等の「その他」の通販は逆に年齢が高いほど割合が上がり、80歳以上で3.0%(1,901円のインターネットに対し3,799円)です。高齢層は紙とテレビ、若年層はネットという二層になっています。
都道府県別のインターネット通販の割合(2024年11月)は、東京10.4%、神奈川8.5%、埼玉7.6%、徳島7.4%、千葉7.2%、大阪6.5%が上位で、最も低いのは香川2.1%、次いで青森2.8%、岐阜2.8%です(全国6.1%)。関西は大阪6.5%、滋賀5.3%、兵庫5.1%、奈良5.0%、和歌山4.6%、京都4.5%でした。東京は2019年の6.0%から+4.4ポイントと、地域差が広がっています。

通販の利用状況(個人)

指標数値出典・時期・母数
ネットで商品・サービスを購入した人(インターネット利用者に占める割合)60.7%(前年60.8%)。デジタルコンテンツを除くと49.9%総務省「通信利用動向調査」令和7年(2025年8月末時点、インターネット利用者34,322人、複数回答)、2026年5月29日公表
フリマ・オークションの利用22.1%(前年24.7%)同上
通販の年間個人利用率60.8%(前年から+6.5pt)。男性54.8%、女性66.6%。年間利用回数は男女とも11.8回JADMA「全国通信販売利用実態調査」2024年、15〜79歳1,200人(電通「情報メディア白書2026」経由)
ネット利用で不安を感じる人の不安内容:個人情報・利用履歴の漏えい89.4%総務省「通信利用動向調査」令和5年(経済産業省報告書が引用)
JADMAの利用実態調査は、2025年分(第33回報告書、2026年5月発行)の数値が無料では公開されていないため、2024年の値を使っています。購入理由の公的調査は取得できませんでした。総務省の「購入した人」の割合と、家計消費状況調査の「利用世帯の割合」は、対象(個人と世帯)が違うため、同じ表に並べても差を論じられません。
CHAPTER 5

相談とトラブル ── 通販の相談は年38万件。定期購入は60代以上が6割

国民生活センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク)には、通信販売に関する相談が毎年30万件台で寄せられます。通販事業者にとっては、規制と信頼の両方にかかわる数字です。

通信販売に関する相談の件数 単位:万件、年度、販売購入形態が「通信販売」。国民生活センター(2026年8月5日公表、2026年5月末登録分)。
2025年度は382,721件で、前年度から46,256件(+13.7%)増えました。全相談件数は1,006,377件(前年度913,355件)と100万件を超え、通販の割合は38.0%です。割合は2020年度の39.7%、2022年度の40.7%から見て、通販が全相談の4割前後を占める状態が続いています。
相談者の年代(2025年度) 単位:%、手口別の「インターネット通販」と「定期購入」。同公表資料。
インターネット通販定期購入
定期購入は、60代(26.3%)と70歳以上(34.4%)で合わせて60.7%を占めます。インターネット通販は50代以上が62.2%で、定期購入より分散しています。30代以下は定期購入の相談が少なく(20代2.2%、30代2.7%)、相談者の年代が通販の主な利用世代と一致しない点に注意が必要です。
手口・項目(2025年度)件数前年度平均契約購入金額平均既支払金額
インターネット通販(手口別)225,388件191,471件(+17.7%)195,729円183,598円
定期購入(手口別)98,455件94,559件(+4.1%)16,094円4,444円
化粧品(商品別)65,382件(+7.9%)―――
健康食品(商品別)38,310件(−7.4%)―――
紳士・婦人洋服(商品別)21,729件(+45.6%)―――
平均金額は0円を含む算術平均。前年度の件数は、2026年の表に載った最新時点の値です。PIO-NETは同じ年度でも集計時点で件数が変わるため(2024年度のインターネット通販は、発表時は190,834件、翌年の表では191,471件)、前年比は同じ時点の表同士で比べています。「手口別」は販売購入形態が通信販売以外の相談も含みます。国民生活センターは別集計として「通信販売での定期購入(商品に限定)」も公表しており、2023年度80,315件、2024年度89,401件、2025年度93,065件(2026年5月31日現在)です。手口別の98,455件とは定義が違うため、混ぜていません。「詐欺的な定期購入」だけを数えた件数は、公表を確認できませんでした。

65歳以上の相談(2025年度)

区分相談件数うち通販
65歳以上330,497件(全体の37.7%)118,301件(35.8%)
65歳未満―232,599件(42.5%)
インターネット通販(65歳以上/未満)69,399件/141,247件
定期購入(65歳以上/未満)46,958件/47,387件
国民生活センター(2026年9月16日公表、2026年7月31日登録分)。通販の割合は65〜69歳で最も高く48.4%、年齢が上がると下がります。

通販広告の問題実態(JADMA)

項目数値
収集した広告/問題があった広告1,108件/284件
問題広告の媒体:SNS31.7%
同:Web31.0%
同:新聞・雑誌17.3%
主な手法虚偽が疑われる体験談、定期購入条件の誤認、成分の誇大表現
JADMA「通販広告実態調査」2025年度(2025年10月6〜19日に調査、2026年5月29日公表)。広告の問題件数であり、売上の構成比ではありません。
CHAPTER 6

広告と集客 ── インターネット広告費は4兆円超。物販系ECの広告は+12.5%

電通「日本の広告費」には、「通販広告費」という区分はありません。通販に関係の深い区分は、インターネット広告(検索・ソーシャル・動画)、物販系ECプラットフォーム広告、DM、折込です。リピート率・CPA・LTVの業界全体の公表値は、取得できませんでした。

通販に関係の深い広告費の区分 単位:億円、2025年(暦年)、右に前年比。電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日公表)。
インターネット広告費の内訳インターネット以外
インターネット広告費は4兆459億円(+10.8%)で、総広告費8兆623億円(+5.1%)の50.2%と、初めて過半を占めました。検算:媒体費33,093億円+物販系ECプラットフォーム広告費2,444億円+制作費4,922億円=40,459億円で、公表値と一致します。DMは2024年10月の郵便料金改定で減り、通販系はパーソナライズした同梱型に移っています。折込は全体で減る中、業種別では通信販売業が増加と電通は記しています。

インターネット広告媒体費の内訳(2025年)

区分金額前年比・構成比
インターネット広告媒体費3兆3,093億円+11.8%
 ビデオ(動画)広告1兆275億円+21.8%
 ソーシャル広告(種別を横断)1兆3,067億円+18.7%(構成比39.5%)
 検索連動型(金額は非掲載)約1.28兆円(Shido計算)構成比38.7%
 運用型広告2兆9,352億円+12.5%(構成比88.7%)
 予約型広告3,042億円+9.1%
 成果報酬型広告699億円−3.9%
2026年の媒体費の予測3兆5,840億円+8.3%
CARTA HOLDINGS・電通・電通デジタル・セプテーニ「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日)。ソーシャルは広告種別を横断する別の切り口のため、動画・検索と足せません。「成果報酬型」にアフィリエイト単独の区分はなく、近い概念として掲載しました。

LINE公式アカウント(CRM)

指標(LINEヤフー、2025年度)数値
有償のLINE公式アカウント数(日本)273千件 → 311千件(図からの目視読み取り)
アカウント広告の売上(日本)1,263億円 → 1,457億円(+15.3%)
LINEミニアプリの月間利用者2,897万人
LINEヤフー決算説明資料(2026年5月8日)。有償アカウント数は図の読み取りで、グローバルと日本の区別にわずかに読み違いの余地があります。通販向けの購入率・開封率といった効果の公表値は取得できていません。

取得できなかった広告・CRMの指標

  • リピート率・定期顧客比率・CPA・LTV:業界団体や公的機関の無料の公表値はありません。個社のIRと、JADMAの有料報告書に限られます。
  • ライブコマース・SNS経由購買の市場規模:経済産業省・総務省・電通のいずれも、金額を公表していません。
  • アフィリエイトの市場規模:電通の統計に独立した区分がありません。
CHAPTER 7

物流とコスト ── 宅配便は年50億個。2026年10月から送料が上がり始める

通販の利益を左右するのは、広告費と並んで送料です。宅配便の取扱個数は伸びが止まり、運賃の改定が毎年続いています。再配達率は下がってきましたが、置き配や宅配ボックスの普及が次の課題です。

宅配便の取扱個数 単位:億個、年度(4月〜翌3月)。国土交通省「宅配便・メール便取扱実績」。
2024年度は50億3,100万個(前年度比+0.5%)で、2015年度の37億4,500万個から1.34倍(年平均+3.3%)です。2020年度に+11.9%と跳ねた後は、年に0〜2%台の増加に落ち着いています。うちトラック運送が49億2,600万個、航空等利用運送が1億500万個です。ゆうパケットは2016年10月にメール便から宅配便の区分に変わり、2017年度以降は通期で宅配便に含まれます。
再配達率 単位:%、国土交通省のサンプル調査(4月・10月)。3社ベースと6社ベースは別系列。
大手3社ベース大手6社ベース(令和7年から)
2025年10月は6社ベースで8.3%(再配達281,719個÷総数3,413,494個=8.25%)、3社ベースで9.5%でした。地域別では都市部9.5%、都市部近郊7.7%、地方6.7%です。総合物流施策大綱(2026〜2030年度、2026年3月閣議決定)に基づき、国土交通省は毎年4月を再配達削減のPR月間にしています。

事業者別の取扱個数(2024年度・トラック運送)

便名(事業者)構成比前年度比
宅急便(ヤマト運輸)47.2%+1.2%
飛脚宅配便(佐川急便)25.8%−7.4%
ゆうパック(日本郵便)22.2%+8.5%
フクツー宅配便(福山通運他)2.8%+2.1%
カンガルー便(西濃運輸他)1.9%−3.2%
国土交通省(2025年8月27日公表)。上位3便で95.2%、合計は4,926,144千個です。「宅急便」にはネコポスが、「ゆうパック」にはゆうパケットが含まれます。メール便は33.4億冊(−7.3%)で、ヤマト運輸の「クロネコDM便」が2024年1月31日に廃止されたことが主因です(ゆうメールは+12.8%)。宅配便の個数には、BtoBや個人間の荷物も含まれ、ECの件数とは一致しません。令和7年度(2025年度)の実績は、2026年10月10日時点で公表を確認できていません。

主な運賃改定

事業者適用日改定の内容(各社の表現)
ヤマト運輸2023年4月3日約10%
ヤマト運輸2024年4月1日全体の改定率は約2%
ヤマト運輸2025年10月1日約3.5%(120〜200サイズなど。60〜100サイズは改定なし)
日本郵便(ゆうメール)2025年11月1日150gまで180→190円など
日本郵便(ゆうパック)2026年10月1日平均改定率は約10%。ゆうパケットの1cm以内250円・2cm以内310円を、ともに360円に
佐川急便2027年1月1日飛脚宅配便など約13.8%、飛脚航空便等は約2.7%(現行運賃と改定後運賃の比較で算出)
各社のニュースリリース。「平均」の定義が事業者で違うため、改定率の横並びの比較はできません。ヤマト運輸の2026年度の届出運賃の改定は、2026年10月10日時点で確認できていません。佐川急便の2023年・2024年の改定率は、一次資料の本文を取得できず、本表には載せていません。

物流に関する制度

項目内容時期
物流の2024年問題トラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限が適用。国の検討会は、対策をしない場合に営業用トラックの輸送能力が2024年に14.2%、2030年に34.1%不足すると試算(試算であり実績値ではない)2024年4月
物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)荷主・物流事業者の努力義務は2025年4月に施行。取扱貨物9万トン以上の荷主は特定荷主に指定され、中長期計画の作成、定期報告、物流統括管理者(CLO)の選任が義務に。中小の通販事業者は対象外が大半ですが、委託先の物流会社を通じて運賃やリードタイムの交渉に影響が及びます(Shidoの解釈)2025年4月・2026年4月
中小受託取引適正化法(取適法)旧・下請法。発荷主が運送事業者に運送を委託する場合が新たに対象に2026年1月1日
「送料無料」表示消費者庁が2023年6〜11月に計9回の意見交換会を開き、規制は見送って事業者の自主的な見直しを促す整理。取り組み事例にJADMAの自主行動計画、アマゾンジャパン、楽天市場、ファンケル等2023年
置き配国土交通省の検討会(2025年6〜11月)が、宅配ボックス・置き配など多様な受取方法の普及を提言。標準宅配便運送約款への追加を示す告示は未確認2025年11月
送料無料ラインの水準や分布を調べた公的調査、通販の返品率・返品件数の公的な数値は確認できませんでした(非公表)。国土交通省の宅配便の個数と経済産業省のEC市場規模は定義が違うため、1個あたりの金額などの割り算はしていません。
CHAPTER 8

規制の最新動向 ── 2027年の特商法改正に向けて、「画面」そのものが規制対象になる

通販事業者に直接かかわる法令を、根拠条文と施行日で整理します。解釈にあたる部分は「Shidoの解釈」と書き分けています。個別の事案は、弁護士や消費者庁の最新資料で確認してください。

法令・制度通販事業者にとっての要点時期
特定商取引法(通信販売)広告に販売価格・支払時期と方法・引渡時期・返品条件などを表示(11条)。誇大広告等の禁止(12条)。承諾のないメール広告の禁止(12条の3)。申込みの最終画面に分量・価格・支払時期・引渡時期などを表示(12条の6)。違反は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。通信販売にクーリング・オフはなく、商品の引渡しから8日以内は返品できるが、広告に返品特約を表示していれば特約が優先(15条の3)現行
令和3年の特商法改正詐欺的な定期購入への対策として、最終確認画面の表示義務、誤認による申込みの取消し権、解約の妨害の禁止を導入2022年6月1日施行
ステルスマーケティング規制(景品表示法の告示)事業者の表示であることが分かりにくい表示を禁止。規制の対象は広告主で、違反は措置命令(課徴金は対象外)2023年10月1日
景品表示法(令和5年改正)確約手続を導入。優良誤認・有利誤認の表示に直罰(100万円以下の罰金)。課徴金は対象期間の売上額の3%(150万円未満は納付を命じない)2024年10月1日
医薬品医療機器等法(薬機法)化粧品などの名称・効能・効果・性能に関する虚偽・誇大な広告を、明示・暗示を問わず禁止(66条)。課徴金は対価額の4.5%(75条の5の2)。健康食品が医薬品的な効能効果をうたえば、未承認医薬品の問題になり得る(Shidoの解釈)現行
機能性表示食品届出者に健康被害情報の収集・提供、衛生管理計画の作成と遵守を義務化。2025年10月1日には食品表示基準を改正し、届け出た機能性関与成分以外の成分を「添加していない」「含まない」旨を表示できるよう強調表示の扱いを見直し2024年9月1日/2025年10月1日
消費者契約法最新の施行済み改正は令和4年法律第59号(2023年6月1日施行)。改正の検討中で、検討会が2026年9月10日に中間取りまとめを公表。継続的契約からの離脱(解約妨害の禁止ほか)、解約料条項の実態を踏まえた仕組みなどが柱。法案は未提出検討中
個人情報保護法2026年7月10日に改正法が成立、7月17日に公布。課徴金制度の新設が柱の一つ。施行は公布から2年以内で政令で定める日。課徴金の最終的な要件・施行日は政令・条文で確認が必要2026年7月17日公布
インボイス制度(税制改正)2割特例は2026年9月30日を含む課税期間で終了し、個人事業者向けに3割特例(令和9年分・10年分)。免税事業者等からの仕入れの経過措置は2年延長して7・5・3割控除に見直し。消費者向けの販売自体は交付義務の対象外だが、法人向け取引では適格請求書が必要(Shidoの解釈)2026年10月1日以後の課税期間から
条文はe-Gov法令検索(2026年10月10日取得)、法令の概要は消費者庁・個人情報保護委員会・国税庁の公表資料です。通信販売は、消費者庁の取引対策課に2023年9月にデジタル班が設置され、令和6年5月〜12月の8か月で、通販の行政処分(指示・業務停止・業務禁止)は4案件、うち3案件に最終確認画面の表示義務違反が含まれていました(2025年1月16日の消費者庁資料)。

2026年9月の中間取りまとめ(デジタル取引・特定商取引法等検討会)

広告のダークパターン

契約の核心(支払金額・分量・契約期間)を正確かつ容易に認識できない表示・画面、口コミ・在庫・タイムセールなどの虚偽の表示、操作の反復や威迫的な文言で申込みをさせる表示に規律をかける方向です。広告であることが判別しにくい表示の禁止も論点です。具体的な範囲は、下位法令やガイドラインで示すとされています。

最終確認画面と契約後

最終確認画面で支払総額の表示を求め、取引条件を分けて表示することの禁止を盛り込みました。注文確定後に別の内容の契約を示すアップセルは、変更前後の対照表示を義務づける案です。注文完了後に契約内容を電子書面で交付する義務も示されています。

解約場面

返品特約のみを理由に、法定の返品権以外の権利(債務不履行による解除など)を一律に拒む行為を、行政処分の対象にする案です。解約手続きを不当に遅らせたり、合理的な理由なく複雑にしたりする行為も違法とする方向です。

SNS等のチャット勧誘

現行の通販規制には、勧誘行為そのものへの規律がありません。SNSなどのチャットでの勧誘は、電話勧誘販売と同等の規律(氏名・販売目的の明示、不実告知や威迫困惑の禁止、再勧誘の禁止など)を基本に検討するとされています。

消費者庁の中間取りまとめは令和8年(2026年)9月10日付で、意見募集が2026年9月16日に案内されました(意見募集の期間は未確認)。「2027年の通常国会への法案提出を目指す」は報道ベースで、政府の正式な発表は確認できていません。消費者庁のお知らせページの日付表記(2026年2月9日)と、PDF本体の日付が食い違っているため、本資料はPDF本体の日付を採用しています。
CHAPTER 9

マーケティングへの示唆 ── 「新規を取る」から「選ばれ続ける」設計へ

ここまでのデータから、通販事業者と参入検討者、広告・制作を担う側が取るべき打ち手を整理します。事業領域名は、株式会社Shidoの提供サービスです。

1. 市場は伸びるが鈍化する。新規獲得だけに頼らない

JADMAの売上高は+20.1%(2020年度)、+10.9%(2022年度)、+7.3%(2024年度)、+5.9%(2025年度)と伸びが鈍っています。ネットショッピング利用世帯は56.9%まで来ており、新たに利用を始める世帯の余地は小さくなりました。同じ顧客に選ばれ続ける購入後の設計(定期・再購入・会員化)が、広告費の効率を決めます。
Shidoができること:購入後の導線とリピート設計、LINEを使った顧客との継続接点の設計(デジタルマーケティング、SNSマーケティング)

2. 分野によってEC化率の伸びしろが違う

食品のEC化率は4.52%、化粧品・医薬品は8.82%で、家電(43.03%)や書籍(56.45%)より低く、食品は商取引の全体が約69兆円と大きな分野です。ただし家計の健康食品(+0.9%)と化粧品(+3.8%)の伸びは小さく、競争は激しくなっています。商品の差が出にくい分野では、ブランドの伝え方で選ばれる理由を作る必要があります。
Shidoができること:商品の価値を伝えるブランドの設計と、商品ページ・ブランドサイトの制作(ブランディング戦略、デザイン、Web)

3. スマホで申込みが完結する画面を前提にする

物販系ECの61.7%はスマホ経由で、通販の申込手段もスマホ等のネットが76.4%です。申込み画面の分かりにくさは、売上の機会損失であると同時に、今後は最終確認画面の支払総額の表示、ダークパターンの規律の対象になります。入力項目の少なさと、条件の明快さの両立が必要です。
Shidoができること:スマホ前提のLP・申込み画面・ECサイトの設計と制作、表示事項を踏まえたフォーム設計(Web、EC)

4. 媒体は「ネット+紙+テレビ」の組み合わせで見る

通販企業の96.3%がネット広告を使い、DM(57.0%)、テレビ(46.7%)、新聞(44.4%)、カタログ(43.7%)も併用しています。折込は全体で減る中、通信販売業で増えています。テレビ通販のシェアは6.6%から4.6%に下がりました。媒体を単独で評価せず、反応した顧客のその後の購入まで含めて比べるのが現実的です。
Shidoができること:ネット広告の運用と、新聞折込・テレビ・ラジオ等の媒体選定、反響の計測設計(デジタルマーケティング、マス・メディア広告)

5. 高齢層はカタログ・テレビ、若年層はネット。信頼の設計が要る

世帯主が80歳以上の世帯では、カタログ・テレビ等の通販(3.0%)がネット通販(1.5%)を上回ります。30歳未満はネット通販が14.1%です。一方、定期購入の相談の60.7%は60歳以上です。年代によって、媒体も、必要な説明の量も違います。解約方法や総額を、最初に分かりやすく見せることが、信頼とクレームの抑制になります。
Shidoができること:年代別のコミュニケーション設計と、カタログ・同梱物・LPの制作(デザイン、マス・メディア広告)

6. 表示と広告表現を、制作の工程に組み込む

景表法は優良誤認・有利誤認に直罰を設け、薬機法は化粧品の誇大広告に課徴金(4.5%)を設けています。ステマ規制は広告主が対象です。JADMAの調査では、問題のあった広告の媒体はSNS(31.7%)とWeb(31.0%)が中心でした。制作後に確認するのではなく、企画の段階で表示事項と表現のルールを決めておくほうが、手戻りが少なくなります。
Shidoができること:広告・LP・動画の企画段階での表現ルールの整理と、制作物の表示事項のチェックリスト化(Web、撮影・映像、SNSマーケティング)

7. 送料と物流の値上げを、価格と商品設計に織り込む

日本郵便が2026年10月にゆうパックを平均約10%、佐川急便が2027年1月に飛脚宅配便を約13.8%値上げします。ゆうパケットの1cm・2cm以内は360円に一本化されます。送料は「送料無料ライン」「同梱」「小型化」で吸収する設計が必要で、送料を負担するか、価格に含めるか、顧客にどう説明するかが、商品ページの訴求にも影響します。
Shidoができること:送料を含む価格・セット商品の設計と、ECサイトの表示・購入導線の改善(EC、Web)

8. モールに依存しない顧客との接点を持つ

楽天の国内EC流通総額は6兆2,052億円(2025年)、LINEヤフーの国内ショッピングは1兆8,660億円(2025年度)と大きく、モールは主要な販売先です。一方で、モール・自社EC・D2Cの比率は公表されていません。モールは集客力がある反面、顧客情報とリピートを自社に残しにくい面があります。個人情報保護法の改正(課徴金の新設)を踏まえ、顧客データの取得と利用の目的を整理しておく必要もあります。
Shidoができること:自社EC・SNS・LINEでの顧客接点づくりと、ブランドの世界観を伝える撮影・映像の制作(EC、SNSマーケティング、撮影・映像)

本資料の使い方:市場全体の推移はJADMA、分野別・スマホ比率はEC化率とあわせて経済産業省、家計の支出と年代差は総務省、トラブルは国民生活センター、広告費は電通、物流は国土交通省と各社のリリース、というように、指標ごとに出典を固定して読んでください。自社の商品分野がどのEC化率の帯にあるかを確認し、そのうえで、広告費・送料・リピートのどれが利益を左右しているかを、自社データで確かめるのが次の一歩です。
CHAPTER 10

Shidoからのご提案 ── 貴社のデータをお預かりできれば、通販の「勝ち筋」を数字で示せます

本資料は公的統計と各社の公表値に基づく、日本国内の汎用版です。貴社の商品・顧客・広告のデータを重ねると、どこに手を打つべきかが具体的になります。

ご提案:売上・広告・顧客のデータをお預かりして、通販の収益構造を分解します

以下の情報をお預かりできれば、貴社の商品分野・販売チャネル・顧客層に合わせて、集客、LP・申込み画面、リピート、物流コスト、表示ルールまで、優先順位をつけてご提案します。

商品別・チャネル別の売上

商品別、媒体別、モール/自社ECの別の売上と粗利。どの商品・どの経路が利益を作っているかを分けて見ます。

広告費と獲得データ

媒体別の広告費、獲得件数、初回購入単価。獲得単価(CPA)と、その顧客の累計購入額(LTV)を並べて、投下先を見直します。

顧客・会員データ

年齢、購入回数、定期の継続期間、解約の理由。リピートが止まる地点を特定し、LINE・メール・同梱物の設計につなげます。

LP・申込み画面のデータ

アクセス、離脱率、フォームの入力状況。スマホでの離脱と、表示すべき条件の見せ方を見直します。

物流・送料の実績

出荷件数、サイズ別の送料、配送会社との契約。2026〜2027年の改定の影響額を試算し、価格・セット・送料無料ラインを設計します。

広告・表示の現状

現行の広告、LP、SNS投稿、定期購入の表示。表示事項と表現の抜け・リスクを洗い出し、制作の工程に組み込みます。

進め方:データはExcel・CSV・管理画面のエクスポートのままで結構です。お預かりから2週間で、収益構造の分析、優先施策、広告・LP・CRM・物流の改善案をまとめてご報告します。

SOURCES

出典と注意事項

  1. 日本通信販売協会(JADMA)「2025年度 通販市場売上高調査」(2026年8月28日)、「2024年度 通販市場売上高調査」(2025年8月28日)、統計ページ・刊行物ページ、「通販広告実態調査」2025年度(2026年5月29日)。
  2. 経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」(2025年8月26日公表、2024年実績)および公表資料。
  3. 総務省統計局「家計消費状況調査」年報 令和7年(2026年7月7日)・2025年平均の概況(2026年2月6日)・月次(2026年8月分)、「全国家計構造調査」2024年 結果の概要(2025年12月19日)、「家計調査年報」2025(2026年8月7日、結果表一覧の確認)。総務省「通信利用動向調査」令和7年(2026年5月29日)。
  4. 国民生活センター「PIO-NETにみる通信販売の相談」(2026年8月5日、2025年度の相談概要)、「65歳以上の消費生活相談」(2026年9月16日)、「定期購入のトラブル」(2026年7月31日更新)。
  5. 電通「情報メディア白書2026」第9章(通信販売、図表9-4・9-7・9-8・9-13〜9-17)。電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日)、CARTA HOLDINGS・電通・電通デジタル・セプテーニ「インターネット広告媒体費 詳細分析」(2026年3月5日)。
  6. 国土交通省「令和6年度 宅配便・メール便取扱実績」(2025年8月27日)、「宅配便の再配達率」令和7年10月分(2025年12月26日)・4月分、「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」取りまとめ(2025年11月)、物流効率化法の資料(経済産業省・国土交通省)、関東運輸局掲載の2024年問題の試算資料(2023年12月)。公正取引委員会「中小受託取引適正化法」。
  7. ヤマト運輸(2023年2月6日、2024年1月12日、2025年5月1日)、日本郵便(2025年8月8日、2026年7月3日)、佐川急便(2026年10月2日)の運賃改定のニュースリリース。
  8. 消費者庁「デジタル取引・特定商取引法等検討会 中間取りまとめ」(令和8年9月10日)、「消費者契約法検討会 中間取りまとめ」(令和8年9月10日)、「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」(令和6年11月19日付)、通信販売分野の執行状況(2025年1月16日)、「送料無料」表示の取り組み事例、ステルスマーケティング・景品表示法・機能性表示食品の各ページ。e-Gov法令検索(特定商取引法・景品表示法・医薬品医療機器等法、2026年10月10日取得)。
  9. 個人情報保護委員会「個人情報保護法の改正」(2026年7月17日公布)。国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス制度)」。
  10. 楽天グループ 2026年Q2決算説明資料・データシート(2026年8月10日)、2025年度決算(2026年2月12日)。ZOZO 決算短信(2026年4月30日)。LINEヤフー 2025年度決算説明資料(2026年5月8日)、2026年度Q1資料(2026年8月3日)。メルカリ 2026年6月期決算説明資料(2026年8月5日)。Amazon.com, Inc. Form 10-K(2025年12月期)。
  11. ジャパネットホールディングス 公開買付け補足資料(2026年6月19日)。アスクル 決算短信(2026年7月3日)。千趣会 決算短信(2026年2月13日)。ポーラ・オルビスホールディングス 決算短信(2026年2月13日)。フェリシモ 決算短信(2026年4月7日)。ファンケル 決算短信(2024年5月8日)。ベルーナ 業績予想の修正のお知らせ(2026年5月7日)。
  12. 矢野経済研究所 プレスリリース No.3416(2023年12月18日)・No.3868(2025年9月8日)。
注意事項:JADMAの売上高は年度(4月〜翌3月)の速報値、経済産業省の市場規模は暦年、総務省の家計消費状況調査は暦年平均の1世帯あたり月額、全国家計構造調査は2024年11月の1か月値で、互いに足したり比べたりできません。経済産業省のEC化率は物販系のみで、サービス系・デジタル系にはありません。「全体の商取引(逆算)」はShidoの計算です。JADMAの媒体別・商品別の売上構成、定期購入の市場規模、モール・自社EC・D2Cの比率、ライブコマース・SNS購買の市場規模、リピート率・CPA・LTVの業界値、通販の返品率、「詐欺的な定期購入」だけの相談件数、JADMAの2025年分の利用率は、非公表または取得できませんでした。経済産業省の令和7年度版(2025年実績)と国土交通省の令和7年度の宅配便実績は、2026年10月10日時点で確認できていません。国民生活センターの件数は、集計時点によって変わります。楽天の国内EC流通総額は2026年第2四半期に定義を見直し、過去値を遡及修正しています。LINEヤフーの有償LINE公式アカウント数は図からの読み取りです。メディア開発綜研の値と電通の小売全体に占める比率は、二次的に掲載された値です。特商法・消費者契約法の改正法案の国会提出時期は報道ベースで、政府の正式な発表を確認できていません。ベルーナの2026年3月期の実績は原本を入手できず、会社予想値のみ記載しています。ディノスの売上高は報道値のみで一次資料を確認できていません。薬機法の課徴金の施行日、機能性表示食品のGMP関連の適用日、置き配の標準宅配便運送約款への追加は、一次資料で確認できていないため本文に載せていません。