株式会社Shido 調査レポート

鉄鋼部品業界向けマーケティング資料〈関西2府4県〉

作成 2026年9月対象 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山(近畿2府4県)対象業種 鉄鋼業(鋳鍛造・線材二次加工ほか)/金属製品製造業(ねじ・ばね・プレス・製缶板金・熱処理・めっきほか)主な根拠 経済産業省 経済構造実態調査(2024年実績)/日本鉄鋼連盟/近畿経済産業局/中小企業庁/帝国データバンク

関西2府4県は、鉄鋼業と金属製品製造業を合わせた出荷額が約8.9兆円で、全国の22%を占める国内最大級の鉄鋼部品の集積地です。大阪府は金属製品の事業所数が全国1位で、ボルト・ナットの工場の4軒に1軒が大阪にあります。一方で近畿の金属製品の生産指数は2019年から約25%低下しており、需要の中心は自動車・建設から工作機械・産業機械・半導体製造装置へ移っています。2026年1月には下請法が「取適法」に改正され、価格交渉の土台も変わりました。本資料は、関西の部品メーカー・加工会社が「新しい発注先から見つけてもらい、選ばれる」ための材料を、公的統計と業界データからまとめたものです。

8.9兆円
関西の鉄鋼業+金属製品製造業の出荷額(2024年)。全国の22.0%
7,283事業所
関西の鉄鋼業・金属製品製造業の事業所数。全国の21.2%、従業者16.6万人
全国1位
大阪府の金属製品製造業の事業所数(3,682)。市区町村では東大阪市(615)が全国1位
25.4%
全国のボルト・ナット・小ねじ等の事業所のうち大阪府にある割合(397事業所)
+40.9%
工作機械受注 2026年1〜8月の前年同期比(1兆4,461億円)。設備投資向け部品の需要が急回復
1.78
大阪の「製品製造・加工処理工(金属製品)」の有効求人倍率(2026年7月)。職業計は1.00倍
CHAPTER 1

関西の業界規模 ── 全国の2割を生む鉄鋼部品の集積地

経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」(2024年実績、従業者1人以上の法人事業所)で、関西の位置を確認します。

府県別 出荷額(鉄鋼業+金属製品製造業) 2024年、単位:億円。
鉄鋼業金属製品製造業
兵庫は神戸製鋼所・日本製鉄広畑・山陽特殊製鋼などの素材系で鉄鋼業が大きく、大阪は金属製品(部品・加工)が厚い構造です。和歌山は日本製鉄の和歌山地区(鋼管)が中心です。
府県別 事業所数(金属製品製造業) 2025年6月1日現在。
大阪府の3,682事業所は全国29,549の12.5%で全国1位。従業者6.1万人・付加価値額7,558億円も全国1位です。出荷額は愛知県に次ぐ2位でした。
地域鉄鋼業 事業所鉄鋼業 出荷額(億円)金属製品 事業所金属製品 従業者金属製品 出荷額(億円)
大阪府652(1位)17,199(4位)3,682(1位)60,808(1位)17,983(2位)
兵庫県294(3位)26,685(2位)1,306(6位)28,975(4位)9,590(4位)
京都府558604699,4022,455
滋賀県411,15034510,8194,159
奈良県364752084,3851,683
和歌山県436,0781523,3771,037
関西計1,121(23.2%)52,448(23.0%)6,162(20.9%)117,766(19.9%)36,908(20.8%)
全国4,835228,28529,549592,653177,101
統計の定義:経済構造実態調査の製造業事業所調査は従業者1人以上(個人経営を除く)が対象で、旧工業統計(従業者4人以上)とは接続しません。事業所数・従業者数は2025年6月1日現在、出荷額は2024年1〜12月。( )内の順位は47都道府県中、%は全国に占める関西の割合です。
CHAPTER 2

集積地と得意分野 ── 東大阪・八尾・大阪市・堺・播磨

市区町村別・細分類別に見ると、関西の中でも「どこで、何が強いか」ははっきり分かれます。

市別 金属製品製造業の事業所数 2025年6月1日現在。大阪市・堺市・神戸市は区の合計。
東大阪市615事業所は市区町村で全国1位、八尾市336は5位。大阪市内では平野区188・生野区161・西淀川区128が多く、大阪府東部から大阪市東部にかけて一続きの加工集積をつくっています。
大阪府が全国に占める事業所数の割合(細分類) 2025年6月1日現在。( )は出荷額の全国順位。
ねじ・線材加工・作業工具・金物・めっき・熱処理といった「部品と、部品を仕上げる工程」の全国シェアが高いのが大阪の特徴です。鍛工品は兵庫(出荷額4位)、手引のこぎり・のこ刃は兵庫(三木、全国出荷額の41.0%)が強みです。

集積地ごとの顔ぶれ

集積地金属製品 事業所従業者出荷額(億円)特徴
東大阪市6158,4282,192可住地1km²あたりの事業所密度が全国1位。切削・組立・製缶・プレスの中小工場が密集し、鉄鋼業も89事業所で市区町村1位。2013年4月施行の住工共生のまちづくり条例で工場の操業環境を守る
八尾市3365,5271,269製造業1,238事業所の27.1%が金属製品で、市区町村で全国5位。出荷額の1位は電子部品。東大阪と一体の加工ネットワーク
大阪市(24区計)1,19117,2024,500平野・生野は小規模加工、西淀川・大正は鉄鋼二次加工と鋼材流通。鉄鋼業の出荷額は大正区だけで2,549億円
堺市(7区計)3227,6633,234臨海部の鉄鋼(市の出荷額の10.1%)と、伝統の堺打刃物・自転車部品(大阪府の自転車・同部分品は全国出荷額の64.0%)。日本製鉄の堺地区(H形鋼・鋼矢板)
姫路市1803,7531,054鉄鋼業の出荷額8,528億円。日本製鉄広畑・山陽特殊製鋼・大和工業・合同製鐵の素材拠点。広畑は電炉増設へ
尼崎市1663,5131,081阪神工業地帯の中核。継目無鋼管(日本製鉄)、ばね用線材(神鋼鋼線工業)など
三木市1021,749323播州三木打刃物・金物。のこぎり・作業工具で全国シェアが高い

東大阪の工場はどんな仕事をしているか

東大阪市内製造業の保有技術(複数回答) 東大阪市「製造業に関する実態・ニーズ調査」2024年6〜8月、n=538。
64.3%
「発注者の図面どおりに加工する」事業形態。自社ブランドで企業に売るのは30.9%
東大阪市 2025年3月
58.6%
東大阪で操業する利点に「加工を依頼できる工場が多い」を挙げた割合
同上
71.9%
新しい企業とのつながりを「求める」割合。新規取引先の開拓意欲は高い
同上
マーケティング上の含意:集積地の工場の3分の2は「図面どおりに加工する」受託型で、発注者から見ると違いが分かりにくいのが最大の弱点です。一方で7割が新しい取引先を求めています。「どの材質を、どのサイズ・公差・ロットで、どれくらいの納期で加工できるか」を外から見える形にするだけで、同じ集積の中で抜け出せます。
CHAPTER 3

需要の移り変わり ── 自動車・建設から、設備投資と半導体へ

関西の金属部品の生産量は長期で減っている一方、機械・装置向けの需要は過去最高水準にあります。

近畿の鉱工業生産指数(業種別・年次原指数) 2020年=100。近畿経済産業局(管内=福井県を含む2府5県)。
2019年から2025年にかけて、金属製品は118.0→89.1(−24.5%)、鉄鋼・非鉄金属は121.9→95.6(−21.6%)、鋳鍛造品は121.1→90.1(−25.6%)。対して生産用機械は115.0→122.4(+6.4%)と伸びています。部品を「使う側」の機械産業は伸びているのに、関西の部品生産は縮んでいる、というずれがあります。2026年7月の金属製品は前年同月比−7.5%とまだ弱含みです。
工作機械受注額(日本工作機械工業会) 単位:億円。
2025年は1兆6,043億円(+8.0%)。2026年は1〜8月だけで1兆4,461億円(前年同期比+40.9%)と急回復し、年間見通しは2兆円に上方修正されたと報じられています。
日本製半導体製造装置の販売高(SEAJ) 年度、単位:億円。2026・2027年度は予測。
2019年度から2025年度で2.5倍。2026年度は6兆5,502億円(+26%)の予測です。装置のフレーム・架台・精密切削部品・配管継手は、関西の製缶板金・切削・継手メーカーの得意領域と重なります。
普通鋼鋼材の用途別受注(内需) 2026年4〜7月累計、構成比と前年同期比。日本鉄鋼連盟。
鋼材の行き先は建設と自動車が大半です。販売業者向け(32.6%)も約7割が建設向けとされます。地域別の受注では関西が全国の20.1%(+4.6%)を占めます。
銑鉄鋳物・近畿の鍛工品の生産量 2019年=100で指数化。日本鋳造協会、近畿鍛工品事業協同組合(42社)。
銑鉄鋳物は全国332.3万t(2019年)→290.9万t(2025年、−12.5%)、うち自動車用が196.0万tで67%。近畿の鍛工品は27.4万t→24.0万t(−12.5%)。素形材は自動車依存が高く、EV化で部品点数が減る中、次の用途開拓が課題です。

需要の指標を並べると

7兆4,951億円
2025年度 産業機械受注。前年度比+30.3%で過去最高。2026年度見通しは7兆8,022億円
日本産業機械工業会
3兆5,217億円
2025年度 建設機械出荷(+3.7%)。外需が2兆4,518億円と7割
日本建設機械工業会
8,067万t
2025年 粗鋼生産(−4.0%)。2026年1〜7月は4,733万t(−0.3%)で下げ止まり
日本鉄鋼連盟
−7.5%
2026年7月 近畿の金属製品の生産(前年同月比)。鉄鋼・非鉄は+1.7%
近畿経済産業局

関西固有の需要トピック

1兆5,130億円
夢洲IR(大阪IR)。初期投資総額(建設関連1兆1,951億円)、2030年秋頃の開業をめざす。建設は2025年4月に着手し、建設による経済波及効果は2兆1,960億円と試算。鉄骨・設備・内装金物の需要(大阪府・大阪市・MGM大阪 区域整備計画 2026年7月版)
1,400億円
日本製鉄 広畑地区の電炉増設(姫路)。約50万t/年、2029年度下期の生産開始。高炉から電炉への転換で、スクラップ由来の鋼材と「GXスチール」の調達が関西でも現実になる(2025年5月30日発表)
3.4〜3.9兆円
北陸新幹線 敦賀〜新大阪間。概算事業費(2023年4月価格、ルート案別)。工期は概ね25年程度とされ、着工時期は未定。長期の土木・鋼構造需要(国土交通省 2024年10月)
6,425億円
なにわ筋線。総事業費は3,291億円から6,425億円に増額(2026年8月)、2031年春開業の目標は維持。ほかに淀川左岸線2期(2,457億円、2032年度完成予定)、大阪モノレール延伸(2033年度開業予定)
約1,000億円
堺・南港のデータセンター。ソフトバンクがシャープ堺工場を約1,000億円で取得(受電約150MW)、KDDI大阪堺DCは2026年1月稼働、住之江区南港でも2025年12月に着工。けいはんな(精華町)でも関西電力系が70MWを計画
約1,000億円規模
神戸製鋼 加古川のスクラップ溶解炉(検討中)。70万t/年、2030年代前半の稼働が目安、投資判断は2027年度からの次期中計期間中(2026年5月発表)

関西の大手需要家の設備投資(公表分)

企業投資の内容部品・加工業から見た意味
村田製作所(京都)中期方針2027の3年間で設備投資6,800億円(うち土地建物1,900億円)電子部品の製造装置・治具・精密部品
クボタ(大阪)中計2030で設備投資は年1,800億円規模(成長投資3割)建機・農機の鋳鍛造品、既存工場の維持更新
ダイフク(大阪・滋賀)2026〜29年に約520億円。滋賀事業所に約300億円で新棟2棟搬送設備のフレーム・製缶・板金・機械加工
ヤンマー(尼崎)フェニックス尼崎に舶用水素エンジン工場、2029年3月稼働予定大型エンジン部品・配管・架台
川崎重工(播磨)播磨工場に液化水素の試験設備、2027年度中に運用開始低温・高圧対応の継手・配管・溶接構造物
近畿経済産業局の判断(2026年9月17日):管内経済は「一部に弱い動きがみられるものの、緩やかに持ち直している」、生産は「緩やかな持ち直しの動き」、設備投資は「増加している」。部品メーカーにとっては、設備投資をしている需要家に向けた営業が最も手応えを得やすい局面です。
CHAPTER 4

コストと取引環境 ── 素材は4割高、価格転嫁は半分

鋼材価格の上昇と、価格転嫁・取引ルールの変化を押さえます。

国内企業物価指数(鉄鋼・部品関連品目) 2020年=100、年平均(2026年は8月)。日本銀行。
素材の「鉄鋼」は2023年の154.6をピークに下がったものの、2026年8月でも146.6と2020年より約5割高い水準です。部品側の「ボルト・ナット」は131.4→132.8、「機械用銑鉄鋳物」は141.4と、2025年以降も上がり続けています。素材の値下がりが部品価格に届く前に、労務費とエネルギーが上乗せされている形です。
東京製鉄 H形鋼(SS400)の販売価格 各年1月、円/t。2026年10月は発表済みの価格。
2021年1月の9.3万円から2024年1月の12.7万円まで+37%。2026年1月には10.3万円まで下がりましたが、10月は11.6万円へ再び引き上げられました。2020年はサイズ区分が異なります(150×75〜250×125)。
価格転嫁率(コスト要素別) 中小企業庁 価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査、受注側の業種別。
金属全業種
「金属」の総合転嫁率は55.8%(全業種54.2%)、32業種中10位。原材料は6割転嫁できる一方、労務費は5割にとどまります。機械製造は63.9%で4位でした。
7.0
「金属」を発注する側の価格交渉の点数(10点満点)。全体7.39点で、32業種中22位と下位
中小企業庁 2026年6月
9.4%
金属の取引で「交渉を希望したが行われなかった」割合(全体6.7%)
同上
54.4%
近畿の発注企業の転嫁率。兵庫56.7%、京都54.6%、大阪54.5%、和歌山・滋賀51.8%、奈良50.2%
同上

2026年1月施行「取適法」で変わったこと

一方的な
代金決定の禁止
協議に応じない、必要な説明をしない形での代金決定が禁止に。受注側が根拠を持って値上げを申し入れれば、発注側は協議に応じる義務がある
手形払の禁止
手形払いは禁止。電子記録債権なども支払期日までに満額を得にくいものは不可。支払は受領から60日以内
対象の拡大
資本金に加え従業員数(製造委託は300人)でも対象に。金型以外の型、製品の運送委託も対象。名称は委託事業者/中小受託事業者に
マーケティング上の含意:価格転嫁は「交渉力」だけでなく説明資料の質で決まる時代になりました。材料単価の推移、工程ごとの工数、エネルギー単価を示した見積根拠を定型化している会社ほど、法改正の追い風を受けられます。これは新規の引合いに対しても「見積が明快な会社」という差別化になります。
CHAPTER 5

人・承継・脱炭素 ── 供給側の制約が差別化の材料になる

加工できる会社が減る一方、人は採れない。この需給のずれが、残る会社の交渉力を高めます。

有効求人倍率(金属加工関連の職種) 2026年7月、原数値。大阪労働局・兵庫労働局。
大阪の金属製品の製造・加工処理工は1.78倍(前年同月1.70倍)と、全職業(1.00倍)の1.8倍の採りにくさです。兵庫では2.16倍に達します。
後継者不在率(府県別・全業種) 帝国データバンク 2025年。
全国は50.1%で7年連続の低下。業種別では「鉄鋼・非鉄・金属製品製造」は42.9%(前年44.4%)、近畿の製造業は38.7%と相対的に承継が進んでいます。それでも4割強の会社は後継者が決まっていません。
1,186
2025年 全国の製造業倒産(+3.9%)。2026年上半期は580件(−0.5%)
東京商工リサーチ
1,415
2026年上半期 近畿の企業倒産(+8.6%)。2025年は大阪1,268件・兵庫624件(帝国データバンク)
東京商工リサーチ
21.3%
取引先から脱炭素の要請を受けている中小企業。排出量の把握・削減目標の要請は製造業が他業種の倍以上
日本商工会議所 2025年
25.9%
要請を受けた企業のうち、取引先から支援を受けている割合。多くは自力対応
同上
マーケティング上の含意:倒産・廃業で協力工場を失った発注者は、代わりの加工先を探しています。「事業承継済み・若手技能者が在籍・設備更新済み」は、発注者にとっての供給継続性の証明です。CO2排出量の算定ができること(製品1個あたりの排出量を出せること)も、大手の調達基準に入り始めています。採用と営業は同じ情報(設備・技術・人)で動くので、Web上の発信は一本化するのが効率的です。
CHAPTER 6

発注側の探し方と販路 ── 「検索」と「紹介」と「展示会」

新しい加工先・仕入先を探す発注担当者の行動と、関西で使える販路を整理します。

BtoBの発注先を探すときの情報源(複数回答) Piftee「BtoB発注先選定におけるAI検索活用の実態調査2026」2026年5〜6月、n=196、業種横断。
最初に使う手段は検索が48.0%、既存取引先18.4%、紹介10.7%、生成AI検索9.7%。製造業の回答者(n=37)の78.4%が生成AI検索を使ったことがあります。

発注側が見ているもの

  • 事例と会社概要。購買担当者がWebサイトで重視する情報は「導入事例」65.7%、「会社概要」50.9%。問い合わせには約9割が24時間以内の返信を期待(サイトエンジン 2022年、n=218)。
  • 分かりやすさと誠実さ。取引先を決める差別化要素は「製品・サービス情報の分かりやすさ」52.3%、「誠実さ」45.0%、「実績・知名度」37.6%。信頼できない発信を見て取引を見送った経験は44.9%(IDEATECH 2025年、n=109)。
  • 調達側の悩みはコストと人手。製造業従事者の72.2%が「調達コストの上昇」、51.0%が「人手不足」のリスクが増すと回答(キャディ 2024年、n=1,200)。値上げ要請への対応が調達業務を難しくしている要因の約75%。
注意:上記はいずれも民間企業(SEO・PR・製造DX事業者)の調査で、業種横断の小標本です。製造業の購買担当に限った中立的な公的調査は見つかりませんでした。傾向の把握にとどめてください。

中小製造業のWeb発信はまだ手薄

37.2%
大阪の中小製造業でデジタル化に「取り組んでいる」割合。SNSを活用しているのは36.9%
大阪シティ信用金庫 2025年9月(製造業n=425)
48.0%
BtoBの小規模事業者で「自社ホームページの作成・更新」に取り組んでいる割合
小規模企業白書2025(n=6,801)
28.3%
八尾市の製造業で自社ホームページが「有る」割合。2014年の古い調査だが、製造業に限った公的数値はこれが最新
八尾市 製造業実態調査(n=1,394)

関西の主な展示会・商談会

展示会会期・会場規模使いどころ
ものづくりワールド大阪(機械要素技術展ほか)2026年10月7〜9日 インテックス大阪出展1,100社・来場31,000名(予定)
2025年:1,024社・30,615名
関西最大。設計・調達担当が部品・加工先を探しに来る。加工技術ゾーンへの出展が王道
INTERMOLD/金型展/金属プレス加工技術展大阪開催は偶数年4月 インテックス大阪(2027年は東京)2024大阪:395社・37,057人金型・プレス・鍛造の専門展。技術者の来場比率が高い
国際フロンティア産業メッセ毎年9月 神戸国際展示場2025年:550社・団体、約14,700人兵庫の産業機械・素形材企業が集まる。行政・支援機関との接点
大阪勧業展毎年12月 マイドームおおさか2025年:358企業・団体大阪商工会議所主催。地元の販路・協業先探し
京都ビジネス交流フェア毎年2月 京都パルスプラザ2026年:201社24団体、約6,200名京都の精密加工・電子部品の発注企業との接点
MOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)常設(東大阪)常設展示・出張展示商談会大手工場に出向く出張商談会(例:ジェイテクト国分工場)。大阪府の支援拠点

受発注プラットフォームは「販路」でもあり「競合」でもある

サービス規模中小加工業にとっての位置
NCネットワーク「エミダス」会員23,744社。工場検索の関西掲載3,099件(大阪1,996・兵庫466・京都340・滋賀165・奈良86・和歌山46)販路。ただし関西だけで3,000社が並ぶ。掲載内容の差がそのまま受注差になる
イプロスものづくり閲覧会員約196万人、出展企業47,906社(2026年5月末)販路。技術資料のダウンロードで設計者のリードを取る
ミスミ meviy利用者24万人超。板金・切削・溶接を3D CADから自動見積・即納。マーケットプレイスでパートナー加工会社も募集競合(単品・標準加工を吸収)。一方でマーケットプレイスは販路にもなる
キャディ(CADDi)受発注事業は2024年に製造業向けAIデータ基盤へ統合。2026年9月にシリーズDで177億円調達発注者側の調達データ化を進める存在。図面と実績がデータで比べられる時代への対応が必要
マーケティング上の含意:「簡単な単品加工」は自動見積サービスに流れていきます。中小の加工会社が勝てるのは、難削材・大物・複合工程(切削+溶接+熱処理+めっきの一貫)・短納期の相談対応といった、自動化しにくい領域です。そこを検索・プラットフォーム・展示会で同じ言葉で打ち出し、自社サイトを受け皿にするのが基本形になります。
CHAPTER 7

競合と商流 ── 素材・商社・部品・加工の四層

関西に本社を置く主な企業を、商流上の位置で整理します(売上は最新期、連結)。

関西本社の主な鉄鋼・部品・商社(最新期売上高) 単位:億円。2026年3月期(クボタ・トラスコ中山・MonotaROは2025年12月期)。
素材(高炉・電炉・特殊鋼)二次加工・部品商社・MRO EC
素材メーカーの2025年度は神戸製鋼所(−4.6%)、大阪製鐵(−18.3%)、中山製鋼所(−12.4%)など軒並み減収で、鋼材の数量減を映しています。一方で山陽特殊製鋼は+3.7%の増収でした。部品側では椿本チエイン・NTNなど機械要素の大手が関西に本社を構えます。クボタ(3兆189億円)・阪和興業(2兆6,627億円)は目盛りの外に値を表示しています。

商流の中での中小加工業の位置

  • 素材:日本製鉄関西製鉄所(和歌山・大阪・堺・尼崎)、神戸製鋼所、山陽特殊製鋼、電炉の共英製鋼・大阪製鐵・合同製鐵・大和工業。鋼材は商社・特約店(阪和興業ほか)経由で加工業に届く。
  • 商社・MRO:山善・トラスコ中山・MonotaRO・サンコーインダストリー(ねじ)。標準品はECで即日調達される時代になり、特注品・図面品が中小加工業の主戦場
  • 部品・二次加工:丸一鋼管、ヨドコウ、神鋼鋼線工業、栗本鐵工所、虹技、ニチダイ、NTN、椿本チエイン、フジキン。こうした中堅・大手が中小加工業の主要な発注元でもある。
  • 中小加工業:東大阪・八尾・大阪市東部・播磨の数千社。発注元の多くは既存の系列・紹介で、新規開拓の経路を持たない会社が多い

本当の競合は「同じ集積の同業」

  • 発注者は検索やプラットフォームで近隣の複数社を並べて比べます。エミダスだけで関西3,099件、大阪府の金属製品事業所3,682。
  • 比較されるのは対応材質・最大加工サイズ・精度・ロット・納期・保有設備・認証(ISO9001/IATF16949)・一貫対応の範囲。これが公開されていない会社は、候補にすら入りません。
  • 単品・標準加工はmeviyなどの自動見積、標準部品はMonotaROなどのECと競合します。「相談しないと決まらない仕事」を取りに行くのが中小の正攻法です。
CHAPTER 8

マーケティングへの示唆 ── 「見つけてもらえる加工会社」になる

ここまでのデータから、関西の鉄鋼部品メーカー・加工会社が取るべき打ち手を整理します。

1. 「図面どおり加工」を、検索される言葉に翻訳する

東大阪の工場の64.3%は受託加工で、外から違いが見えません。発注者は「材質×加工法×地域」(例:「SUS304 切削 小ロット 大阪」「S45C 高周波焼入れ 東大阪」「製缶 溶接 架台 八尾」)で探します。対応材質・最大サイズ・公差・ロット・納期・設備一覧を1ページずつ用意し、加工事例を写真と数値で載せることが最優先です(購買者の65.7%が事例を重視)。

2. 伸びている需要家に寄せる

近畿の金属製品生産は2019年比−24.5%ですが、産業機械受注は過去最高、工作機械受注は2026年+40.9%、半導体製造装置は2年で1.4倍の予測です。装置メーカー・機械メーカーの設計者と調達担当が読む言葉(精度、一貫対応、試作から量産まで、図面相談)で発信し、自動車・建設に偏った取引構成を分散させます。

3. 見積の明快さを売りにする

取適法で発注者は協議に応じる義務を負い、手形も禁止されました。価格転嫁率は金属で55.8%、労務費は50.5%にとどまります。材料単価・工数・エネルギー費の根拠を示せる見積書の型を持ち、Webにも「お見積りの考え方」を公開すると、既存先との交渉と新規の信頼獲得の両方に効きます。

4. プラットフォームは入口、自社サイトは受け皿

エミダス・イプロス・meviyマーケットプレイスは新規接点として有効ですが、関西だけで数千社が並びます。掲載ページは「一貫対応の範囲」と「得意な仕事」に絞って差をつけ、詳しい技術情報と問い合わせは自社サイトで受ける導線にします。問い合わせには24時間以内の一次返信を仕組み化します。

5. 展示会は「前後」で成果が決まる

ものづくりワールド大阪(2026年10月7〜9日、31,000名予定)が関西最大の接点です。出展するなら事前の既存・見込み客への案内、ブースで見せる加工サンプルと事例、会期後1週間以内の名刺フォローまでを一つの計画にします。出展しない場合も、来場して発注企業の出展傾向を調べる価値があります。

6. 採用・承継・脱炭素を「供給の安心」として見せる

金属加工の求人倍率は大阪1.78倍・兵庫2.16倍。倒産や廃業で加工先を失った発注者は「長く付き合える会社」を探しています。若手技能者の在籍、設備更新、事業承継の状況、CO2排出量の算定対応を発信すれば、営業と採用の両方に効きます。生成AI検索が発注先探しの入口になりつつあり、事実が整理されたサイトほど引用されやすくなります。

ご提案:貴社のデータをお預かりできれば、貴社専用の営業・Web戦略にできます

本資料は公的統計と業界調査に基づく関西全体の汎用版です。以下の情報をお預かりできれば、貴社の強みと取引構成に合わせて、狙うべき業界・発注先・キーワード・媒体配分をご提案します。

取引先別の売上(過去3年)

取引先名・業種・品目・金額。自動車・建設・機械・半導体のどこにどれだけ依存しているかを可視化し、伸びている需要家へ広げる優先順位を決めます。

引合い・見積の台帳

引合いの経路(紹介・Web・展示会・プラットフォーム)、見積金額、受注/失注と理由。経路別の受注率と受注単価を出し、営業の力点を見直します。

設備一覧と加工実績

保有設備、対応材質・最大サイズ・公差、代表的な加工品の写真。検索される言葉に翻訳した技術ページと事例の原稿に落とし込みます。

Webサイトのアクセスと問い合わせ

Googleアナリティクス・Search Consoleのデータ、問い合わせフォームの記録。どの検索語で見られ、どこで離脱しているかを把握してサイトを改善します。

展示会・商談会の実績

出展した展示会、獲得名刺数、その後の商談・受注。展示会ごとの費用対効果を出し、出展先と事前・事後の施策を設計します。

採用の応募経路

求人媒体・ハローワーク・自社サイト別の応募数と採用数。営業と採用で共通して使える発信(設備・技術・人)の設計に使います。

進め方:データはExcel・CSV・管理画面のエクスポートのままで結構です。お預かりから約2週間で、取引構成の分析・狙う業界と発注先のリスト・キーワード設計・年間の販促カレンダー(展示会・補助金公募の時期を含む)をまとめてご報告します。

SOURCES

出典と注意事項

  1. 経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」地域別統計表・産業別統計表・品目別統計表(2024年実績、2026年7月29日公表)。e-Stat https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200555&tstat=000001245387
  2. 東大阪市「製造業に関する実態・ニーズ調査」2025年3月(調査2024年6〜8月、n=538)。
  3. 近畿経済産業局「近畿地域鉱工業生産動向」2026年7月速報(2026年9月17日)、年次原指数。「管内経済動向」2026年9月。 https://www.kansai.meti.go.jp/
  4. 日本鉄鋼連盟「生産統計時系列」「用途別受注統計」2026年7月、「2026年度鉄鋼需要見通し」2025年12月。経済産業省「鋼材需要見通し(2026年7-9月期)」。
  5. 日本工作機械工業会「主要統計」「工作機械受注速報(2026年8月分)」。
  6. 日本産業機械工業会「産業機械受注(2025年度実績・2026年7月)」「2026年度受注見通し」2026年3月。
  7. 日本建設機械工業会「建設機械出荷金額(2025年度・2026年7月)」「建設機械需要予測」2026年8月。
  8. 日本半導体製造装置協会(SEAJ)「半導体・FPD製造装置需要予測」2026年7月。
  9. 日本鋳造協会「銑鉄鋳物生産」「都道府県別鋳物生産量」(原典は経済産業省 生産動態統計、従業者30人以上)。近畿鍛工品事業協同組合「鍛工品年間生産量推移」(組合員42社)。
  10. 日本銀行「国内企業物価指数」(2020年基準)鉄鋼・形鋼・機械構造用炭素鋼・鍛造品・機械用銑鉄鋳物・ボルト・ナット。
  11. 東京製鉄「販売価格表」2020年1月〜2026年10月。 https://www.tokyosteel.co.jp/salesprice/
  12. 大阪府・大阪市・MGM大阪「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」2026年7月31日版。
  13. 日本製鉄「高炉プロセスから電炉プロセスへの転換投資を決定」2025年5月30日。
  14. 大阪市 大規模事業リスク管理会議資料(なにわ筋線 2026年8月18日、淀川左岸線2期 2026年1月27日)。大阪府 大阪モノレール延伸事業 再評価説明資料。ソフトバンク(2025年3月14日)、KDDI(2026年1月22日)、東京建物(2026年1月30日)、関西電力(2024年9月12日)、神戸製鋼所(2026年5月18日)各社発表。
  15. 村田製作所「中期方針2027」、クボタ「中期経営計画2030」2026年2月、ダイフク(2026年5月28日)、兵庫県 フェニックス尼崎事業計画(2026年2月16日)、川崎重工(2026年6月23日)。
  16. 国土交通省鉄道局・鉄道建設・運輸施設整備支援機構「北陸新幹線(敦賀・新大阪間)に関するご説明資料」2024年10月。
  17. 経済産業省・中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査の結果について」2026年6月26日(回答69,625社)、同2025年9月分。
  18. 公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)リーフレット」2025年8月。中小企業庁「改正ポイント説明会資料」2025年10月。
  19. 大阪労働局「職種別有効求人・求職状況」2026年7月・2025年7月。兵庫労働局「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」。
  20. 帝国データバンク「全国・後継者不在率動向調査(2025年)」2025年11月21日、「近畿地区 後継者不在率動向調査」2025年12月8日、「全国企業倒産集計 2025年報」2026年1月13日。
  21. 東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」2025年年間・2026年上半期(2026年7月8日)。
  22. 日本商工会議所「2025年度 中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」2025年7月(n=1,828)。
  23. Piftee「BtoB発注先選定におけるAI検索活用の実態調査2026」(n=196)、IDEATECH「企業間取引の決定要因調査2025」(n=109)、サイトエンジン「購買者から見たWebサイトに関するアンケート」2022年(n=218)、キャディ「製造業の調達実態調査」2024年(n=1,200)。いずれも民間企業の調査。
  24. 大阪シティ信用金庫「中小企業のデジタル化への取り組み」2025年10月。中小企業庁「小規模企業白書2025」。八尾市「製造業実態調査報告書」2014年3月。東大阪市「ステキなモノがたり」2023年12月。
  25. ものづくりワールド大阪(RX Japan)来場者数・2026年展示会概要、INTERMOLD 実績データ、神戸国際展示場 開催実績、大阪商工会議所 大阪勧業展、京都産業21 京都ビジネス交流フェア、MOBIO(大阪産業局)。
  26. NCネットワーク(エミダス 会員数・工場検索、2026年9月18日取得)、イプロスものづくり(2026年5月末)、ミスミ meviy(2026年9月18日取得)、キャディ(2026年8月6日・9月15日発表)。
  27. 各社決算短信・決算説明資料(2026年3月期/2025年12月期):神戸製鋼所、山陽特殊製鋼、大阪製鐵、共英製鋼、中山製鋼所、合同製鐵、ヨドコウ、丸一鋼管、大和工業、神鋼鋼線工業、ニチダイ、栗本鐵工所、クボタ、虹技、NTN、椿本チエイン、阪和興業、山善、トラスコ中山、MonotaRO。フジキンは会社概要。日本製鉄関西製鉄所は製鉄所概要ページ。
注意事項:関西の合計値・全国シェアは経済構造実態調査の府県別数値をShidoが合算・算出したものです。市別の大阪市・堺市・神戸市は区別値の合計で、鉄鋼業は一部の区が秘匿(X)のため実際より小さくなります。細分類の全国順位は秘匿値を除いて算出しています。第6章の発注行動は民間調査で、製造業の購買担当に限った公的統計は存在しません。報道ベースの数値(工作機械受注の2026年見通し2兆円)は一次資料で未確認です。