CHAPTER 1
市場の規模 ── 量はピークの8割、金額は横ばい
酒類の小売販売額そのものを示す公的統計はありません。量は国税庁、金額はメーカー・卸・家計の3つの側から見ます。
酒類の販売(消費)数量の推移 単位:万kL、年度。国税庁「酒のしおり」(沖縄を除く)。
1996年度の966万kLがピークで、2024年度は773万kLです。2020年度にコロナ禍で大きく減り、その後は770万〜780万kLで横ばいです。成人1人あたりでは1992年度の101.8Lから74.8Lに減りました。
酒税収入の推移 単位:億円、年度。国税庁「酒のしおり」。2025年度は補正後予算。
酒税は1988年度の2.2兆円から2024年度は1.18兆円に減りました。量の減少に加え、税率の低いビール風飲料やチューハイに需要が移ったためです。国の税収に占める割合は4.2%から1.5%に下がっています。
市場規模の見え方(定義ごと)
| 指標 | 数値 | 時点 | 出典・注意 |
| 酒類製造者の国内売上金額 | 3兆8,438億円 | 2024年 | 国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和7年アンケート)」。ビール1兆1,530億円、リキュール7,566億円、発泡酒4,578億円で6割 |
| 酒類卸売業者の国内売上金額 | 4兆9,626億円 | 2024年 | 同上。飲食店向け(業務用)を含む |
| 酒類市場(メーカー出荷金額) | 3兆2,740億円 | 2025年度見込 | 矢野経済研究所。前年度比97.4%で4年ぶりの縮小。2026年度は3兆3,200億円の予測 |
| 酒小売業の年間商品販売額 | 1兆1,966億円 | 2023年 | 経済構造実態調査(法人のみ、酒が主業の企業5,918社)。スーパー・コンビニ等で売る酒は含まない |
| 家計の酒類支出(家で飲む分) | 45,406円/世帯 | 2025年 | 総務省「家計調査」二人以上の世帯。外での飲酒代は別に19,498円 |
| 小売の酒類販売数量 | 767.6万kL | 2024年度 | 国税庁「酒類小売業者の概況」。飲食店向けの業務用卸主体店を含む |
注意:スーパー・コンビニ・ドラッグストアなどの酒類売上は公表されていないため、「酒類の小売市場は何兆円」という公的な数字はありません。本資料では小売の中の比較を数量シェア(国税庁)で行います。
CHAPTER 2
何が飲まれているか ── ビール一強から「缶のお酒」と洋酒へ
30年でビールの構成比は69%から30%に下がり、チューハイ(リキュール・スピリッツ)とウイスキーが伸びました。
主な品目の販売(消費)数量 単位:万kL、年度。国税庁「酒のしおり」。「ビール風(発泡酒+その他の醸造酒等)」は新ジャンルの一部を含む。新ジャンルの多くはリキュールに分類される。
ビールビール風(発泡酒・その他の醸造酒等)リキュール(缶チューハイ・新ジャンルの一部)スピリッツ等
ビールは1994年度の706万kLから2020年度の179万kLまで減り、その後は2020年10月・2023年10月の減税で233万kLまで戻っています。リキュールは缶チューハイと新ジャンルで2019年度に240万kLまで伸びましたが、2023年10月に新ジャンルが「発泡酒」に分類し直されたため減って見えます。スピリッツ等(ウォッカベースのチューハイ・ハイボール缶など)は10年で3倍になりました。
清酒・焼酎・ワイン・ウイスキー 単位:万kL、年度。同上。焼酎は甲類と乙類の合計。
清酒焼酎ワインウイスキー
清酒は1996年度の121万kLから38万kLと3分の1以下になりました。ただし純米・純米吟醸などの特定名称酒は2013→2024酒造年度で9.2万kLから10.5万kLに増えています。ウイスキーはハイボールの定着で2008年度の7.5万kLから20.5万kLへ。
品目別の構成比(数量)
| 品目 | 1996年度 | 2014年度 | 2024年度 | 2024年度 数量 |
| ビール | 69.3% | 31.2% | 30.1% | 233.0万kL |
| リキュール | 2.4% | 23.8% | 21.4% | 165.5万kL |
| 発泡酒 | 3.0% | 9.2% | 12.6% | 97.7万kL |
| スピリッツ等 | 0.3% | 3.8% | 12.0% | 92.5万kL |
| 清酒 | 12.6% | 6.7% | 4.9% | 38.0万kL |
| 焼酎(甲+乙) | 7.1% | 10.3% | 8.3% | 63.9万kL |
| ワイン(果実酒) | 1.6% | 4.2% | 4.2% | 32.7万kL |
| ウイスキー | 1.4% | 1.4% | 2.7% | 20.5万kL |
| その他の醸造酒等 | 0.2% | 7.6% | 2.2% | 17.3万kL |
| 合計 | 966万kL | 833万kL | 773万kL | 773.2万kL |
サントリーによると缶チューハイなどRTD(そのまま飲めるお酒)は10年で約2倍、2億ケース超になり、缶のお酒の34%を占めます(2026年6月発表)。ノンアルコール飲料は2024年に4,584万ケース(前年比111%、サントリー推定)と過去最大です。
CHAPTER 3
誰が買っているか ── 最大の顧客は60代、若い世代は「家で飲まない」
家で飲む酒の支出は60代が最も多く、29歳以下の2.8倍です。20代の飲酒習慣は10年あまりで3分の1になりました。
世帯主の年齢別 酒類と飲酒代の支出 2025年、円/年、二人以上の世帯。総務省「家計調査」。
酒類(家で飲む分)飲酒代(外食)
家で飲む酒は60代(59,679円)が最大で、29歳以下(21,104円)の2.8倍です。一方、外での飲酒代は29歳以下が最も多い(32,465円)。若い世代は「飲まない」だけでなく、飲むなら外で、仲間とという傾向があります。チューハイ・カクテルの支出は40代(8,337円)が最大です。
飲酒習慣のある男性の割合 単位:%。厚生労働省「国民健康・栄養調査」。週3日以上、1日に清酒1合相当以上を飲む人。2020・2021年は調査なし。
60代40代30代20代
20代男性は14.2%(2012年)から5.0%(2024年)、30代男性は30.8%から19.0%に下がりました。60代は44%台で変わりません。2024年の20代で「毎日飲む」人は1.2%、「月1日未満・飲まない」人は58.1%です。女性は全体で8.7%と横ばいで、50代女性は18.0%と過去最高です。
品目別の家計支出 円/年、二人以上の世帯。総務省「家計調査」。チューハイ・カクテルは2015年から独立した品目。
2015年2025年
10年でチューハイ・カクテルは2.6倍、ウイスキーは1.7倍、ビールは1.2倍になりました。酒類計は41,300円から45,406円(+9.9%)。2023年10月のビール減税と新ジャンル増税で、ビール風からビールへの移動が進んでいます。
地域差:成人1人あたりの販売数量(2024年度)
| 上位 | L/人 | 下位 | L/人 |
| 東京 | 98.6 | 滋賀 | 54.1 |
| 青森 | 95.7 | 奈良 | 60.3 |
| 富山 | 94.1 | 岡山 | 61.2 |
| 宮崎 | 92.7 | 埼玉 | 62.5 |
| 岩手 | 89.6 | 愛知 | 62.9 |
| 高知 | 88.5 | 千葉 | 63.1 |
全国平均は74.8L。近畿は大阪81.1、和歌山77.0、京都75.8、兵庫68.8L。販売された場所の集計なので、飲食店や事業所が集まる東京・大阪は多めに、ベッドタウンの県(埼玉・千葉・奈良・滋賀)は少なめに出ます。乙類焼酎は鹿児島19.0L、宮崎14.5Lと九州に偏ります。
CHAPTER 4
どこで売れているか ── 酒屋からスーパー・ドラッグストアへ
1990年代の免許の規制緩和で、酒は「酒屋で買うもの」から「どこでも買えるもの」になりました。
業態別の小売数量シェア 2024年度、単位:%。国税庁「酒類小売業者の概況」(令和6年度分、2026年7月公表)。
スーパーが36.7%で最大です。ドラッグストア・ホームセンター(14.1%)は、2011年度の6.7%から倍以上に伸び、コンビニ(12.2%)と量販店(11.1%)を抜きました。一般酒販店は10.6%です。
業態別シェアの推移 単位:%、年度。同上(各年度版)。
スーパードラッグストア・HCコンビニ量販店一般酒販店
2020〜2021年度は飲食店の休業で業務用卸主体店が落ち込み、スーパーが40%を超えました。その後は元に戻りつつありますが、一般酒販店の減少とドラッグストアの増加は一貫しています。
30年の変化:一般酒販店のシェア
66.0%
1995年度(一般小売店)。販売場の79%
55.1%
2000年度。距離基準(2001年)・人口基準(2003年)の廃止の前
27.9%
2005年度。規制緩和の後、5年で半分に
1995〜2005年度は旧「経営実態調査」の「一般小売店」区分で、今の「一般酒販店」とは定義が少し違います。流れを示す参考値です。
業態別の事業者数・販売場数・数量(2024年度)
| 業態 | 事業者数 | 販売場数 | 小売数量 | 数量シェア | 1場あたり数量 | 2011年度からの場数 |
| スーパー | 2,415 | 20,553 | 281.8万kL | 36.7% | 137kL | −0.5% |
| ドラッグストア・ホームセンター | 269 | 18,609 | 108.3万kL | 14.1% | 58kL | +104% |
| コンビニ | 28,049 | 55,082 | 93.8万kL | 12.2% | 17kL | +8.9% |
| 量販店(ディスカウント等) | 540 | 3,251 | 85.4万kL | 11.1% | 263kL | −9.0% |
| 一般酒販店 | 26,597 | 28,495 | 81.2万kL | 10.6% | 28kL | −50.1% |
| 業務用卸主体店 | 1,930 | 3,057 | 68.3万kL | 8.9% | 223kL | +17.6% |
| その他(農協・生協等) | 14,191 | 23,918 | 44.7万kL | 5.8% | 19kL | +15.7% |
| 百貨店 | 90 | 378 | 4.0万kL | 0.5% | 106kL | −12.5% |
| 合計 | 74,081 | 153,343 | 767.6万kL | 100% | 50kL | −6.9% |
1場あたり数量はShidoの計算(小売数量÷販売場数)。平均営業時間は一般酒販店9.9時間、スーパー13.1時間、コンビニ22.8時間。
CHAPTER 5
事業者の経営 ── 酒屋は13年で半減、大手専門店は配達と大型店で残る
一般酒販店は減り続けていますが、残った店の平均的な売上はむしろ増えています。
一般酒販店の事業者数 単位:者、年度。国税庁「酒類小売業者の概況」。
2011年度の54,985者から2024年度は26,597者と、13年で半分以下になりました。毎年1,300〜3,700者ずつ減っています。国の最後の調査(2006年度)でも経営者の平均年齢は65.9歳、後継者がいない店が55%でした。
酒類小売で得る営業利益(1事業者平均) 2024年度、単位:万円。国税庁「酒類小売業者の概況」2-2-6表。
一般酒販店が酒の小売で得る営業利益は1者平均127万円です。売上の多くは飲食店向けの配達や酒以外の商品で、総売上1億4,823万円のうち酒の小売は5,766万円(38.9%)です。
31.1%
赤字の一般酒販店の割合(12,471者中3,882者)
国税庁 概況 2024年度
37.5%
総売上300万円以下の小さな事業者の赤字割合。うち8割強が一般酒販店
同上
2.9%
一般酒販店の税引前純利益率(2023年度、1者平均)
酒のしおり
43.4㎡
一般酒販店の1販売場あたり酒類売場面積(2023年度)。2021年度47.9㎡から縮小
酒のしおり
主な酒類専門小売チェーン
| 企業 | 決算期 | 売上高 | 店舗数 | 特徴 |
| やまや | 2026年3月期 | 酒販事業 1,302億円(−0.9%) 連結 1,591億円 | 酒販356店 | 郊外の大型酒類専門店。酒販のセグメント利益は27億円(−31.4%)。外食(チムニー・つぼ八)も持つ |
| ひとまいる(旧カクヤスグループ) | 2026年3月期 | 1,398億円(+4.0%) | 176店+倉庫・配送拠点 | 首都圏中心の配達型。時間帯配達829億円・ルート配達410億円に対し、店頭販売は141億円(−9.2%)。2025年7月に社名変更 |
| リカーマウンテン | 2026年1月期 | 792億円 | 210店 | 京都本社、関西中心。非上場のため数値は求人情報の会社概要による |
「酒小売業」の事業所数 単位:事業所。商業統計・経済センサス(主業が酒の小売の事業所。コンビニ・スーパー等は含まない)。
1994年の92,436事業所から2021年は24,210事業所と4分の1になりました。うち個人経営は69,654から15,250に減っています。年間商品販売額は1994年の5.97兆円から2016年は1.56兆円です(2021年は個人経営を含まないため比較不可)。
読み取れること
- 「数」は減るが「1店あたり」は大きくなる:一般酒販店の1販売場あたり酒類小売数量は49.2kL(2021年度)から50.4kL(2023年度)と微増。廃業する小さな店の顧客を、残った店が引き受けています。
- 勝ち筋は「配達」と「品ぞろえ」:大手の中でも伸びているのは飲食店・家庭への配達(ひとまいる)です。店頭での安売り競争は、ドラッグストアやディスカウントに対して不利です。
- リベートに頼れない:一般酒販店の酒類リベートは1者平均52万円で、営業利益の1割強にとどまります。
CHAPTER 6
通信販売とEC ── 通販の免許は12年で2倍
酒のネット販売には独自の免許があり、扱える酒が限られています。これが専門店の武器になります。
通信販売だけの酒類小売の販売場数 単位:場、各年3月末。国税庁「統計年報」。
店を持たず通信販売だけで酒を売る販売場は、2013年の1,803場から2025年は3,545場と約2倍です。2021〜2022年のコロナ禍で急増しました。
「食品、飲料、酒類」のEC市場規模 単位:億円。経済産業省「電子商取引に関する市場調査」。
2024年は3兆1,163億円、EC化率は4.52%です。物販全体のEC化率(9.78%)の半分以下で、酒を含む食品はまだ店で買うものです。酒類だけの数字は国の統計にありません。
通信販売酒類小売業免許の条件:2都道府県以上にネットやカタログで売るには、この免許が必要です。売れる国産酒は、品目ごとの年間の課税移出数量が3,000kL未満の製造者(中小の酒蔵・ワイナリー・クラフトブルワリーなど)の酒に限られます。輸入酒は制限がありません。大手メーカーのビールや定番のチューハイは、この免許ではネットで売れません。同じ都道府県内だけなら一般酒類小売業免許で通信販売ができます。
CHAPTER 7
価格と酒税改正 ── 2026年10月、ビール類の税金が一本化
2017年度の税制改正で決まった3段階の見直しが、2026年10月1日に完了しました。
350mLあたりの酒税額 単位:円。財務省「酒税に関する資料」、国税庁「酒のしおり」。
ビール発泡酒新ジャンルチューハイ等
ビールは77円から54.25円に下がり、新ジャンルは28円から54.25円に上がりました。2026年10月の変化はビール−9.10円、発泡酒・新ジャンル+7.26円、チューハイ等+7円です。清酒とワインは2023年10月に1kLあたり10万円(350mLで35円)に揃っています。
メーカーの対応(2026年10月)
| 商品 | 変更 | 発売 |
| サントリー「金麦」 | 新ジャンル→ビール。店頭想定197→206円 | 10月6日 |
| サッポロ「GOLD STAR」「麦とホップ」 | 新ジャンル→ビール。価格帯は据え置き | 10月20日 |
| アサヒ「クリアアサヒ」 | 新ジャンル→ビール(麦芽50%以上) | 10月27日 |
| キリン「本麒麟」 | 新ジャンル→ビール。店頭想定198→205円前後 | 11月4日 |
| 主力ビール | 一番搾り・黒ラベル237→228円、プレミアム・モルツ279→270円(想定店頭価格) | 10月1日 |
店頭想定価格はメーカー発表ではなく報道値です。アサヒはビール76品を値下げし、発泡酒・新ジャンル・RTDの100品を値上げしました。最終的な店頭価格は小売の判断です。
酒類の消費者物価指数 2020年=100、年平均。総務省「消費者物価指数」。
ビール風アルコール飲料ウイスキー酒類計清酒ビール
酒類全体は2025年に112.4で、物価全体(111.9)と同じくらい上がっています。ビールは減税で100前後にとどまり、新ジャンル(ビール風)は増税と値上げで132.2です。2026年8月は清酒が前年同月比+9.5%(米の値上がり)、ビールは−1.4%。10月の酒税改正の影響は11月下旬公表の10月分から出ます。
帝国データバンクによると、2025年の食品値上げ20,609品目のうち「酒類・飲料」は4,901品目。2026年は1〜11月の判明分で3,283品目、平均値上げ率14%です。2025年4月にはビール大手4社が一斉に値上げし、3月に買いだめ、翌年3月に前年同月比29%減という反動が出ました。
CHAPTER 8
規制と取引ルール ── 原価割れ販売の禁止、年齢確認、純アルコール表示
酒の小売は免許制で、安売り・販売管理・20歳未満への販売に固有のルールがあります。
酒類の公正な取引に関する基準(2017年6月施行)
- 正当な理由なく総販売原価(仕入+販管費)を下回る価格で継続して販売し、他の酒類業者に相当程度の影響を与えるおそれがある取引を禁止。
- 原価は銘柄ごとに計算。事後に額が決まる年度末のリベートなどは、値引きとして原価から引けません。
- 違反すると指示→公表→命令→罰則・免許取消と進みます。
国税庁の取引状況等実態調査
| 事務年度 | 調査 | 指示 | 厳重指導 | 指導 |
| 2018年度 | 147 | 8 | 17 | 114 |
| 2020年度 | 139 | 7 | 18 | 104 |
| 2022年度 | 140 | 2 | 4 | 130 |
| 2023年度 | 88 | 3 | 4 | 77 |
| 2024年度 | 96 | 3 | 10 | 76 |
2024事務年度(2024年7月〜2025年6月、2026年2月公表)の指示3件はすべて原価割れ販売。うち2件は大阪国税局管内の業務用卸主体店です。原因は「仕入+一定の粗利」で値付けして販管費を見ていなかったこと、書面のないリベートを原価から引いていたことでした。
酒類販売管理者
販売場ごとに、3年以内に研修を受けた管理者を選び、3年ごとに再受講させ、標識を掲示する義務があります。選任しないと50万円以下の罰金です。
20歳未満への販売と年齢確認
違反は50万円以下の罰金で、免許取消の要件です。セルフレジでは、マイナンバーカードやアプリでの年齢確認の実証が進んでいます(デジタル庁 2025年3月、ミニストップ 2026年1月〜)。酒の自販機は全国8,521台まで減り、うち4割が大阪国税局管内です。
純アルコール量の表示
厚労省の飲酒ガイドライン(2024年2月)は、量でなく純アルコールのグラム数を見るよう示しました(リスクを高める量は1日男性40g・女性20g以上)。業界は自主基準(2026年7月改正)で容器へのグラム表示を進めます(350mL缶ビール=14g)。
物流:2024年4月からトラック運転手の残業規制が始まり、対策なしでは2030年度に輸送力が34%不足するとされます(国交省)。ビール4社は鉄道の共同輸送、共同配送、自動運転トラックの実証を進めています。卸が酒販店・飲食店向けの配送条件(最低ロット・配送料)を変えたことを示す公的な資料は見つかりませんでした。
CHAPTER 9
追い風:訪日客と輸出 ── 日本の酒が「お土産」と「体験」になる
国内の需要が減る中で、訪日客と海外での日本の酒の評価は伸びています。
訪日客の酒類購入率 2025年、全目的、単位:%。観光庁「インバウンド消費動向調査」。
訪日客の22.0%が日本で酒を買い、購入者1人あたり11,462円を使っています。韓国は37.3%と特に高く、米国は購入単価が14,674円と高めです。2025年の訪日客は4,268万人なので、単純計算で年1,000億円規模(4,268万人×22.0%×11,462円=約1,076億円、Shido試算)です。
日本産酒類の輸出額 2025年、単位:億円。財務省「貿易統計」(国税庁集計)。
2025年の輸出は1,495億円(+11.8%)で過去最高、2026年1〜7月も+14.0%です。清酒の輸出は2016年の156億円から3倍になり、1Lあたりの単価は771円から1,368円に上がりました。海外で評価された銘柄は、国内の店頭でも売りやすくなります。
2026年11月
免税店がリファンド方式に移行。酒は「消耗品」の購入上限(50万円)と特殊包装が不要に。店は税込で売り、出国確認後に返金する事務を負う
国税庁
131件
酒蔵で訪日客に酒税も免除して売れる「輸出酒類販売場」の許可(2026年4月1日)
酒のしおり
2024年12月
「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録。日本酒・焼酎・泡盛など
文化庁・国税庁
48.6%
訪日中に「日本の酒を飲むこと」をした人の割合(2025年)。満足度92.5%
観光庁(PDFの抽出値)
CHAPTER 10
Shidoからのご提案
「安さ」ではなく「選ぶ理由」を売る
ここまでのデータから、酒類を売る小売事業者と、メーカー・卸が取るべき打ち手を整理し、Shidoが一緒に進められる支援に結びつけました。
1. 10月の酒税改正を棚替えの機会にする
新ジャンルの主力がビールに変わり、「ビール」の中に200円前後と230円前後と270円前後の3段の価格帯ができます。缶チューハイは増税で値上がりします。価格表示・POP・棚割りを今のうちに組み直した店が、客の迷いを取り込めます。
Shidoができること:価格帯別のPOP・棚札・チラシのデザイン(デザイン)、改正前後の売れ行きを見る販売データの分析(リサーチ&インサイト)。
2. 60代の「家飲み」を守り、配達で囲い込む
家で飲む酒の最大の顧客は60代で、清酒・焼酎・ワインの支出も多い世代です。重い箱物の配達、定期のお届け、電話やLINEでの注文は、ドラッグストアやスーパーにない価値です。
Shidoができること:LINE公式アカウントの設計と配信、定期便・配達の案内を載せたWebサイト・注文ページの制作(デジタルマーケティング/Webサイト・コンテンツ制作)、商圏の60代に届く地域向け広告(マス・メディア広告)。
3. 若い世代には「量」ではなく「体験」
20代の飲酒習慣は5%ですが、外での飲酒代は29歳以下が最多です。試飲会、角打ち、クラフトビールや地酒の飲み比べ、ノンアル・微アルの品ぞろえで「来る理由」を作ります。
Shidoができること:試飲会・限定品の告知をInstagramなどで広げる運用(SNSマーケティング)、イベントの様子を伝える写真・動画の撮影(撮影・映像制作)。
4. 専門店は「ネットで売れる酒」を強みにする
通信販売の免許で売れるのは中小の酒蔵・ワイナリー・ブルワリーの酒と輸入酒です。大手のナショナルブランドはネットで売れないため、専門店の仕入れと目利きがそのまま競争力になります。
Shidoができること:ネットショップの構築と運営、商品写真・商品説明の制作(EC構築・運用)、検索広告での集客(デジタルマーケティング)。
5. 訪日客を「お土産」と「体験」で取る
訪日客の22%が酒を買い、1人1.1万円を使います。多言語のPOP、飲み比べ、持ち帰りやすい小瓶・化粧箱、海外発送の案内が効きます。
Shidoができること:多言語のPOP・店頭サイン・パッケージのデザイン(デザイン)、訪日客向けの多言語ページと地図検索への対応(Webサイト・コンテンツ制作)。
6. 「純アルコール○g」を売り場の情報にする
健康を気にする人が増え、容器にグラム表示が広がります。低アルコール・ノンアルとの組み合わせ提案、1本あたりのグラム数の棚表示は、飲む量を気にする人に選ばれる理由になります。
Shidoができること:売り場の情報を整理する棚表示・ツールのデザイン、店のコンセプトを伝え直すブランド設計(ブランディング戦略)。
ご提案:貴社の販売データをお預かりできれば、商圏と顧客に合わせた販売戦略にできます
本資料は公的統計と各社の公表値に基づく全国の汎用版です。以下の情報をお預かりできれば、貴社の店舗・商圏・顧客層に合わせて、品ぞろえ、価格帯、販促、配達・EC・訪日客への対応まで具体的にご提案します。
POS・販売データ
品目別・価格帯別・月別の販売数量と金額。10月の酒税改正の前後で、どの価格帯から客が動いたかを出します。
顧客・会員データ
年齢・住所・購入頻度・購入額。60代の常連、若い世代、飲食店それぞれの売上と伸びしろを分けて見ます。
店舗の立地・商圏
店舗の住所と周辺の競合(スーパー・ドラッグストア・ディスカウント)。商圏の人口・年齢構成・世帯と重ねて、勝てる品目を決めます。
配達・業務用の実績
配達件数、配達先、飲食店の取引先。配達の採算と、定期便・法人向けの広げ方を設計します。
EC・通販の実績
自社サイト・モールの販売とアクセス。通販免許で売れる酒の中から、全国で売れる商品を見つけます。
販促・広告の実績
チラシ・SNS・イベントの費用と反応。試飲会や限定品の告知を、どこにどれだけ出すかを見直します。
SOURCES
出典と注意事項
- 国税庁「酒のしおり(令和8年7月)」表2(酒税収入)・表7(課税数量)・表12・付表12-1(販売(消費)数量)・表13(都道府県別)・表15(免許場数)・16(酒類事業者の概況)・25・27・29・35・42・47、「酒レポート(令和8年7月)」。同「酒のしおり(平成22年3月)」16(平成7・12・17年度の業態別)。
- 国税庁「酒類小売業者の概況」令和6年度分(2026年7月公表)および平成23年度分〜令和5年度分。同「酒類小売業者の経営実態調査」平成18年度分(2007年7月)。
- 国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和7年アンケート)」(正誤表 2026年6月16日)。国税庁「統計年報」酒税(酒類販売業免許場数及び酒類販売業者数、各年度)。
- 総務省「令和3年経済センサス‐活動調査」卸売業,小売業に関する集計 産業編 第1表(2023年3月28日)。総務省・経済産業省「経済構造実態調査」2024年調査 改定値(2026年7月29日)。
- 経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日)および令和3〜5年度。
- 総務省「家計調査」家計収支編 2025年 第6-1表・第6-2表(2026年8月7日)、詳細結果表 第4-6表(2026年2月6日)。総務省「消費者物価指数」2020年基準 長期時系列 年平均(2026年1月23日)・月次(2026年9月18日、8月分)。
- 厚生労働省「国民健康・栄養調査」平成24年〜令和6年(令和6年報告書 2026年3月18日)。同「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月19日)。
- 財務省「酒税に関する資料」。国税庁「酒類の公正な取引に関する基準」関係資料、「酒類の取引状況等実態調査実施状況」(令和6事務年度分 2026年2月26日、過年分)。国税庁「通信販売酒類小売業免許申請の手引」(令和8年9月改訂)。
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」。国税庁「輸出物品販売場制度の見直し(リファンド方式)」(令和7年4月)。国税庁「日本産酒類の輸出動向」(2025年、2026年1〜7月)。日本酒造組合中央会(2026年2月6日)。
- 各社の公表資料:やまや 2026年3月期決算短信(2026年5月15日)、ひとまいる 2026年3月期決算補足説明資料(2026年5月15日)、サッポロホールディングス 決算短信(2026年2月13日、8月6日)、アサヒビール ニュースリリース(2026年5月29日、9月18日)、サッポロビール(2026年6月17日)、サントリー ノンアルコール飲料レポート2025(2025年8月28日)。リカーマウンテンは求人サイトの会社概要(二次情報)。
- 報道・民間調査:矢野経済研究所(2026年1月8日)、帝国データバンク 値上げ調査(2026年8月31日)、時事通信(2026年5月20日・27日・29日)、日本経済新聞(2026年6月4日ほか)、共同通信(2026年7月10日・16日)、マイナビニュース(2026年6月4日)、食品新聞(2026年6月5日)。デジタル庁(2025年3月)、ミニストップ(2026年1月)。国土交通省「物流の2024年問題」関係資料。
注意事項:酒類の小売販売額(全業態)は公表されていません。業態間の比較は国税庁の数量ベースです。「酒類小売業者の概況」の年度は小売数量の対象年度(例:2024年度=2024年4月〜2025年3月、事業者数は2025年3月末)です。1995〜2005年度の一般小売店のシェアは旧調査の区分で、今の一般酒販店とは定義が違います。品目の区分は2023年10月の税率改正で新ジャンルが発泡酒に統合されたため、2023年度以降の発泡酒・リキュールは前年と直接比べられません。ビール酒造組合は2019年から課税出荷数量を公表していません。店頭想定価格は報道値です。訪日客の酒類購入額(約1,076億円)はShidoの単純試算です。後継者の有無など経営者に関する国の調査は2006年度が最後です。