CHAPTER 1
市場の全体像 ── 介護4,870億円・医療5,727億円。関西は全国の約23%
訪問看護の費用は、介護保険(訪問看護費)と医療保険(訪問看護療養費)の2つに分かれます。どちらも毎年伸びていて、関西の比率は人口の比率(16.3%)を大きく上回ります。
4,870億円
介護保険の訪問看護の費用額(全国、2025年度)。要介護4,354億円+予防516億円。前年度比+7.5%
厚生労働省『介護給付費等実態統計』
5,727億円
医療保険の訪問看護医療費(全国、2023年度)。2020年度(3,254億円)の1.76倍。国民医療費の1.2%
厚生労働省『国民医療費』
1,120億円
関西6府県の介護保険の訪問看護の費用額(2025年度、被保険者の住所地)。全国の23.0%
同『介護給付費等実態統計』
1,344億円
関西6府県の医療保険の訪問看護医療費(2023年度、患者住所地)。全国の23.5%。大阪が762億円
同『国民医療費』
介護保険の訪問看護 費用額の推移(全国) 年度累計、単位:億円。要介護の訪問看護と、要支援の介護予防訪問看護。
訪問看護(要介護)介護予防訪問看護
2020年度の3,429億円から2025年度の4,870億円へ、5年で1.42倍になりました。介護保険全体の費用額は2025年度で12.2兆円(前年度比+2.4%)なので、訪問看護の伸び(+7.5%)は全体の3倍です。介護予防(要支援)は+11.2%と、さらに速く伸びています。
医療保険の訪問看護医療費(全国) 年度、単位:億円。訪問看護療養費と基本利用料。厚生労働省『国民医療費』。
2023年度は前年度比+23.6%と、介護保険より速い伸びです。2023年度は国民医療費全体に占める割合が1.2%に達しました。2024年度の国民医療費は2026年10月時点で未公表です。この伸びの背景にある精神科訪問看護の増加と、2024年以降の指導強化は第5章で扱います。
関西は人口の16%、訪問看護は23〜24%
関西6府県が全国に占める比率 単位:%。年次は項目ごとに異なります(図中に記載)。
関西の人口は2,018万人で全国の16.3%、75歳以上でも16.6%です。これに対し、訪問看護のステーション数・看護職員数・利用者数・費用は、いずれも全国の23〜24%を占めます。人口の約1.4倍の密度で訪問看護が集まっている、ということです。この集中を支えているのは大阪府で、全国のステーションの12.2%(2,456か所)を占めます。
府県別の費用額
| 府県 | 介護・要介護 (2025年度、億円) | 介護・予防 (億円) | 医療保険 (2023年度、億円) | 医療保険 人口1人あたり |
| 滋賀 | 48.8 | 6.3 | 46 | 3,269円 |
| 京都 | 126.1 | 10.8 | 134 | 5,286円 |
| 大阪 | 484.1 | 48.9 | 762 | 8,696円 |
| 兵庫 | 244.8 | 53.9 | 268 | 4,991円 |
| 奈良 | 42.4 | 5.6 | 68 | 5,247円 |
| 和歌山 | 42.4 | 6.0 | 66 | 7,399円 |
| 関西計 | 988.5 | 131.5 | 1,344 | 6,633円 |
| 全国 | 4,353.6 | 516.0 | 5,727 | 4,605円 |
介護保険は被保険者の住所地(事業所の所在地ではありません)、医療保険は患者の住所地です。介護保険の費用額には病院・診療所からの訪問看護を含み、ステーション単体の費用額は公表されていません。介護(2025年度)と医療(2023年度)は年度が違うため、合算はしていません。
医療保険の訪問看護医療費 人口1人あたり(2023年度) 単位:円。国民医療費(患者住所地)÷2023年10月1日人口。当社計算。
大阪は全国の1.9倍、和歌山は1.6倍です。滋賀(3,269円)は全国の7割にとどまります。医療保険の訪問看護は、がん末期・難病・精神疾患・小児など医療依存度の高い利用者が中心です。大阪は医療保険の利用者の割合(44.7%)も全国(40.7%)より高く、背景は第4章で見ます。府県の差の要因は、この統計だけでは特定できません。
介護保険 受給者1人あたりの年間費用額(2025年度) 単位:千円。訪問看護(要介護)の費用額÷年間実受給者数。当社計算。
全国平均は約393千円です。大阪は405千円と高く、利用の頻度か、医療依存度の高い利用者の比率が高い可能性があります。奈良・和歌山は359千円です。受給者数の伸びは+5.5%、費用額は+7.1%で、利用者が増えるだけでなく、1人あたりの費用も上がっています。
CHAPTER 2
需要の基盤 ── 75歳以上350万人。2035年までは85歳以上が毎年増える
訪問看護の需要は、85歳以上の人口、独居の高齢者、在宅で亡くなる人、在宅医療の担い手で決まります。関西の2府4県は、同じ高齢化でも進み方が違います。
349.7万人
関西6府県の75歳以上人口(2026年1月)。人口の17.3%。85歳以上は109.2万人(5.4%)
総務省『住民基本台帳』
+84%
大阪の85歳以上人口の2020→2035年の増加(37.0万人→68.1万人)。2035年がピーク
国立社会保障・人口問題研究所(令和5年推計)
137.4万人
関西の要介護・要支援の認定者(2026年6月末)。第1号被保険者の認定率は23.5%、全国は20.3%
厚生労働省『介護保険事業状況報告』
16.4%
和歌山の一般世帯に占める65歳以上の単独世帯の割合(2020年)。大阪13.7%、全国12.1%
総務省『国勢調査』
75歳以上人口の見通し 2020年=100とした指数。国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)』。
滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山
75歳以上は2030年前後までに大阪+18%、兵庫+22%、奈良+25%、滋賀+30%増え、その後は頭打ちか緩やかな減少に入ります。和歌山は2030年(+15%)がピークで、2040年は2020年比+9%です。滋賀だけは2050年まで増え続けます(+50%)。
85歳以上人口の見通し 2020年=100とした指数。同上。
在宅の医療ニーズが高まる85歳以上は、2035〜2040年に2020年の1.4〜1.8倍になります(大阪1.84倍、奈良1.83倍、滋賀1.82倍、京都1.72倍、兵庫1.69倍、和歌山1.42倍)。大阪・京都は2035年がピーク、そのほかは2040年前後です。2025→2040年では、滋賀+59%、奈良+51%、兵庫+44%、京都+43%、大阪+38%、和歌山+31%です。
府県別の基礎データ
| 府県 | 65歳以上 | 75歳以上 | 85歳以上 | 認定者数 (2026年6月末) | 第1号 認定率 |
| 滋賀 | 27.3% | 22.1万人(15.8%) | 6.8万人(4.9%) | 7.5万人 | 19.3% |
| 京都 | 29.7% | 45.2万人(18.4%) | 14.2万人(5.8%) | 18.2万人 | 24.5% |
| 大阪 | 26.8% | 144.3万人(16.4%) | 44.4万人(5.1%) | 60.0万人 | 25.2% |
| 兵庫 | 29.5% | 94.4万人(17.6%) | 29.8万人(5.6%) | 35.8万人 | 22.3% |
| 奈良 | 32.7% | 25.6万人(19.8%) | 8.0万人(6.2%) | 9.1万人 | 21.2% |
| 和歌山 | 34.2% | 18.2万人(20.4%) | 6.0万人(6.7%) | 6.9万人 | 22.4% |
| 全国 | 29.0% | 2,110.7万人(17.1%) | 678.9万人(5.5%) | 742.5万人 | 20.3% |
人口は2026年1月1日の住民基本台帳(日本人と外国人住民)で、カッコ内は総人口に対する割合です。認定者数は第1号と第2号の合計、介護保険事業状況報告の暫定値です。認定率は年齢構成の影響を受ける粗い値で、高齢化率が最も高い和歌山より、大阪(25.2%)・京都(24.5%)のほうが認定率は高く、滋賀(19.3%)が最も低くなっています。
一般世帯に占める65歳以上の単身世帯・高齢夫婦のみ世帯の割合 単位:%。2020年国勢調査。高齢夫婦は夫65歳以上・妻60歳以上。
65歳以上の単独世帯高齢夫婦のみ世帯
単独世帯は和歌山(16.4%)、大阪(13.7%)、兵庫(13.1%)で多く、大阪では56.7万世帯にのぼります。奈良・和歌山は高齢夫婦のみ世帯も15%を超えます。同居する家族が少ないほど、訪問看護と介護サービスの組み合わせへの依存が高まります。
看取りと在宅医療の担い手
自宅・老人ホームで亡くなった人の割合 単位:%。2025年(確定数)。『人口動態統計』死亡の場所別。
自宅老人ホーム
大阪は自宅19.6%+老人ホーム11.6%=31.2%で、全国(28.9%)を2.3ポイント上回ります。2025年の関西の死亡は25.4万人で、自宅と老人ホームでの死亡は約7.5万人です。滋賀(26.4%)・奈良(26.6%)は低い水準です。自宅死の割合は訪問看護のターミナルケアの実数ではありませんが、在宅での看取りの需要の目安になります。
65歳以上1,000人あたりの訪問診療の件数 単位:件。診療所と病院の合計、2023年9月の1か月。厚生労働省『在宅医療にかかる地域別データ集』。
大阪は77.6件で全国(48.6件)の1.6倍、滋賀は30.2件です。医師の訪問診療と訪問看護はセットで使われるため、在宅医療の厚い大阪は、訪問看護の需要の大きい地域でもあります。在宅療養支援診療所は、大阪2,012、兵庫1,067、京都407、滋賀199、奈良208、和歌山185か所(2026年10月)で、75歳以上10万人あたりでは大阪139、兵庫113、和歌山102が多く、奈良は81と少なくなっています(名簿からの当社集計)。
訪問看護の「対象」の広がり
- 精神疾患:外来の受療率(人口10万対)は、京都329、大阪216、兵庫207、全国197、滋賀192、和歌山189、奈良133(2023年)。精神科訪問看護の届出は関西のSTの8割超です(第4章)。
- がん・難病:悪性新生物の死亡は2024年に関西で6.3万人。指定難病の受給者証所持者は、大阪87,719人、兵庫50,900人、京都23,854人、奈良13,900人、滋賀12,483人、和歌山9,114人(2023年度末)。
- 小児・医療的ケア児:在宅の医療的ケア児は全国で約2.0万人(2021年、推計)。府県別の最新の実数は公表されていません。2016年の推計では、大阪1,380人、兵庫809人、京都295人、滋賀270人、奈良166人、和歌山108人でした。京都府は、小児の訪問看護利用者を542人(2022年)から1,000人(2029年)に増やす目標です。
各府県の計画の数値目標(第8次医療計画)
| 府県 | 指標 | 現状 | 目標 |
| 滋賀 | 訪問看護利用者数/看護師数 | 17,220人/836人(2022年) | 20,755人/1,008人(2029年) |
| 京都 | 訪問看護の事業所数/従事者 | 422か所/1,813人(2021〜23年) | 489か所/2,103人(2029年) |
| 兵庫 | 24時間対応体制のST/機能強化型のある圏域 | 830か所/27圏域(2023年) | 894か所/40圏域(2025・2029年) |
| 大阪 | 在宅看取りの件数 | 12,492件(2020年) | 16,240件(2029年) |
| 和歌山 | ST看護職員(常勤換算) | 790人(2021年) | 1,030人(2029年) |
各府県の保健医療計画等。指標の定義と時点が府県ごとに違い、横並びでは比べられません。大阪府は素案(2024年3月)の数値で、確定版との差は未確認です。奈良県は数値目標を示さず「増加」としています。
CHAPTER 3
事業所の供給 ── 4,757か所。5年で6割増え、大阪が半分を占める
訪問看護ステーション(以下ST)は、全国で2万か所を超えました。関西は6府県で4,757か所です。増え方、密度、運営法人の性格、大規模化の程度を見ます。
4,757か所
関西6府県の稼働STの数(2026年4月1日)。全国20,051か所の23.7%。1年で+370か所(+8.4%)
全国訪問看護事業協会
+60.5%
2021年4月からの5年間の増加率(関西)。全国は+54.2%。滋賀+124%、大阪+69%
同
17.0か所
大阪の75歳以上1万人あたりのST数(2026年)。全国9.5、奈良9.9。大阪は全国の1.8倍
協会調査+総務省『住民基本台帳』
68%
関西のSTのうち、1か所しか運営していない法人の事業所の割合(2026年9月)。10か所以上の法人は14社・4.1%
近畿厚生局 指定一覧
関西6府県の訪問看護ステーション数(稼働) 各年4月1日、単位:か所。全国訪問看護事業協会『訪問看護ステーション数調査結果』。
2015年の1,777か所から2.68倍です。この11年間に全国は2.43倍で、関西のほうが速く増えました。2024年度は全国で2,487か所、2025年度は2,428か所が新しく開設されています。
府県別のST数の伸び 2021年4月=100とした指数。同上。
滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山
2021年から2026年の増加率は滋賀+124%、大阪+69%、奈良+60%、京都+52%、和歌山+48%、兵庫+41%です。滋賀は2021年の109か所が少なかったため伸び率が大きく、実数の増加は135か所です。大阪の増加は1,004か所で、関西の増加数(1,794か所)の56%を占めます。
密度 ── 大阪と和歌山が高く、奈良が低い
75歳以上1万人あたりのST数 単位:か所。STは2026年4月(協会調査)、人口は2026年1月1日(住民基本台帳)。当社計算。
関西全体では13.6か所で、全国(9.5か所)の1.4倍です。大阪は17.0、和歌山は13.3と高く、奈良(9.9)は全国並みです。人口10万人あたりでは大阪28.0、和歌山27.1が突出し、滋賀17.4、兵庫19.5、奈良19.6が低めです。この指標は事業所の所在地ベースで、隣の市町村の利用者を受け持つ分は含みません。
新規開設と廃止(2025年度) 単位:か所。2025年4月〜2026年3月。協会調査。
新規廃止
関西では1年に652か所が開設され、252か所が廃止されました。大阪だけで410か所(全国の新規の17%)が開設されています。年度内の廃止数を前年4月の稼働数で割った廃止率は、奈良6.9%、大阪6.2%、兵庫5.9%で、全国の5.1%より高い府県があります。
STの廃止数(全国) 各年度中、単位:か所。全国訪問看護事業協会。
廃止数は2021年度の490か所を底に、2025年度は960か所と2倍に増えました。開設が増えるなかで、閉じる事業所も増えています。廃止の理由は第6章で見ます。
開設主体が営利法人(会社)のSTの割合 単位:%。2024年10月1日、介護サービス施設・事業所調査。
全国では営利法人が67%、医療法人が18%です。大阪は79%、和歌山は74%が会社の運営です。奈良(60%)は医療法人(23%)の比率が高く、病院が母体のSTが多い構成です。2026年9月の近畿厚生局の名簿で法人名から分類すると、関西は営利法人78%、大阪84%まで上がります(調査の基準が異なります)。
規模 ── 小規模が中心。大阪は大きく、和歌山・奈良は小さい
ST1か所あたりの看護職員数(常勤換算) 単位:人。2024年10月、保健師・助産師・看護師・准看護師の合計。
全国平均は5.8人です。大阪は6.5人で、PT・OT・STなどを含めた従事者全体でも9.2人(全国8.1人)と大きい構成です。和歌山(看護職員5.0人、従事者7.1人)、奈良(5.2人)は小規模です。
看護職員数の規模別のST数(全国) 単位:か所。2024年、常勤換算。老健局資料(標本調査からの推計、グラフのラベルから読み取り)。
看護職員が5人未満のSTが約56%です(2017年は約62%)。人員基準は常勤換算2.5人以上で、2.5〜3人未満の事業所が15.5%あります。20人以上の大規模STは1.4%(259か所)です。府県別の規模別分布は公表されていません。
サテライト(出張所)のあるSTは、全国で1,287か所(7.1%、2024年9月)です。2026年4月のサテライト数は全国2,698か所で、大阪が544か所(全国の20%)、兵庫128、京都26、滋賀21、奈良12、和歌山6です。大阪では、サテライトのあるSTが268か所(大阪のSTの12.6%)あります。
運営法人 ── 1か所だけの法人が7割。大手は限られる
| 法人あたりの拠点数 | 法人数 | 拠点数 | 拠点の割合 |
| 1拠点 | 3,485 | 3,485 | 68.1% |
| 2拠点以上 | 533 | 1,631 | 31.9% |
| 3拠点以上 | 191 | 947 | 18.5% |
| 5拠点以上 | 69 | 549 | 10.7% |
| 10拠点以上 | 14 | 211 | 4.1% |
| 合計 | 4,018 | 5,116 | 100% |
近畿厚生局『訪問看護ステーションの指定一覧』令和8年(2026年)9月1日現在、関西6府県の現存STを法人名で集計したものです。同じグループの別法人(例:医療法人と社会福祉法人)は合算していません。
| 法人 | 関西の拠点数 | 大阪 | 主な特徴 |
| 株式会社N・フィールド | 45 | 31 | 精神科訪問看護 |
| 株式会社スーパー・コート | 31 | 16 | ― |
| 株式会社メディケア・リハビリ | 13 | 8 | ― |
| 株式会社ビオネスト/スタッフシュウエイ/リニエL/おかもと | 各12 | ― | ― |
| セントケア(和歌山・兵庫) | 14 | 0 | 2025年に大阪の事業者を買収 |
| SOMPOケア | 10 | 4 | ― |
| シーユーシー・ホスピス | 10 | 3 | ホスピス併設 |
| ツクイ | 8 | 2 | ― |
| アンビス | 6 | ― | ホスピス併設 |
| ソフィアメディ | 4 | 2 | 大阪2・奈良2 |
法人名・事業所名での集計です。最大の法人でも関西の拠点は45か所(1%未満)で、表に挙げた全国展開の大手の関西拠点は4〜14か所です。公式サイトの拠点数との照合はしていません(大手各社のサイトは機械取得ができませんでした)。
全国でも、法人ベースでは1拠点のみの法人が89%(11,767法人)、5拠点以上の法人は1.7%(220法人)です(介護サービス情報公表システムのデータを法人番号で名寄せ、民間集計)。営利法人の請求事業所数は2008年の1,211から2025年の10,467へ約9倍で、増加分の大半が営利法人です。
市区町村 ── 大阪市の中心部に集まり、周辺部と山間部が薄い
75歳以上1万人あたりのST数(市区町村別、上位と下位) 単位:か所。75歳以上5,000人以上の市町村。近畿厚生局の名簿(2026年9月)、厚生労働省『介護保険事業状況報告』(2026年6月末)。
上位は大阪市(25.6)、和泉市・泉佐野市(23.8)、貝塚市(22.6)、岸和田市(22.2)、松原市(21.8)と、大阪府が占めます。下位は兵庫県の朝来市(1.6)・赤穂市(2.1)・淡路市(3.2)・丹波篠山市(3.6)、奈良県の宇陀市(4.2)・五條市(4.7)です。ST数の絶対数は、大阪市1,035、神戸市360、京都市350、堺市280、東大阪市138、和歌山市124、尼崎市111、姫路市109、西宮市107、豊中市101です。
大阪市24区の65歳以上1万人あたりのST数 単位:か所。65歳以上は第1号被保険者(2026年3月末)。
大阪市の中でも浪速区(35.1)・中央区(31.3)・天王寺区(25.1)・北区(22.5)に集まり、此花区(5.8)・大正区(4.8)・西淀川区(7.5)・港区(7.7)は少ない二極化です。区ごとの75歳以上人口が取れなかったため、分母は65歳以上です。
参考:ステーションが0件の市町村 滋賀の多賀町、京都の笠置町・和束町・南山城村・京丹波町、大阪の能勢町・太子町・千早赤阪村、奈良の山添村・曽爾村・御杖村・明日香村ほか。名簿上の所在地が無い町村で、町外のSTが訪問している場合があります。京都市(伏見区72、右京区53、山科区33…)、神戸市(西区52、垂水区51、中央区47…)、堺市(堺区59、北区55、中区52…)の区別件数は、区別の高齢者人口が未取得のため密度は出していません。
数字の違いに注意:ステーション数は出典によって異なります。協会調査(2026年4月・稼働、全国20,051)、厚労省『介護サービス施設・事業所調査』(2024年10月・介護保険のST、全国18,042)、近畿厚生局の名簿(2026年9月・医療保険の指定、関西5,116)は、定義と時点が違います。本資料は、時系列と府県比較に協会調査を使いました。
CHAPTER 4
利用者とサービス内容 ── 大阪は医療保険・重度・精神科が多く、兵庫は要支援が多い
訪問看護の利用者は、介護保険(65歳以上と、40〜64歳の特定疾病)と医療保険(がん末期・難病・精神疾患・小児・急性増悪時など)に分かれます。府県の違いは、利用者の構成に出ます。
119.3万人
全国の訪問看護STの利用者(2024年9月の1か月)。介護保険70.3万人、医療保険48.5万人
厚生労働省『介護サービス施設・事業所調査』
44.7%
大阪の利用者に占める医療保険の割合。全国40.7%、奈良45.7%。滋賀34.6%、兵庫35.0%が低い
同
83.0%
大阪のSTのうち、精神科訪問看護の届出がある割合(2024年10月)。全国67.9%、和歌山62.1%
同
+10.4%
関西の介護保険の訪問看護の受給者数の1年の増加(2026年4月サービス分、20.9万人)。全国は+10.2%
厚生労働省『介護保険事業状況報告』
利用者に占める医療保険の割合 単位:%。2024年9月の利用者数。医療保険÷(介護保険+医療保険+その他)ではなく、公表された総数に対する割合。
医療保険の利用者は、大阪では68,394人、利用者の44.7%です。大阪1府で全国の医療保険の利用者(485,279人)の14.1%を占めます。介護保険の利用者は兵庫が43,919人で、大阪(83,917人)の約半分です。1事業所あたりの利用者は、京都74.2人、大阪72.2人、兵庫71.1人に対し、和歌山は55.0人です。
75歳以上1万人あたりの介護保険の受給者数 単位:人。訪問看護(介護予防を含む)、2026年4月サービス分の現物給付。当社計算。
全国の417人に対し、大阪は659人、兵庫は618人です。奈良(365人)は全国より少なく、関西で最も低い水準です。奈良は医療保険の利用者の割合が関西で最も高い(45.7%)一方、介護保険の受給者は少なく、介護保険側の利用の余地が大きい府県です。
介護保険の訪問看護の受給者数(関西) 各年4月サービス分、単位:人。
3年で+22.1%(全国は+24.0%)です。2026年4月は前年から19,752人増え、+10.4%でした。大阪は+11.9%(95,006人)、滋賀は+13.4%(10,881人)、京都は+8.2%です。
医療保険の訪問看護の利用者数(全国) 単位:人。基本療養費・精神科基本療養費の算定者。訪問看護療養費実態調査(各年6月審査分)、令和7年は速報値。
10年で約4.3倍に増えました。そのなかで精神科訪問看護の利用者の割合が高まっています(令和7年は2割程度、中医協資料)。精神科訪問看護の届出は関西のSTの82.7%(4,233か所、2026年9月)にのぼります。
どんな利用者か ── 要介護度の構成
| 府県 | 受給者数 (2026年4月) | 要支援1・2 | 要介護1・2 | 要介護3 | 要介護4・5 |
| 滋賀 | 10,881 | 16.4% | 49.2% | 14.6% | 19.7% |
| 京都 | 25,907 | 12.3% | 50.8% | 17.6% | 19.4% |
| 大阪 | 95,006 | 13.6% | 41.7% | 16.6% | 28.1% |
| 兵庫 | 58,377 | 25.2% | 42.5% | 12.9% | 19.5% |
| 奈良 | 9,340 | 17.8% | 42.8% | 15.1% | 24.3% |
| 和歌山 | 9,651 | 18.3% | 40.3% | 14.7% | 26.7% |
| 全国 | 880,327 | 16.0% | 46.1% | 14.8% | 23.2% |
厚生労働省『介護保険事業状況報告(月報)』第3-2-1表、2026年4月サービス分の現物給付、訪問看護(介護予防を含む)。構成比は当社計算で、要介護1・2は要介護1と2の合計です。大阪は要介護4・5が28.1%(全国23.2%)、和歌山も26.7%と重度の割合が高い構成です。兵庫は要支援が25.2%で、介護予防訪問看護が多い府県です(兵庫の介護予防訪問看護の費用額は53.9億円で、大阪の48.9億円を上回ります)。
サービスの中身 ── 24時間対応・ターミナル・精神科・小児
| 府県 | 24時間対応 体制加算 | ターミナル ケア体制 | 精神科訪問 看護 | 機能強化型 | 小児の 受入体制 |
| 滋賀 | 95.1% | 89.3% | 73.8% | 12.1% | 49.5% |
| 京都 | 94.1% | 85.7% | 75.9% | 5.5% | 42.1% |
| 大阪 | 90.9% | 75.5% | 83.0% | 5.9% | 35.7% |
| 兵庫 | 94.7% | 82.4% | 73.7% | 8.5% | 38.1% |
| 奈良 | 88.5% | 74.8% | 69.3% | 7.3% | 41.3% |
| 和歌山 | 88.6% | 76.7% | 62.1% | 3.7% | 42.0% |
| 全国 | 90.2% | 80.7% | 67.9% | 7.4% | 43.5% |
各届出を行っているSTの割合(2024年10月、介護サービス施設・事業所調査 第21・23表)。機能強化型は療養費1〜3の合計。小児は0〜19歳の受入体制があるST。
| 府県 | 死亡による 終了者数 | うち在宅死 | 在宅死の割合 |
| 滋賀 | 182 | 82 | 45.1% |
| 京都 | 399 | 219 | 54.9% |
| 大阪 | 1,617 | 995 | 61.5% |
| 兵庫 | 914 | 582 | 63.7% |
| 奈良 | 196 | 133 | 67.9% |
| 和歌山 | 182 | 113 | 62.1% |
| 全国 | 18,339 | 11,607 | 63.3% |
2024年9月の1か月に、訪問看護が死亡で終了した利用者の数(介護サービス施設・事業所調査 第24表)。在宅死は、ターミナルケアの算定の有無にかかわらず、自宅で亡くなった利用者の合計です。ターミナルケアの算定ありの終了者のうち在宅死は、全国84.1%、奈良91.1%、兵庫88.5%、大阪83.3%、京都82.3%、滋賀76.4%です。
読み方:24時間対応体制加算は全国のSTの9割が届け出ており、ほぼ標準装備です。ターミナルケアは滋賀89.3%・京都85.7%が高く、大阪(75.5%)・奈良(74.8%)が低い一方、精神科は大阪83.0%と全国より15ポイント高く、機能分担が分かれています。機能強化型(常勤の看護職員が多く、重症者や看取りを受ける体制を持つ上位の届出)は、滋賀(12.1%)・兵庫(8.5%)が多く、和歌山(3.7%)・京都(5.5%)が少ない状況です。小児の受入体制は大阪(35.7%)が最も低くなっています。医療的ケア児は、全国で約2.0万人(在宅、推計)で、府県別は公表されていません。
2026年9月(近畿厚生局の名簿)では、関西のSTの91.6%が24時間対応体制加算、82.7%が精神科訪問看護、89.1%が特別管理加算、45.2%が医療DX情報活用加算を届け出ています。
CHAPTER 5
制度と報酬 ── 2026年6月の改定で「同一建物」と「質」の評価が変わった
訪問看護の収入は、医療保険の診療報酬(訪問看護療養費)と、介護保険の介護報酬で決まります。2024年のトリプル改定に続き、2026年6月に診療報酬と介護報酬の大きな見直しが施行されました。あわせて、精神科訪問看護を中心とする不正請求への対応で、指導・監査が強まっています。
| 時期 | 出来事 | 訪問看護にとっての意味 |
| 2024年6月 | 診療報酬・介護報酬のトリプル改定 | 管理療養費の見直し、BCP・虐待防止、ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)、医療DX情報活用加算、専門管理加算(介護) |
| 2024年10月22日 | 厚労省 事務連絡「指定訪問看護の提供に関する取扱方針について」 | 利用者の状態にかかわらず、一律に回数を決めて訪問することを不可と明示 |
| 2025年4月3日 | 指導要綱の改正 | 本省・厚生局・都道府県の共同指導を新設。請求1件あたり平均額が高いSTを個別指導の対象に |
| 2026年1月 | 不正請求問題を受け、全国一斉調査へ(報道) | ホスピス型住宅併設ST・精神科訪問看護STが対象と報じられた。結果は2026年10月時点で未公表 |
| 2026年2月13日 | 中医協が令和8年度診療報酬改定を答申 | 附帯意見で、同一建物・包括評価の見直しと精神科訪問看護の評価の再検討を明記 |
| 2026年6月 | 令和8年度診療報酬改定の施行/介護報酬の期中改定(+2.03%) | 同一建物の5区分化、包括型の新設、機能強化型4の新設、30分以上を標準に。介護の訪問看護に処遇改善加算1.8% |
| 2026年9月 | 社保審 介護給付費分科会が令和9年度改定の「基本的な視点(案)」 | 医療ニーズの高い人への対応と看取りを含む医療・介護連携が柱の一つ。改定率・施行日は未定 |
2026年6月の診療報酬改定(訪問看護療養費)
訪問看護管理療養費(月の初日) 単位:円。2024年6月と2026年6月の比較。
2024年度(改定前)2026年度(改定後)
機能強化型は+330〜+530円、機能強化型以外は+40円(7,670円→7,710円)です。機能強化型4(9,030円)は、精神科訪問看護の機能強化のため新設されました。常勤の看護職員4人以上、24時間対応体制加算の届出、重症度の高い利用者の受入、医療機関との共同、地域への研修・情報提供が要件です。2024年に管理療養費1・2に分かれた月の2日目以降の費用は、統合されました(20人未満3,010円)。
主な変更点
| 項目 | 内容 |
| 同一建物の5区分化 | 基本療養費(Ⅱ)などを、同一日の人数で「2人/3〜9人/10〜19人/20〜49人/50人以上」の5区分に。看護師等の場合、2人5,550円・3〜9人2,780円は据え置き、10〜19人2,760円、20〜49人2,710円、50人以上2,610円(月20日目まで)。敷地内の建物も同一建物 |
| 訪問時間 | 30分以上を標準とし、20分を下回る訪問は算定不可。実際の訪問開始・終了時刻の記録が必要 |
| 包括型訪問看護療養費(新設) | 高齢者向け住まい等に併設・隣接するSTが、届出した1つの建物の重度の利用者に、24時間体制で頻回に訪問した場合の1日の包括評価。20人未満の場合、30〜60分未満7,010円、60〜90分未満11,010円、90分以上14,010円 |
| 乳幼児加算 | 1,300円→1,400円 |
| 新設 | 訪問看護医療情報連携加算(1,000円/月)、訪問看護遠隔診療補助料(2,650円)、訪問看護物価対応料(月の初日60円、令和9年度は120円) |
| 経済上の利益の提供による誘引の禁止 | 人員運営基準に新設(値引き・紹介料等)。保険医療機関が特定のSTを利用するよう指示等することの対価として金品を受け取ることも禁止 |
厚生労働省保険局医療課『令和8年度診療報酬改定の概要【訪問看護ステーション向け】』(2026年9月4日版)、告示・通知(保発0305第19・20号)。単価は概要資料の記載で、算定の最終判断は告示・通知で確認が必要です。改定による増収・減収の試算は公表されていません。
事業者への影響:10人以上が入居する施設・集合住宅への訪問の単価が段階的に下がる一方、3〜9人の単価は変わりません。同一建物への訪問を主体にしてきた事業所は、売上の構成を見直す必要があります。包括型は、ホスピス型住宅などに併設するSTの収入の形を変える制度です。関西では、包括型の届出が126か所(近畿厚生局、2026年9月)、機能強化型4の届出が18か所あります。
賃上げの評価 ── ベースアップ評価料と、介護の処遇改善加算
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) (月1回) | 新たに賃上げを行うST | 継続的に賃上げを実施しているST |
| 2024年6月〜 | 780円 | 780円 |
| 2026年6月〜2027年5月 | 1,050円 | 1,830円 |
| 2027年6月〜 | 2,100円 | 2,880円 |
評価料(Ⅱ)は18区分(10〜500円)から36区分に拡大されます。対象職員は「主として医療に従事する職員」から「当該STに勤務する職員」に広がりました。2025年7月時点の評価料(Ⅰ)の届出は、全国のST20,152か所のうち8,654か所(42.9%)で、府県別の届出状況は公表されていません。
| 介護報酬の処遇改善加算(新設) | 加算率 |
| 訪問看護(介護予防を含む) | 1.8% |
| 訪問リハビリテーション | 1.5% |
| 居宅介護支援 | 2.1% |
| (参考)訪問介護 加算Ⅰ | 27.0〜28.7% |
2026年6月の臨時の介護報酬改定(+2.03%、処遇改善分+1.95%)で、これまで処遇改善加算の対象外だった訪問看護が初めて対象になりました。要件はキャリアパス要件・職場環境等要件などです。訪問看護の医療保険分はベースアップ評価料、介護保険分は処遇改善加算と、財源が別です。
指導・監査の強化 ── 精神科訪問看護と高額請求の事業所が焦点
| 指標(2025年の中医協資料) | 数値 |
| 訪問看護療養費の算定件数 | 2008年度94万件→2023年度610万件(約6.5倍) |
| 医療費(年間) | 648億円→6,072億円(約9.4倍) |
| 年間医療費2.5億円以上のST数 | 2018年度→2023年度で1,280%増(1,500万円未満は122%増) |
| 1人1月の平均医療費 | 上位100ST:621,945円/全体:114,427円 |
| 1か月の平均訪問日数(レセプト1件) | 上位100ST:28.1日/全体:9.3日 |
| 上位100STの基本療養費(Ⅱ)(同一建物)の割合 | 97.6%(全体:11.3%) |
中医協 総会資料(2025年3月・8月・10月・11月)。医療保険の訪問看護の費用が、特定の事業所に偏って伸びていることを示す資料です。不正請求の件数・金額の全国集計は公表されていません。
- 一律訪問の禁止(2024年10月):利用者の心身の状況を踏まえず、一律に日数・回数・時間を決めること、訪問していない開設者等が決めることは不可です。
- 個別指導の選定基準(2025年4月):請求1件あたりの平均額が高いSTを個別指導の対象にします。複数の都道府県で運営するSTには、本省・厚生局・都道府県の共同指導を行います。返還は原則5年さかのぼります。
- 令和8年度改定(2026年6月):訪問時間・記録・適正な手続・誘引の禁止を、人員運営基準に明文化しました。標準時間を下回る訪問が頻繁にある場合は、実施と認められません。
- 近畿での動き:2025〜26年に近畿厚生局・大阪府・兵庫県等がSTに対して行った取消・戒告・一斉調査の個別事案は、公式資料では確認できませんでした。
次の改定 ── 令和9年度(2027年度)介護報酬改定
- 2026年6月29日(第259回):社会保障審議会 介護給付費分科会で訪問看護が論点に。医療ニーズの高い在宅療養者が増えるなか、緊急時対応体制や関係機関との連携を、どう評価するかが論点です。リハビリ主体の事業所も一定数あるとされ、質の高い事業所の評価が焦点です。
- 2026年9月16日(第267回):日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会が、病院看護職員との賃金格差の是正、特別地域加算の見直し(人口2万人未満の自治体のSTの51.4%が赤字)、夜間・早朝・深夜加算の算定要件の見直し、認知症看護の専門看護師等を専門管理加算の対象に加えること、などを要望しました(団体の意見で、審議会の決定ではありません)。
- 2026年9月30日(第268回):基本的な視点(案)が示されました。①物価・賃金の上昇への対応と処遇改善、②人口減少に応じた提供体制、③地域包括ケアの深化(医療ニーズが高い人への対応と看取りを含む医療・介護連携)、④職場環境改善と生産性向上、などです。改定率・施行日、訪問看護の具体案は、2026年10月6日時点で未提示です。
指定基準は、看護職員が常勤換算2.5人以上(うち1名は常勤)、管理者は専従・常勤の保健師または看護師です。2024年の改定で、管理上支障がなければ同一事業者の他の事業所の管理者・従業者との兼務ができるようになりました。看護師の特定行為研修の修了者は全国13,887人(2025年9月)で、介護保険・医療保険の専門管理加算の対象です。
CHAPTER 6
経営と競合 ── 収支差率は10.3%。開設は年2,400か所、廃止は960か所
訪問看護は収益性の高いサービスですが、費用の7割が人件費で、赤字の事業所も4割近くあります。開設と廃止が同時に増える「入れ替わりの激しい市場」です。
10.3%
訪問看護の収支差率(2024年度決算)。前年度の11.9%から−1.6pt。全サービス平均は4.7%(二次情報)
厚生労働省『介護事業経営概況調査』
38.2%
訪問看護の赤字事業所の割合(2024年度決算)。全サービス平均37.5%。居宅介護支援40.0%
同
70.1%
収入に占める給与費の割合(2024年度決算)。前年度の68.7%から+1.4pt
同
960か所
2025年度に廃止された全国のST数(関西252か所)。新規開設は2,428か所(関西652か所)
全国訪問看護事業協会
訪問看護の収支差率 単位:%。介護保険の訪問看護(予防を含む)、補助金を除く税引前。
2023年度決算で11.9%に上がり、2024年度決算は10.3%でした。2021〜2022年度の値は、別の調査(実態調査)の値で、同じ調査の連続した時系列ではありません。収入に対する給与費の割合は70.1%で、収支差率の低下は、給与費の上昇(+1.4pt)と同じ時期に起きています(因果は出典に記載がありません)。
赤字事業所の割合(2024年度決算) 単位:%。厚生労働省『令和7年度介護事業経営概況調査』。
訪問看護の収支差率(10.3%)は高いものの、赤字の事業所が38.2%あります。平均は、利益の大きい事業所に引き上げられています。訪問看護の調査対象は522事業所、有効回答は254(48.7%)の標本調査で、府県別の収支は公表されていません。人口2万人未満の自治体のSTでは、赤字が51.4%です(日本訪問看護財団、2024年度決算)。
1事業所あたりの収支(介護保険分、月額)
| 項目(千円/月) | 2023年度決算 | 2024年度決算 |
| 介護事業収益 | 3,251 | 3,409 |
| 介護事業費用 | 2,919 | 3,114 |
| うち給与費 | 2,279(68.7%) | 2,437(70.1%) |
| 差引(収支差) | 396(11.9%) | 358(10.3%) |
| 訪問1回あたり収入 | 8,009円 | 8,463円 |
| 訪問1回あたり支出 | 7,433円 | 7,966円 |
有効回答254事業所。年換算すると、2024年度決算の介護事業収益は約4,091万円/事業所です。調査は介護保険の事業の収支で、医療保険分を含むかは確認できていません。2026年の実態調査(2025年度決算)は、2026年10月時点で未公表です。
事業所の存続にあたっての課題 単位:%。「存続を考えたことがある」事業所のうち、課題が「ある」「将来的にはある」と答えた事業所(n=2,778)の複数回答。全国訪問看護事業協会(2024年度調査)。
最大の課題は人材の確保(59.6%)です。協会の調査では、事業所の存続を考えたことが「ある」事業所が82.7%です。採用・定着の助言を求める事業所は60.4%、利用者確保の助言は50.6%でした。
廃止の理由と、倒産・休廃業
STを廃止した理由 単位:%。廃止したST(n=437)。全国訪問看護事業協会(2024年度の調査、令和7年3月報告)。
廃止の理由の上位は従業員の確保困難(22.7%)、管理職の退職(17.6%)、利用者の不足(14.9%)、人員基準を満たせなくなった(11.0%)です。人材に関わる3つの理由(確保困難・管理職の退職・人員基準)の合計は51.3%で、半数を超えます。
倒産・休廃業の統計
| 指標(東京商工リサーチ) | 2024年 | 2025年 |
| 介護事業者の倒産 | 172件 | 176件(過去最多) |
| うち訪問介護 | 81件 | 91件(3年連続の最多) |
| 介護事業者の休廃業・解散 | 612件 | 653件(4年連続の最多) |
| 関西6府県の倒産 | 37件 | 39件(大阪17・兵庫9・和歌山5・滋賀4・京都2・奈良2) |
訪問看護だけの倒産件数は、東京商工リサーチ・帝国データバンクとも公表していません。上の表は「老人福祉・介護事業」の値で、訪問看護STは含まれるものの、内訳は分かりません。倒産は法的整理(負債1,000万円以上)で、廃止届とは別です。訪問看護の動きは、廃止数(関西252か所、2025年度)で見るしかありません。関西の訪問看護事業者の倒産事例は、公式資料・報道で確認できませんでした。
競合の動き ── 大手の拡大とM&A
| 事業者 | 訪問看護の規模(事業者の用語) | 基準日 | 関西との関係 |
| ファーストナース(精神科特化) | 263拠点、従業員1,376人、利用者約16,000人 | 公式サイト(基準日の記載なし) | 関西の拠点数は確認できず |
| セントケア・ホールディング | 訪問看護拠点123(毎期15〜20拠点を新設・転換する計画) | 2024年3月期末 | 名簿上は関西14拠点(和歌山8、兵庫6)。2025年5月に大阪府池田市の愛らいふサービスを全株取得し、「大阪府北部」の拠点を確保。2025年12月に経営陣による買収(MBO)が成立し、上場廃止へ |
| ソフィアメディ(シーユーシー子会社) | 全国109拠点 | 2026年4月 | 名簿上は大阪2・奈良2 |
| アンビス(医心館) | ホスピス137施設・定員7,108人(訪問看護を併設) | 2026年6月末 | 関西の訪問看護拠点は名簿上6 |
| ツクイ | 訪問看護70拠点(グループ全体で約770拠点) | 2025年5月 | 名簿上は関西8。2026年4月に宮崎の訪問看護STの運営会社を完全子会社化 |
| SOMPOケア | 在宅サービス550以上の事業所(訪問看護のみの数は未確認) | 公式サイト | 名簿上は関西10 |
拠点・施設・事業所の定義は事業者ごとに異なり、横並びの比較はできません。各社の売上(訪問看護のみ)、アースサポート・ニチイ学館・ケアプロなどの拠点数は、公式資料で確認できませんでした。関西で確認できた大手の参入(M&A)は、セントケアの愛らいふサービス取得(2025年5月)の1件のみです。M&Aの仲介サイト「バトンズ」の「訪問看護・訪問系サービス」の売却案件の掲載数は、2026年10月6日時点で、全国768件、大阪府71件、兵庫県46件、京都府29件でした(訪問介護等を含み、掲載時点の件数)。
CHAPTER 7
採用状況① 人材の現状 ── 看護職員は5年で1.75倍。40歳以上が7割
ここから3つの章で、訪問看護の採用を見ます。第7章は「働いている人」、第8章は「求人と賃金」、第9章は「離職・人手不足・採用の方法・育成」です。まず、訪問看護STで働く看護職員の数と、年齢構成を見ます。
24,962人
関西のSTで働く看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師)の常勤換算数(2024年10月)。全国103,823人の24.0%
厚生労働省『介護サービス施設・事業所調査』
1.75倍
2019年からの5年間の関西の看護職員の増加。全国は1.68倍。大阪は1.93倍、和歌山1.82倍
同
8.7万人
全国のST勤務の看護職員(2023年)。2002年の2.4万人の3.6倍。病院は98.7万人で減少に転じた
厚生労働省 検討会資料(衛生行政報告例等)
68.5%
ST勤務の看護師のうち40歳以上の割合(2024年末、全国)。病院勤務の看護師は48.4%
『衛生行政報告例』
ST勤務の看護職員数(常勤換算)の伸び 2019年=100とした指数。各年10月。『介護サービス施設・事業所調査』。
滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山
2024年の看護職員数は、大阪13,846人、兵庫5,161人、京都2,535人、滋賀1,177人、奈良1,141人、和歌山1,102人です。ST数の増え方(第3章)と同じく、大阪(1.93倍)と和歌山(1.82倍)で人材の増加が速く、奈良(1.46倍)・兵庫(1.52倍)は緩やかです。1年あたりの増加は、全国で約1万人です。
STで働く看護職員(全国) 単位:万人。就業場所別の看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師)。
看護職員の総数は2023年に174.6万人でほぼ横ばいです(2020年は173.4万人)。病院の看護職員は2020年の101.2万人から2023年の98.7万人に減る一方、STは6.8万人から8.7万人に増えました。訪問看護は、他の職場から人を集めて拡大しています。
看護師のうち、STで働く人の割合 単位:%。看護師・准看護師の実人員に占める、ST勤務の割合。『衛生行政報告例』2018年と2024年(各年末)。
2018年2024年
2024年は和歌山8.6%、大阪8.2%、京都8.1%が全国(6.1%)を上回り、滋賀(6.1%)は全国並みです。6年で全国は1.6倍に増えました。看護師の約16人に1人(大阪・京都・和歌山では12人に1人前後)がSTで働く計算です。
看護師の年齢構成:ST勤務と、全就業者 単位:%。2024年末、全国、実人員。『衛生行政報告例』第8表-1。
ST勤務全就業看護師
ST勤務の看護師の68.5%が40歳以上(全就業看護師は57.6%)です。25歳未満は0.8%と、全就業者(8.3%)の10分の1です。40歳以上の割合は、2020年の75.3%から2024年の68.5%に下がっており、若い世代の流入が増えています。准看護師は、ST勤務の84.0%が40歳以上です。
訪問看護STで働く看護師数は、2つの統計で水準が異なります。『介護サービス施設・事業所調査』(事業所票、2024年10月)の看護師は126,625人(保健師・助産師を含まず、実人員)、『衛生行政報告例』(個人の届出、2024年末)の看護師は91,021人です。大阪で比べると、前者は看護職員(4職種)の実人員で20,072人、後者は看護師・准看護師の実人員で8,344人です。本資料の「看護職員数」は事業所調査、「就業先の割合」「年齢」は衛生行政報告例を使い、2つを混ぜて比較していません。1事業所あたりの平均では、看護職員は常勤で5.8人、非常勤で3.2人(協会会員の事業所、合計9.0人)、40歳以上が72%、看護職員の勤務年数は3年未満が26.1%、10年以上が18.0%です。
将来 ── 国の需給推計では、訪問看護の人材は2025年に約2.5倍必要
| 厚生労働省の看護職員需給推計(2019年公表) | 2016年(実績) | 2025年(需要・シナリオ②) |
| 看護職員 合計 | 1,660,071人 | 1,897,561人 |
| うち訪問看護事業所 | 46,977人 | 118,556人 |
| 医療保険 | ― | 27,939人 |
| 介護保険 | ― | 49,877人 |
| 精神病床からの基盤整備 | ― | 40,741人 |
| 看護職員の供給(全シナリオ共通) | ― | 1,746,664〜1,819,466人 |
医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会(2019年11月)。「精神病床からの基盤整備」は精神病床関連と訪問看護事業所の両方に計上(二重計上)されており、これを除くと医療保険27,939人+介護保険49,877人=77,816人です。シナリオ②は、超過勤務月10時間以内・有給10日以上の働き方改革を反映した条件です。2025年推計は2019年時点の受療率を固定したもので、コロナ後の変化は含みません。
| 府県 | 2025年の看護職員の需給推計(各府県の資料) |
| 大阪 | 国の方法で、実人員で29,672人の不足。国が働き方改革の係数で幅を持たせた後は35,429〜46,106人の不足(充足率70.3〜75.5%、全国2位の不足数)。訪問看護・介護領域は現状の約1.6倍の需要 |
| 兵庫 | 国修正後のシナリオ②で、供給76,579人に対し需要80,959人(不足4,380人) |
| 滋賀 | 国修正後のシナリオ②で、需要18,934人、供給18,057人(充足率95.4%)。うち訪問看護事業所の需要は1,228人(2016年は612人) |
| 京都 | 2025年の需要42,512人、供給41,937人(差−575人)。訪問看護の単独数値はなし |
| 奈良・和歌山 | 公式資料では確認できず |
国は2040年に向けた新しい推計を進めています(2026年4〜7月に4回の検討会)。2026年10月時点で、推計値と府県別の結果は公表されていません。
CHAPTER 8
採用状況② 求人市場と賃金 ── 訪問看護の求人倍率は4.54倍。病院の2倍以上
看護職全体で人手が足りないなか、訪問看護は最も採用が難しい職場です。求人倍率、ナースセンターの実績、求人サイトの掲載数、賃金を見ます。
4.54倍
ナースセンター経由の訪問看護STの求人倍率(全国、2024年度)。求人20,800人に対し、求職者4,586人。病院(500床以上)は1.93倍
日本看護協会『ナースセンター登録データ分析』
2.06倍
保健師・助産師・看護師の有効求人倍率(全国、2024年度)。奈良2.54、京都2.13、大阪2.03、兵庫1.99、滋賀1.76、和歌山1.66
厚生労働省 検討会資料(ハローワーク)
2,156件
看護roo!に載っている大阪の訪問看護の求人件数(2026年10月6日)。兵庫771、京都475、奈良213、滋賀198、和歌山70
看護roo!(クイック)
25.98万円
ST勤務の正規フルタイム看護職員の平均基本給。病院は28.29万円(日本看護協会の会員調査、回答79人)
日本看護協会『2025年看護職員実態調査』
求人倍率 ── ハローワークとナースセンター
看護職の有効求人倍率(ハローワーク) 単位:倍。保健師・助産師・看護師、2024年度。
奈良(2.54倍)と京都(2.13倍)が全国(2.06倍)を上回り、和歌山(1.66倍)と滋賀(1.76倍)は低い水準です。最新の月次(2026年7月)は、全国が1.94倍(パート含む)、2.24倍(パート除く)、京都1.95倍(常用2.22倍・パート1.69倍)、兵庫1.72倍、大阪2.04倍(看護師・准看護師、フルタイム2.16倍)、ハローワーク和歌山1.65倍でした。局ごとに範囲が違うため、単純には比べられません。
ナースセンターの施設種類別 求人倍率(全国) 単位:倍。無料職業紹介(eナースセンター)に登録された求人÷求職者、2024年度。
訪問看護STは4.54倍で、あらゆる施設種類の中で最も高い倍率です。求人数は20,800人で全体の12.1%、就職者数は299人(全体9,100人の3.3%)です。求職者全体では、訪問看護STを希望する人は4,586人(6.7%)にとどまります。ナースセンター全体の求人倍率は2.51倍で、2015年度以来の高さでした。
ナースセンター経由の訪問看護STの求人と求職 単位:人。2024年度。求職者は「訪問看護STを希望する」人(複数回答)。
求人数求職者数(希望)
府県別の求人÷求職者は、兵庫11.4、和歌山23.7(求職者が6人で参考値)、滋賀6.9、奈良6.5、大阪6.2、京都6.1です(当社計算)。どの府県でも、求人は求職者の6倍以上です。看護職全体の倍率(下の図)より、訪問看護の倍率はさらに高いことになります。
ナースセンターの求人倍率(全施設、府県別) 単位:倍。2024年度。
和歌山は9.11倍、兵庫は4.62倍です。常勤の求人に限ると、和歌山14.38倍、兵庫5.84倍、滋賀・奈良4.27倍、大阪3.14倍、京都3.08倍になります。ナースセンターに登録する求職者の少ない地域ほど、倍率が高く出ます。求職者数は、大阪3,097人、京都2,420人、兵庫1,244人、滋賀579人、奈良418人、和歌山122人です。
求人サイトの掲載数
看護roo!の訪問看護 求人の掲載件数 単位:件。2026年10月6日の一覧ページの表示。
大阪の2,156件(1,220施設)は、兵庫の2.8倍です。75歳以上1万人あたりでは、大阪14.9件、京都10.5件、滋賀9.0件、奈良8.3件、兵庫8.2件、和歌山3.9件で、大阪の事業所が最も盛んに求人広告を出しています(当社計算)。同じ求人が複数のエージェント経由で重複して載る場合があり、実際の求人数より多く見えます。
| 府県 | 掲載求人 | 掲載施設 | 常勤の月給の目安 (ページ上の記載) |
| 大阪 | 2,156 | 1,220 | 約25〜40万円以上(標準28〜33万円) |
| 兵庫 | 771 | 445 | 22.5〜50万円 |
| 京都 | 475 | 276 | 25〜40万円程度 |
| 奈良 | 213 | 117 | 24〜39万円 |
| 滋賀 | 198 | 110 | 求人例の幅19.3〜49.9万円 |
| 和歌山 | 70 | 54 | 23.6〜40.0万円 |
看護roo!(株式会社クイック)の「〇〇県の訪問看護求人情報」の一覧ページ。月給の目安はページ上の求人例からの目安で、統計値ではありません。数値は要約の取得で、原ページの再確認を推奨します。Indeed・doda・ジョブメドレー・ナース人材バンク・マイナビ看護師・レバウェルについては、訪問看護に絞った府県別の賃金・求人数の公表調査は見つかりませんでした。
賃金 ── 訪問看護は病院より低く、府県差は和歌山が小さい
ナースセンターの求人の提示給与(常勤・総支給額・看護職全般) 単位:万円/月。2024年度の下限と上限の平均。訪問看護に限った値ではありません。
下限の平均上限の平均
兵庫(27.1〜34.1万円)、滋賀(27.0〜33.7万円)、大阪(26.8〜33.1万円)が高く、和歌山は23.6〜30.5万円と、全国平均(25.3〜32.6万円)を下回ります。和歌山は、人口あたりの看護師の就業者数が関西で最も多い(人口10万人あたり1,362人、全国1,101人)地域です。
| 指標 | 金額 | 出典 |
| 看護師の所定内給与(月) | 333.2千円(企業規模10〜99人:320.5千円) | 賃金構造基本統計調査(2025年) |
| 看護師の年間賞与 | 85.6万円(企業規模10〜99人:62.4万円) | 同 |
| 看護師の年収の目安 | 約524.7万円(現金給与×12+賞与) | 同、当社計算 |
| ST勤務の正規フルタイムの基本給 | 259,761円(病院282,897円) | 日本看護協会(会員、回答79人) |
| 同・税込給与総額 | 353,441円(病院396,127円) | 同 |
| 介護保険事業所の看護職員の月収 | 293,318円(前年比+1.1%)、時給1,645円 | 介護労働実態調査(令和7年度) |
| 訪問看護師の年収 | 約494.8万円(二次情報) | ジョブメドレーの記事が日看協調査を引用 |
賃金構造基本統計調査の看護師は病院・診療所・介護・訪問看護を合わせた全体で、訪問看護STに限った公的統計はありません。都道府県別の看護師賃金も、公表表では取得できませんでした。日本看護協会の調査は会員の個人調査で、ST勤務の回答が少ないため参考値です。介護労働実態調査の月収は賞与・残業代を除きます。病院との差(基本給で約2.3万円)は、オンコール手当・出動手当を含みません。
産業別の新規求人(医療・福祉、2026年7月の前年同月比):奈良+11.7%、兵庫+7.6%、京都+2.7%、大阪+2.1%、滋賀−3.3%、和歌山−5.9%、全国+1.3%。医療・福祉は訪問看護以外の医療・介護を含みます。滋賀・奈良の看護職の職業別の有効求人倍率は、労働局の月報に小分類がなく取得できませんでした。
CHAPTER 9
採用状況③ 離職・人手不足・採用の方法 ── 62%が「看護職員が不足」。紹介会社の手数料は1人70万円超
訪問看護は、他の介護サービスより採用率も離職率も高く、半数以上の事業所が看護職員の不足を感じています。どの方法で採用しているか、紹介手数料はいくらか、これからの供給(新卒・養成)はどうかを見ます。
62.1%
看護職員が「不足」と答えた訪問看護事業所の割合(2025年度)。全介護事業所は44.8%
介護労働安定センター『介護労働実態調査』
24.1%
訪問看護事業所の看護職員の採用率。離職率は15.1%。採用も離職も、介護の7職種で最も高い水準
同
72.5万円
看護師・准看護師の有料職業紹介の平均手数料額(全国、2024年度)。近畿は73.0万円、兵庫75.3万円
厚生労働省『職業紹介事業報告』
79.5%
看護師3年課程(養成所)の定員充足率(全国、2025年度)。2020年度の95.9%から低下。入学者は6年で2割減
厚生労働省『看護師等学校養成所入学状況調査』
離職と採用 ── 訪問看護は人が動く職場
看護職員の採用率と離職率(府県別) 単位:%。2025年度。全介護サービス事業所の看護職員。回答は大阪314、兵庫213、京都98、滋賀66、和歌山57、奈良49事業所。
採用率離職率
全国の訪問看護事業所は、採用率24.1%・離職率15.1%(全介護サービスは20.8%・14.6%)で、前年度(26.0%・16.9%)よりやや落ち着きました。府県別は全サービス合算で、大阪が採用26.1%・離職17.3%と最も動きが大きく、和歌山は採用12.6%・離職8.7%と動きが小さい構成です。滋賀は採用と離職がともに15.5%で、増えていません。奈良・和歌山・滋賀は回答が少なく、振れが大きい値です。
看護職員が不足している事業所の割合 単位:%。「大いに不足」「不足」「やや不足」の合計。2025年度。
訪問看護事業所は62.1%(大いに不足9.9%・不足19.2%・やや不足33.0%)で、全介護事業所(44.8%)を17ポイント上回ります。府県別の訪問看護だけの値は、回答が少なく公表されていません。全サービス合算では、京都58.1%、滋賀50.1%が高く、和歌山35.5%、奈良37.7%が低くなっています。
人が出入りする背景:採用率・離職率は、事業の開始後年数でも違います。介護事業の開始から1〜5年未満の事業所は離職率が19〜29%(1〜2年未満が29.0%)と高く、10年以上の事業所(13.1%)を大きく上回ります(全サービスの合算)。訪問看護の新規開設が多い関西では、開設して間もない事業所の離職が、市場全体の動きを大きくしている可能性があります。
流出元の病院も人が動いています:病院の正規雇用看護職員の離職率(2024年度)は、全国11.0%に対し、大阪14.1%、奈良14.1%、兵庫12.7%、京都11.9%、滋賀10.8%、和歌山9.5%です。大阪では、既卒採用者の離職率も20.1%(全国16.1%)と高く、転職市場が活発な構成です。大阪府の訪問看護ST調査(2024年度)では、2023年度の1年間に離職者がいた事業所が57.2%(781か所)、離職者は2,492人でした。離職の理由は、家庭の事情(344件)、体力的に無理(163件)の順です。
どう採用しているか ── 紹介・ハローワーク・人材紹介
介護事業所の採用活動の実施割合と、効果があった割合 単位:%。全国、全介護事業所(訪問看護STに限らず、n=8,978)、2024年度。効果ありは、実施した事業所のうち「効果があった」と答えた割合。
実施している効果があった(実施した事業所のうち)
最も実施が多いのはハローワーク等への相談(66.9%)と、職員の友人・知人の紹介(65.6%)です。効果があったと答えた割合は、職員の紹介46.0%、有料職業紹介45.2%、求人サイト41.1%が高く、自社ホームページ(21.3%)とSNS(16.8%)は低い結果でした。労働者調査では、現在の法人に就職したきっかけは「友人・知人の紹介」が35.7%、ハローワークが19.3%、民間の職業紹介が3.4%です。
訪問看護STに絞った参考データ
- 民間調査(在宅医療支援機構、2024年9月、n=1,004):採用方法は、ハローワーク37.0%、総合型求人サイト32.7%、人材紹介30.5%。採用に課題ありが95.5%。公的統計ではないため、参考値です。
- 大阪府の調査(2024年度、回答1,365事業所):看護職の求人をしている事業所は62.0%(前年64.9%)。新卒採用の経験は9.3%(127か所)で、今後も採用しない事業所が6割を超えます。理由は、教育体制が整っていない(592件)、新卒では訪問看護は難しい(539件)です。
- 日本看護協会の訪問看護実態調査(2022年度):夜間・休日対応がネックで新規採用が難しいと答えた事業所が36.0%。規模を広げたいが難しい事業所の88.3%が、その理由に看護職員の確保を挙げています。
- 転職の意向:日本看護協会の個人調査(2025年)で、「訪問看護STで働きたい」は22.4%(病院51.2%)。民間調査(2024年、転職検討中の看護師200人)では、訪問看護STに興味ありが54.5%でした。
人材紹介の手数料 ── 1人あたり70万円超、規制の議論が進む
| 看護師・准看護師の有料職業紹介(2024年度) | 数値 |
| 平均手数料額(全国) | 72.5万円 |
| 近畿ブロック | 73.0万円 |
| 京都/大阪/兵庫 | 72.7万円/72.8万円/75.3万円 |
| 滋賀・奈良・和歌山 | 非公表(事業所が10未満) |
| 手数料の総額(全国) | 約598億円 |
| 常用就職件数(有料) | 79,412件(前年度88,561件、−10.3%) |
| 参考:医師の平均手数料額 | 107.8万円 |
| 手数料率の相場 | 年収の20〜30%未満が最多(2013年の調査) |
厚生労働省『職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』(2026年3月31日)。職業紹介事業所の所在地別の平均で、求人施設の所在地別ではありません。別の数値にも注意:日本医師会が2026年3月に紹介した2023年度の看護師の平均手数料額は159.8万円ですが、出所は都内の病院を対象にした調査とされ、厚労省の集計(72.5万円)とは定義が異なります。訪問看護STが支払う手数料の公的な実態調査は、見つかりませんでした。
- 2025年4月施行:有料職業紹介事業者は、職種ごとの平均手数料率の実績を「人材サービス総合サイト」で公表する義務があります。求職者へのお祝い金等の原則禁止、違約金の事前明示も始まりました。
- 2026年3月:日本医師会と四病院団体が厚生労働大臣に、紹介手数料の上限規制の導入、早期離職時の返戻金の義務化などを要望しました。全日本民主医療機関連合会(2025年11月)は、診療報酬・介護報酬が収益の事業での営利目的の紹介の禁止を求めています。
- 2026年7月:奈良県議会が、手数料の透明化・情報開示の強化と悪質事業者の取締強化などを求める意見書(第5号)を国等に提出しました。上限規制そのものの制度化は、2026年10月時点で確認できていません。
- 2026年6月(診療報酬改定):特定の訪問看護STを利用するよう指示する見返りに金品を受け取ることを、医療機関に禁じる規定が加わりました(第5章)。
これからの供給 ── 養成の入学者が減っている
看護師3年課程(養成所)の定員充足率 単位:%。2025年度(令和7年度)。入学者÷1学年定員。
全国の充足率は79.5%で、2020年度の95.9%から16ポイント下がりました。関西では滋賀(68.8%)が最も低く、京都・兵庫(86.5%)が高い水準です。養成所の入学者は全国で2020年度の27,064人から2025年度の20,868人へ22.9%減りました。大学(4年制)の関西は、大阪(104%)をはじめ概ね定員を充足しています。
| 項目 | 数値 |
| 3年以上の課程の入学者の変化(2020→2025年度) | 全国−10.5%。滋賀−13.8%、和歌山−12.8%、京都−12.7%、兵庫−8.0%、奈良−7.6%、大阪−4.8% |
| 看護師学校の受験者数(養成所3年+大学) | 2019年203,524人→2024年142,069人(−30.2%)。養成所のみ−47.2% |
| 課程の廃止(全国) | 2024年に34課程。2025〜2030年に94課程が廃止予定 |
| 15〜19歳人口(2020年比) | 2030年−8.8%、2035年−18.7%、2040年−29.0%(全国) |
| 潜在看護職員(65歳未満) | 約69.5万人(2018年末の推計。府県別は非公表) |
| 新卒を採用したことがあるST | 大阪9.3%(2024年度)、全国3.4%(2017年度調査、過去5年以内) |
看護師等学校養成所の卒業生の就業先の区分に「訪問看護ステーション」はなく、新卒の訪問看護STへの就職者数は公的統計で取得できません。若年人口の減少で、病院・訪問看護とも新卒の確保が難しくなり、既卒・中途の採用が中心になる見込みです。
CHAPTER 10
利用者・紹介の獲得 ── 入口はケアマネと主治医。営業先は「数えられる」
訪問看護の利用は、主治医の指示書とケアプランから始まります。つまり、利用者の獲得は、ケアマネジャーと医療機関(退院調整・在宅療養支援診療所)への働きかけが中心です。営業先の数、ウェブでの見つけられやすさ、広告・紹介のルールを整理します。
| 保険 | 利用開始に必要な手続 | 紹介が生まれる主な窓口 |
| 医療保険(難病・末期がん・精神・小児・急性増悪など) | 主治医の訪問看護指示書(患者が選んだSTに医師が交付) | 主治医(病院・診療所)、病院の退院調整部門、精神科の外来・退院支援 |
| 介護保険(要支援・要介護) | 居宅サービス計画(ケアプラン)への位置づけ+主治医の指示 | 居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)、地域包括支援センター(要支援) |
| 共通(退院時) | 退院時共同指導、病院の入退院支援 | 病院の入退院支援部門・医療ソーシャルワーカー(MSW) |
新規の利用者の量:医療保険の新規利用者は、2024年9〜11月の3か月間に、全国のSTの平均で15.9人(中央値7.0人)です。機能強化型は平均21.5人(中央値9.5人)、機能強化型以外で同一建物の利用者が70%未満のSTは平均7.7人(中央値4.0人)でした。紹介元(退院調整・ケアマネ・主治医・家族)の比率、利用者・家族・ケアマネが事業所を選ぶ理由は、全国・府県とも公的な統計がありません。営業の設計には、自社の紹介実績の集計や、ケアマネ・医療機関へのアンケートが必要です。
営業先の数 ── 関西で約7,000のケアマネ事業所と、約4,000の在宅療養支援診療所
| 府県 | 居宅介護支援 事業所 (2026年6月末) | 2024年12月末 比 | 在宅療養 支援診療所 | 在宅療養 支援病院 | 入退院支援 加算の届出 |
| 滋賀 | 398 | −4.3% | 199 | 19 | 39 |
| 京都 | 727 | −0.7% | 407 | 48 | 90 |
| 大阪 | 3,267 | +0.3% | 2,012 | 155 | 297 |
| 兵庫 | 1,570 | +4.0% | 1,067 | 120 | 236 |
| 奈良 | 585 | +5.2% | 208 | 22 | 52 |
| 和歌山 | 473 | +6.1% | 185 | 23 | 58 |
| 関西計 | 7,020 | ― | 4,078 | 387 | 772 |
| 全国 | 36,212 | −0.8% | ― | ― | ― |
居宅介護支援事業所は『介護サービス情報公表システム』のオープンデータ(登録事業所のみ)。在宅療養支援診療所等は近畿厚生局の届出受理名簿(2026年10月1日)の受理記号を数えた当社集計で、在支診は1%前後の誤差があり得ます。営業先の個別リスト(医療機関名・所在地・電話番号)は、近畿厚生局の公開名簿から作れます。地域包括支援センターとケアマネジャー個人の人数の府県別は、取得していません。
ST1か所あたりの居宅介護支援事業所の数 単位:か所。居宅介護支援事業所(2026年6月末)÷ST(2026年4月、協会調査)。当社計算。
全国は1.81か所です。大阪は1.33か所と最も少なく、1つのケアマネ事業所を巡る訪問看護の競争が強い地域です。奈良(2.30)・和歌山(1.96)は、ST1か所あたりの営業先が多くなります。居宅介護支援事業所は、全国で1年半に0.8%減り、滋賀は4.3%減、奈良は5.2%増、和歌山は6.1%増でした。
ウェブでの見つけられやすさ
『介護サービス情報公表システム』に登録された訪問看護のうち、ウェブサイトのURLを登録している割合 単位:%。2026年6月末。
全国は74%です。和歌山は54%と低く、半数近くが公表システム上のウェブの入口を持っていません。大阪は67%です。大阪では、近畿厚生局の指定数(2,652か所)に対して、公表システムの登録は1,879か所(71%)で、残りは介護保険の指定がない(医療保険のみ)STや、登録していないSTです。
確認できた検索の経路
- 公的:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)。事業所の基本情報、URL、連絡先、利用可能曜日を公表しています。
- 協会:全国訪問看護事業協会の正会員リスト。
- 民間:訪問看護ナビ(退院調整担当者・家族・看護師向けと説明)、訪問看護テックナビ、訪問看護プレス、みんなの介護、看護師向け求人系の検索サイト。掲載数・掲載料・成約件数は公表されていません。
- Googleビジネスプロフィール:訪問看護の掲載数・口コミ件数の府県別集計は、非公表です。
- 義務:2025年6月から、運営規程の概要、勤務体制など利用者の選択に資する重要事項を、事業所内の掲示に加え、原則としてウェブサイトに掲載する義務があります。
広告・紹介のルール ── やってはいけないこと
| 論点 | 内容 |
| 広告の内容 | 訪問看護STの広告は、虚偽または誇大であってはならない(運営基準、介護保険側も同様)。医療法の広告規制は、条文上は病院・診療所等が対象で、STは列挙されていません(STを併設する病院・診療所の広告には適用) |
| 利用者への利益提供 | 値引き等の経済上の利益の提供による利用者の誘引は禁止(2026年6月の運営基準の新設) |
| 紹介の対価 | 他の事業者・その従業員に、利用者を紹介する対価として金品等を提供することは禁止。特定の医師を主治医とすべき旨、特定の事業者を利用すべき旨の指示の対償として金品等を受け取ることも禁止 |
| ケアマネ・医療機関側 | 居宅介護支援事業者・ケアマネジャーが、特定の居宅サービス事業者を位置づける見返りに金品を受け取ることは禁止。保険医療機関が、特定の訪問看護事業者を利用すべき旨の指示の見返りに金品を受け取ることも禁止(療養担当規則 第2条の5の2) |
| ステルスマーケティング | 事業者の表示であることが分かりにくい表示(口コミ・体験談を装った広告)は、景品表示法の告示により不当表示として禁止(2023年10月施行) |
| 景品表示法 | 「地域No.1」「最短で訪問」「24時間いつでも」など、根拠のない優良誤認・有利誤認の表示が典型的なリスク |
条文はe-Govの原文で確認しました。「医療広告ガイドラインがSTに適用されるか」は、条文の文言からの読み取りで、厚生労働省の個別のQ&Aでは確認していません。広告・紹介の実務は、所轄の指定権者・弁護士等に確認してください。
地域特性 ── 「ない」地域と、集まりすぎた地域
| 府県 | STがない市町村 | 数 |
| 奈良 | 山添村、曽爾村、御杖村、明日香村、吉野町、黒滝村、野迫川村、十津川村、下北山村、上北山村、川上村、東吉野村 | 12 |
| 和歌山 | 九度山町、高野町、広川町、由良町、日高川町、すさみ町、北山村 | 7 |
| 京都 | 井手町、笠置町、和束町、南山城村、京丹波町 | 5 |
| 大阪 | 能勢町、太子町、千早赤阪村 | 3 |
| 滋賀 | 多賀町 | 1 |
| 兵庫 | 市川町 | 1 |
近畿厚生局『指定一覧』(2026年9月1日現在)の所在地による。STが所在しなくても、近隣の市町村のSTが訪問している場合があります。
- 少ない地域:75歳以上1万人あたりのST数が全国(9.5)の半分以下の自治体は、兵庫の朝来市(1.6)・赤穂市(2.1)・淡路市(3.2)・丹波篠山市(3.6)、京都の宮津市(2.3)、奈良の宇陀市(4.2)・五條市(4.7)などです。京丹後市・舞鶴市・甲賀市・城陽市は約6です(第3章)。
- 多い地域:大阪市の中央区・浪速区・天王寺区・北区(75歳以上1万人あたり38〜60か所、社人研の2025年推計の人口で計算)と、泉州(和泉市・泉佐野市・貝塚市・岸和田市)。大阪市の中心部は、近隣の市の利用者もカバーしている可能性があります。
- 在宅医療の資源:65歳以上10万人あたりの在宅療養支援診療所・病院は、大阪市120、尼崎市95、和歌山市95、西宮市90、豊中市84、神戸市81に対し、京都市63、大津市68、奈良市53、姫路市51、枚方市47です(2024年3月末)。
- 自治体の施策:京都府の「訪問看護総合支援センター」、和歌山県の同センター、大阪府の訪問看護ステーション管理者向けの経営研修など、各府県が人材の確保・育成を支援しています。
CHAPTER 11
Shidoからのご提案
勝負は「採用」と「紹介元との関係」
関西で訪問看護事業所を運営する・広告する事業者に向けて、公的統計から言えることを、採用、集客、制度対応、経営の順にまとめます。
- 採用が最大の制約です。ナースセンターの訪問看護STの求人倍率は4.54倍(病院は1.93〜3.00倍)、看護職員が不足している事業所は62.1%、廃止の理由の1位は従業員の確保困難(22.7%)です。需要(75歳以上・85歳以上)は2035年まで伸びる一方、供給(看護師の養成所の入学者)は6年で2割減っています。利用者の獲得より先に、採用の仕組みを整えることが、売上の上限を決めます。Shidoができること:応募者が見て辞退しないための採用サイト・事業所紹介ページの制作(Webサイト・コンテンツ制作)、採用経路別の応募・採用・費用を見る分析(リサーチ&インサイト)。
- 採用チャネルは、費用と効果で使い分けます。効果があったと答えた割合は、職員の紹介(46.0%)、有料職業紹介(45.2%)、求人サイト(41.1%)、ハローワーク(40.1%)の順で、自社ホームページ(21.3%)とSNS(16.8%)は低めです。ただし有料職業紹介は、看護師1人あたり平均72.5万円(兵庫75.3万円)かかります。年に5人を紹介会社で採用すれば約360万円です。職員の紹介制度、ナースセンター(無料)、ハローワークを先に使い、紹介会社は不足する職種と時期に絞るのが現実的です。自社サイトとSNSは、応募を取るためというより、応募者が見て辞退しないための確認の場として整えます。Shidoができること:職員紹介の案内ツールや求人票のデザイン(デザイン)、求人サイトに加えて自社サイトとSNSでの確認の場づくり(Webサイト・コンテンツ制作/SNSマーケティング)。
- 狙う人材を絞ります。ST勤務の看護師の68.5%が40歳以上、25歳未満は0.8%です。病院の離職率が高い大阪(14.1%)・奈良(14.1%)・兵庫(12.7%)は、転職の流出元になります。オンコール・夜間対応の負担軽減(24時間対応体制加算の負担軽減策)、教育体制、勤務の柔軟性を求人票で具体的に示すことが、訴求の中心です。夜間・休日対応が新規採用のネックと答えた事業所は36.0%です。新卒の受入れ経験は大阪で9.3%にとどまり、教育体制のある事業所は差がつけやすい状況です。Shidoができること:負担軽減・教育体制・勤務の柔軟性を具体的に伝える求人票と採用ページの制作(Webサイト・コンテンツ制作)、職場の雰囲気を伝えるスタッフ紹介の撮影・映像制作(撮影・映像制作)。
- 処遇の訴求は、2026年6月から変わります。医療保険は訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)が1,050円(継続的に賃上げするSTは1,830円)に上がり、介護保険の訪問看護にも処遇改善加算(1.8%)が新設されました。ST勤務の基本給は病院より約2.3万円低い(25.98万円と28.29万円)ため、評価料・加算を原資にした賃上げを、求人票に数字で書ける事業所は有利です。和歌山は提示給与(下限23.6万円)が全国より低く、賃金面の競争力が課題です。Shidoができること:賃上げの内容を数字で示す求人票・採用資料のデザイン(デザイン)、待遇を求職者に伝える採用ページの制作(Webサイト・コンテンツ制作)。
- 紹介元は「数えられる」市場です。入口はケアマネ(介護保険)と主治医・退院調整(医療保険)で、営業先は近畿厚生局の公開名簿から作れます。関西には居宅介護支援事業所が約7,000、在宅療養支援診療所が約4,000あります。ST1か所あたりのケアマネ事業所は、大阪が1.33か所と最も少なく、競争が強い地域です。大阪市の中央区・浪速区・天王寺区・北区はSTの集積が特に高く、此花区・大正区・西淀川区・港区は空白に近い状況です。Shidoができること:ケアマネ・医療機関向けの事業所案内資料のデザイン(デザイン)、近畿厚生局の名簿などをもとにした紹介元の商圏分析・営業先リスト作成(リサーチ&インサイト)。
- 機能の差別化が必要です。大阪は精神科訪問看護の届出が83.0%と飽和に近く、同一建物の訪問の単価が下がる改定(2026年6月)と、指導監査の強化が重なります。一方、小児の受入体制は大阪で35.7%と全国(43.5%)より低く、医療的ケア児の推計は大阪1,380人、兵庫809人です。ターミナルケアの体制は、大阪(75.5%)・奈良(74.8%)が全国(80.7%)より低い水準です。Shidoができること:小児・看取り・精神科など強みを打ち出す事業所のブランド設計とサイト制作(ブランディング戦略/Webサイト・コンテンツ制作)、地域の需要を見る分析(リサーチ&インサイト)。
- 記録と適正化を、営業の前提にします。訪問時間の記録、標準時間(30分以上)、利益供与・紹介料の禁止が人員運営基準に明文化されました。紹介元への謝礼、利用者への値引き、口コミを装った広告は、すべてリスクになります。広告は景品表示法とステマ規制の対象で、重要事項のウェブ掲載も義務です。Shidoができること:重要事項のウェブ掲載や広告表現の見直しに合わせた、事業所サイト・案内資材の整備(Webサイト・コンテンツ制作/デザイン)。
- 市場は拡大しながら入れ替わっています。関西では1年に652か所が開設され、252か所が廃止されました。収支差率は10.3%でも、赤字は38.2%です。小規模(看護職員5人未満が約56%)の事業所にとって、採用難は存続の問題で、事業承継やM&Aの動きも出ています(M&A仲介サイトの「訪問看護・訪問系」の売却案件の掲載は、大阪71件・兵庫46件・京都29件)。Shidoができること:事業所の強みを伝え直すブランド設計(ブランディング戦略)、採用と利用者獲得をまとめて見直す集客・採用の現状分析(リサーチ&インサイト)。
府県別の見立て
| 府県 | 需要・供給の特徴 | 採用の特徴 | 打ち手の方向 |
| 大阪 | ST2,456か所(全国の12%)、密度は全国の1.8倍。医療保険・重度・精神科が多い。85歳以上は2035年に1.84倍 | 求人広告の掲載が最多(看護roo!で2,156件)。採用率26.1%・離職率17.3%と最も動く。病院の離職も14.1% | 採用の差別化(負担軽減・教育)、小児・看取りなど機能の差別化、ケアマネの囲い込み競争への対応 |
| 兵庫 | ST1,048か所。要支援の割合が25.2%で、介護予防が多い。北部・淡路に空白 | ナースセンターの求人倍率4.62倍、訪問看護は求人÷求職が11.4倍。紹介手数料は75.3万円で、公表のある府県では関西最高 | 求人倍率の高さを前提にした紹介会社以外のチャネル、空白地域の拠点・サテライト |
| 京都 | ST514か所。精神科の受療率が高い(329)。北部・南山城に空白 | 不足感58.1%、看護職の有効求人倍率2.13倍 | 小児・精神科の受入れ、北部の人材確保 |
| 滋賀 | STは5年で+124%。75歳以上は2050年まで増える。在宅療養支援診療所は75歳以上10万人あたり90で、大阪(139)より少ない | 不足感50.1%。養成所の充足率68.8%は関西最低 | 拡大期の人材確保と教育体制、ターミナル(89.3%)・機能強化型(12.1%)の強みの訴求 |
| 奈良 | 75歳以上1万人あたりの受給者は365人で関西最低、ST密度も9.9で低い。ケアマネ事業所は多い(STあたり2.30) | 有効求人倍率2.54倍で関西最高。ナースセンター求人倍率3.39倍 | 介護保険側の利用の掘り起こし、ケアマネとの関係づくり |
| 和歌山 | 高齢化率34.2%、高齢の独居16.4%。ST密度は大阪に次ぐが、山間部に0か所の町村が7 | ナースセンターの求人倍率9.11倍(求職者122人)。提示給与は関西最低。ウェブのURL登録率54% | 賃金・待遇の改善、ウェブの入口の整備、山間部の訪問体制 |
本資料の使い方:大阪=競争が最も激しく、採用と機能の差別化が必要。兵庫=求人倍率が高く、紹介会社への依存を下げる。京都=北部の空白と精神科・小児。滋賀=需要の拡大が続き、人材・教育の先行投資が効く。奈良=介護保険側の需要の伸びしろ。和歌山=高齢化が進み、賃金と情報発信の改善が課題です。
ご提案:貴事業所のデータをお預かりできれば、貴事業所専用の採用・集客戦略にできます
本資料は公的統計と業界調査に基づく関西全体の汎用版です。以下の情報をお預かりできれば、貴事業所の地域と強みに合わせて、狙う紹介元・採用チャネル・訴求・媒体配分をご提案します。
紹介元別の新規利用者(過去2年)
紹介元(ケアマネ事業所・病院・診療所・家族など)、依頼月、利用開始の有無、保険の種別。どの紹介元が依頼を生み、どこで取りこぼしているかを可視化します。
利用者の台帳(匿名化)
年齢帯・疾患・要介護度・訪問回数・住所の町丁目。どの地域と利用者像で収益が出ているかを分析し、空白地域・得意領域を見つけます。
採用の応募経路と費用
求人媒体・ハローワーク・ナースセンター・紹介会社・職員紹介別の応募数・採用数・費用、辞退理由。1人あたりの採用コストと定着率を経路別に出し、配分を見直します。
職員の構成と離職
職種・年齢帯・勤続・常勤/非常勤・オンコール負担の状況、退職時期と理由。離職の山がどこにあるかを捉え、求人票と育成の設計に反映します。
求人票・自社サイト・Googleビジネスプロフィール
掲載中の求人票、サイトのアクセス・問い合わせ、口コミ。応募者とケアマネが最初に見る情報を、2026年の改定(記録・誘引禁止・重要事項のウェブ掲載)に合わせて整えます。
収支とサービスの構成
保険別の売上、同一建物の割合、24時間対応・ターミナル・精神科・小児の実績。2026年6月の改定の影響を試算し、機能の打ち出し方を決めます。
SOURCES
出典
- 全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション数調査結果」令和8年度(2026年4月1日現在)〜平成27年度、同「サテライト数調査結果」令和4〜8年度、同「訪問看護の持続可能なサービス提供の在り方と役割に関する調査研究事業報告書」(令和7年3月、老人保健健康増進等事業)。
- 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」令和6(2024)年・2019〜2023年(詳細票 第3〜9・19〜29表、e-Stat)、同「令和7(2025)年度 介護給付費等実態統計の概況」(2026年9月30日)、同「介護保険事業状況報告(月報)」2023〜2026年6月末、同「令和5年度 国民医療費の概況」(第7表)・令和2〜4年度。
- 厚生労働省「令和7年度 介護事業経営概況調査結果」(2025年11月)、同「令和7年度 介護事業経営概況調査結果の概要」。社会保障審議会 介護給付費分科会 第253回(2026年1月16日)・第259回(6月29日)資料3「訪問看護」・第267回(9月16日)・第268回(9月30日)、「令和8年度介護報酬改定の概要」(臨時改定、2026年6月施行)。
- 厚生労働省 保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【訪問看護ステーション向け】(2026年9月4日版)」「同【賃上げ・物価対応】」「同【質の高い訪問看護の推進】」、告示(令和8年厚労省告示第74・75・120号)、通知(保発0305第19・20号、保医発0305第9号、0327第10号)、中央社会保険医療協議会 総会資料(2025年3月・8月・10月・11月、2026年1月・2月)、事務連絡「指定訪問看護の提供に関する取扱方針について」(2024年10月22日)、保発0403第1号(2025年4月3日)。
- 近畿厚生局「訪問看護ステーションの指定一覧及び基準の届出受理状況」(令和8年9月1日現在)、「保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況(届出受理医療機関名簿 医科)」(令和8年10月1日現在)。厚生労働省「介護サービス情報公表システム オープンデータ」(訪問看護・居宅介護支援、2020年12月末〜2026年6月末)。
- 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日)、同「令和2年国勢調査」、同「人口推計」(2024年10月1日)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」、厚生労働省「人口動態統計(確定数)」2024年・2025年(死亡の場所)、同「患者調査」令和5年、厚生労働省「在宅医療にかかる地域別データ集」(令和6年度更新版)、同「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」(2024年12月18日)。
- 厚生労働省「看護を取り巻く現状について」2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会 第1回〜第4回(2026年4〜7月)、看護職員需給分科会「中間とりまとめ」(2019年11月)、「衛生行政報告例(就業医療関係者)」令和6年(2024年末)、「一般職業紹介状況」令和8年7月分、各労働局の月報(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)、「職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」令和6年度(2026年3月31日)、「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」令和2・6・7年度、「賃金構造基本統計調査」令和7年。
- 日本看護協会「2024(令和6)年度 ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析報告書」、同「2025年 看護職員実態調査報告書」(調査研究報告No.103)、同「2025年 病院看護実態調査報告書」(No.102)、同「2024年度診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」(令和5年3月)。介護労働安定センター「令和6年度・令和7年度 介護労働実態調査」。大阪府「大阪府訪問看護ステーション実態調査 報告(2024年度)」。
- 東京商工リサーチ「2025年『介護事業者』倒産」(2026年1月9日)「同『訪問介護』倒産」(1月8日)「同 休廃業・解散」(1月23日)、帝国データバンク「『老人福祉事業者』の倒産動向(2025年)」(2026年2月17日)。シーユーシー、ツクイ、セントケア・ホールディング、アンビスHDほか各社の公表資料、日本M&Aセンター等のM&A情報、バトンズ(2026年10月6日)。
- 滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県の保健医療計画・在宅医療推進の基本方針(第8次医療計画)。看護roo!(株式会社クイック)「〇〇県の訪問看護求人情報」(2026年10月6日)、在宅医療支援機構株式会社の調査(2024年)、株式会社ライフシフト「訪問看護ステーションの運営構造」(2026年7月)。
- e-Gov法令検索「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」「保険医療機関及び保険医療養担当規則」「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」、景品表示法およびステルスマーケティング告示(2023年10月施行)、職業安定法施行規則の改正(2025年4月施行)。
注意事項:訪問看護ステーションの数は、出典によって定義と時点が異なります(全国訪問看護事業協会の稼働数20,051、厚生労働省『介護サービス施設・事業所調査』の18,042、近畿厚生局の指定名簿など)。本資料は、時系列と府県比較に協会調査(2021〜2026年4月1日)を使いました。介護保険の費用額と受給者数は被保険者の住所地、医療保険の費用は患者の住所地で集計されたもので、事業所の所在地ではありません。介護保険の訪問看護には病院・診療所からの訪問看護を含み、ステーション単体の費用は公表されていません。国民医療費は2023年度が最新で、介護保険(2025年度)と年度が異なるため合算していません。
看護職員の数は『介護サービス施設・事業所調査』(事業所票)と『衛生行政報告例』(個人の就業場所の届出)で水準が異なり、混ぜて比較していません。採用率・離職率・不足感の府県別は、全介護サービス事業所の合算で、訪問看護だけの府県別は公表されていません(奈良・和歌山・滋賀は回答が50〜66事業所と少なく、振れが大きい値です)。訪問看護STに限った賃金の公的統計はなく、賃金構造基本統計調査の看護師は全職場の合計、日本看護協会の訪問看護STの賃金は会員の個人調査(回答79人)で、参考値です。看護roo!の掲載件数は要約の取得で、掲載時点の瞬間値、重複掲載を含みます。紹介手数料は、厚生労働省の集計(72.5万円)と、報道・業界団体の紹介値(159.8万円)で定義が異なります。
経営の数値は、介護事業経営概況調査の標本(回答254事業所)で、府県別は公表されていません。訪問看護だけの倒産件数は、東京商工リサーチ・帝国データバンクとも公表していません。精神科訪問看護の不正請求に関する全国一斉調査(2026年1月〜)の結果は未公表で、報道は二次情報です。新規の利用者の紹介元の比率、利用者・ケアマネが事業所を選ぶ理由、Googleビジネスプロフィールの掲載数は、公表された統計がありません。在宅療養支援診療所の件数は、近畿厚生局の名簿の受理記号を数えた当社集計で、1%前後の誤差があり得ます。大阪府の医療計画は素案(2024年3月)の数値です。人口あたりの密度、指数、割合は、特記のない限り当社計算です。