株式会社Shido 調査レポート

学習塾業界向けマーケティング資料〈関西2府4県〉

作成 2026年9月対象 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山(近畿2府4県)対象業種 学習塾(集団指導・個別指導・中学受験・高校受験・大学受験予備校・映像授業)主な根拠 総務省 経済センサス・人口推計・家計調査/文部科学省 学校基本調査・子供の学習費調査/経済産業省/大阪市/東京商工リサーチ・帝国データバンク/各社IR

関西2府4県には10,021か所の学習塾があり、全国の18.9%を占めます。5〜19歳人口の全国比は16.4%なので、子どもの数に比べて塾が多い地域です。子どもは減り続け、0〜4歳は10〜14歳の8割を切りました。その一方で、関西の中学受験率は2026年に10.90%と過去最高になり、大阪の私立高校授業料の無償化や大阪市の塾代助成(月1万円)が、保護者の選択を大きく変えています。塾業界の売上は値上げで保たれていますが、倒産は3年続けて過去最多です。本資料は、関西の学習塾が「子どもが減る中で、選ばれ続ける」ための材料を、公的統計と業界データからまとめたものです。

10,021か所
関西の学習塾(2021年、個人経営を含む)。全国の18.9%、従業者7.9万人
1,462億円
関西の学習塾の売上(2020年、個人経営を除く実額)。Shido推計の市場規模は約1,700億円
10.90%
関西の中学受験率(2026年、過去最高)。受験者17,850人は4年連続の増加
78.6%
公立中3の通塾率(2023年度、全国)。塾代は年平均34.1万円
約94.5億円
大阪市の習い事・塾代助成の予算(2026年度)。小5〜中3の約10万人に月1万円
55件
学習塾の倒産(2025年、東京商工リサーチ)。3年連続の過去最多
CHAPTER 1

市場の全体像 ── 生徒は減り、単価で売上を保つ

経済産業省の「特定サービス産業動態統計」(大手中心の標本調査)と、後継の総務省統計で市場の流れを見ます。

学習塾の売上と受講生数の前年比 暦年(%)。経済産業省「特定サービス産業動態統計」。
売上高受講生数
受講生は2022年から3年続けて減りました。2024年は受講生が−2.1%でも売上は+2.1%で、生徒1人あたりの売上は約+4.3%(Shido計算)と、値上げで売上を保っています。この調査は2024年12月分で終了しました。
+2.6%
「学習塾,教養・技能教授業」の売上 2025年の前年比(総務省の後継統計)。2026年4〜6月は+0.9%
総務省 サービス産業動態統計調査 2026年6月分
66.2%
売上100億円以上の19社が学習塾業界の売上に占める割合。全体の31.8%は赤字
東京商工リサーチ 2023年度決算396社
約2倍
生徒募集のコストは「数年前の2倍」。売上5億円未満の中小塾は約4割が赤字
帝国データバンク 2026年1月
指標数値時点出典
学習塾(大手中心の標本)の売上5,934億円(+2.1%)、受講生1,415万人(延べ、−2.1%)2024年経済産業省 特定サービス産業動態統計
学習塾396社の売上合計5,431億円(+1.0%)、最終利益297億円(−3.8%)2023年度決算東京商工リサーチ
教育産業全体(主要15分野)2兆8,556億円(+0.7%)。学習塾・予備校は最大分野だが停滞傾向2024年度矢野経済研究所
全国の学習塾(経済センサス)53,014か所、従業者37.9万人2021年6月総務省・経済産業省
読み方:経済産業省の統計は大手を中心とした標本で、2020年7月に調査対象を見直したため水準に段差があります。本資料では前年比だけを使っています。学習塾・予備校市場の金額と業態別(集団・個別・映像など)の内訳は有料の白書にしか載っておらず、本資料では扱っていません。
CHAPTER 2

関西の規模と密度 ── 子どもの数に比べて塾が多い

総務省・経済産業省「経済センサス‐活動調査」(2021年6月)で、関西の学習塾の規模と、子どもの数に対する密度を見ます。

府県別 学習塾の事業所数 2021年6月、個人経営を含む全事業所。
関西計は10,021か所で全国の18.9%、従業者は78,533人で20.7%です。大阪府の3,982か所は東京(5,171)に次ぐ全国2位です。
5〜19歳人口1万人あたりの学習塾数 事業所は2021年6月、人口は2024年10月(Shido計算)。
関西の6府県はすべて全国(34.5)を上回ります。和歌山は52.9と全国平均の1.5倍で、小さな個人塾が多い構造です。子ども1人をめぐる塾どうしの競争は、東京より関西のほうが激しいと言えます。
地域全事業所 2021従業者 2021法人等の事業所 2016→2021売上 2020(億円)受講生 2021受講生÷5〜19歳人口
大阪府3,98232,3491,458→1,429(−2.0%)597137,24613.0%
兵庫県2,81720,808935→969(+3.6%)502104,22215.2%
京都府1,20711,100395→400(+1.3%)14829,7579.7%
滋賀県7285,983315→265(−15.9%)9921,12110.7%
奈良県7165,695295→255(−13.6%)8624,98915.4%
和歌山県5712,598117→98(−16.2%)308,7568.1%
関西計10,021(18.9%)78,533(20.7%)3,515→3,416(−2.8%)1,462(17.3%)326,09113.0%
全国53,014378,52118,285→18,850(+3.1%)8,4461,778,07211.6%

売上・受講生・2016年比較は「民営で個人経営を除く」事業所の数値です(全事業所の約3分の1)。受講生は調査日時点の在籍者数です。

関西の主要市の学習塾数 2021年6月、個人経営を含む全事業所。カッコ内は全産業の事業所に占める学習塾の割合。
全産業に占める学習塾の割合は、生駒市(2.55%)・西宮市(2.33%)・宝塚市(2.30%)・宇治市(2.09%)・草津市(2.08%)・川西市(2.00%)で高く、大阪市(0.62%)・京都市(0.90%)の約3倍です。子育て世帯が多い住宅都市ほど塾が密集しています。
Shido推計の方法:関西の実額は経済センサスの1,462億円(2020年、個人経営を除く)で、これが下限です。全国の学習塾・予備校市場「約9,850億円」(民間の二次情報、原典未確認)に関西の売上シェア17.3%を掛けると約1,700億円、シェアを16.4〜19.9%で振ると約1,620〜1,960億円になります。本資料では「約1,700億円」と表記します。
CHAPTER 3

子どもの数の変化 ── 20年で4分の1が減る

総務省「人口推計」と国立社会保障・人口問題研究所の将来推計から、塾の顧客になる子どもの数の変化を見ます。

0〜4歳人口 ÷ 10〜14歳人口 2024年10月1日(%、Shido計算)。10年後に塾の中心になる世代が、今の中心世代の何割か。
関西計は77.7%で、今の小5〜中3にあたる世代より、10年後の同じ世代は2割以上少なくなります。大阪府(82.2%)は関西で最も減りが小さく、奈良(71.8%)・和歌山(72.7%)は3割近く減ります。
府県別 0〜14歳人口の見通し 2020年=100。国立社会保障・人口問題研究所 2023年推計。
2030年2040年
関西の0〜14歳は2020年の244.6万人から2040年に182.0万人(−25.6%)になる見通しです。東京はほぼ横ばいで、関西との差が開きます。
主要市の0〜14歳人口の見通し 2040年の指数(2020年=100)。国立社会保障・人口問題研究所 2023年推計。
同じ関西でも、吹田・草津・豊中は2040年も子どもが9割近く残る一方、枚方・東大阪・奈良・宇治は3割以上減ります。教室の出店と統廃合は府県単位ではなく、市・校区単位で判断する必要があります。
114,748人
関西の出生数(2025年、概数)。全国の17.1%。全国は67.1万人で10年連続の減少
厚生労働省 人口動態統計(概数)
939,017人
関西の小学生(2025年5月)。中学生は507,530人。全国の小中学生は統計開始以来の最少
文部科学省 学校基本調査
+56,212人
大阪市の人口増加(2020→2025年、全国2位)。京都市は−32,010人、神戸市は−27,522人
総務省 令和7年国勢調査 速報
CHAPTER 4

受験環境の変化 ── 中学受験は過去最高、高校は「私立へ」

関西の塾需要を左右する3つの入試の変化を見ます。子どもの数は減っても、受験の形が変わることで塾の出番が生まれています。

関西の中学受験率 統一入試日の午前の受験者数÷近畿2府4県の小6児童数(%)。日能研関西の集計。
2026年は受験者17,850人(+267人)、受験率10.90%で過去最高です。小6が3,330人減った中で受験者が増えました。伸びの中心は大阪で、2025年の大阪府の受験率は12.2%です。一方、最難関9校の受験者は6,850人から6,350人に減り、中堅校や府内の学校に分散しています。首都圏の受験率は約18%で、関西にはまだ伸びる余地があります。2023年は正確な値が取れなかったため空けています。
私立中学校に通う生徒の割合 2025年5月1日、学校の所在地ベース(%、Shido計算)。
京都・奈良・大阪は全国(8.0%)を上回りますが、東京(26.7%)の半分程度です。滋賀は3.4%と私立の選択肢が少ない県です。

大阪の私立高校授業料の無償化と、公立高校の定員割れ

  • 仕組み。国の就学支援金に府の補助を上乗せし、私立高校の授業料を年63万円まで無償にする。超えた分は学校が負担する。2024年度に高3から始まり、2026年度に全学年に広がった。所得の制限はない。
  • 私立専願が増えた。2026年度の私立高校の専願率は36.65%で3年連続の最高(報道)。専願だけで定員を満たした私立は37校(+11校)。
  • 公立は定員割れが常態化。2026年度の大阪府公立高校(全日制)の一般選抜は1.05倍。1倍を下回った学校は約50校ある。上位校は豊中1.79倍、春日丘1.66倍、北野1.26倍と人気が集中する。
  • 国も無償化を拡大。2026年4月から国の就学支援金は所得制限をなくし、私立の上限を年45.7万円に引き上げた。
府県2026年度 公立高校入試倍率
大阪府一般選抜 全日制(募集31,847・志願33,422)1.05
兵庫県複数志願選抜(前年1.02)0.97
京都府前期選抜/中期選抜(中期の前年0.94)1.88/0.85
奈良県一次選抜(特色・一般を一本化)0.91
滋賀県全日制(一般の普通科は1.42)1.32
和歌山県一般選抜0.85

大阪は府教育委員会の志願者数(一次)。他府県・大阪の私立専願率は報道・塾の集計(二次)。

大学入学者のうち年内入試(総合型・学校推薦型)の割合 (%)。文部科学省「大学入学者選抜実施状況」。
学校推薦型総合型
2025年度は年内入試が53.6%と過半数になり、総合型は19.5%に伸びました(2025年度から集計区分が変わった点に注意)。私立大学では61.6%が年内入試です。
+10%
2026年度の私立大学の一般選抜の志願者(全国約331万人)。近大+11%、関大+9%、京産+29%と関西の大学も増加
各大学・報道(二次)
49.6万人
2026年1月の大学入学共通テスト志願者。2021年の53.5万人から減ったが、2年続けて前年並み
大学入試センター
5.7万人
関西の不登校の小中学生(2024年度)。1,000人あたり36〜40人。通信制高校の生徒は全国30.5万人
文部科学省 問題行動・不登校調査、学校基本調査
マーケティング上の含意:高校入試では「公立に受かるための塾」の価値が下がり、私立の上位コース・特待・内申点と、その先の大学入試(総合型と一般選抜の両方)を見据えた指導に需要が移っています。中学受験は難関校から中堅校・府内校へ裾野が広がり、小4〜小6の新しい層が塾を探し始めています。
CHAPTER 5

家計と通塾・塾代助成 ── 中3の8割が塾へ、大阪市は月1万円

文部科学省「子供の学習費調査」(2023年度)と総務省「家計調査」、大阪市の塾代助成の実績から、保護者の支出を見ます。

学年別の通塾率(公立) 2023年度、学習塾費を払った人の割合(%)。全国。
公立中3は78.6%が塾に通い、小6でも53.1%です。高校に入ると3割台に下がり、高3で45.7%に戻ります。
学年別の学習塾費(公立) 2023年度、塾に行っていない子を含む1人あたりの年額、単位:万円。全国。
中3は平均34.1万円で、塾に通う人だけで見ると公立中は年34.9万円です。公立中学生の約4人に1人は年40万円以上を払っています。公立中の学校外活動費のうち64.7%が塾代です。
補習教育(塾など)への年間支出 2025年、二人以上の世帯、単位:円。カッコ内は52市中の順位。総務省「家計調査」。
関西では堺市(9位)・大阪市(17位)・奈良市(18位)が全国平均を上回り、京都市(41位)・神戸市(37位)は大きく下回ります。首都圏の上位市とは2倍前後の差があります。単年の値は標本が小さく振れやすいため、目安として見てください。
大阪市 習い事・塾代助成に参加する教室の数 各年12月末(2024年は1月末と12月末)。大阪市。
2024年10月に所得制限をなくしてから、参加教室は1年で1,200以上増えました。2025年12月の5,261教室のうち、学習塾が2,643、学習塾と文化教室の併設が585です。大阪市の隣の11市の教室やオンライン塾も登録できます。
大阪市 習い事・塾代助成事業内容
対象と金額市内に住む小5〜中3(約10万人)。塾・家庭教師・文化教室・スポーツ教室の費用を月1万円まで助成。2024年10月に所得制限を撤廃。2026年度からICカードをやめ、スマホで申し込むクーポンに切り替え
交付率(2026年1月)小5・6は86.3%(34,357人)、中学生は84.6%(51,224人)。所得制限があった頃は60%台
利用率(2025年11月)小5・6は67.6%(26,908人)、中学生は64.9%(39,317人)。中学生の利用者は所得制限撤廃前の約1.7万人から約3.9万人に倍増
予算2025年度 約98.5億円 → 2026年度 約94.5億円
ほかの自治体吹田市は小4〜中3に月1万円(所得制限あり、2026年4月に小4へ拡大)。所得制限なしで全員に出しているのは、確認できた範囲では大阪市だけ
読み方:助成を「交付されたが使っていない」子どもが、小5・6で約7,400人、中学生で約11,900人います(交付者数と利用者数の差、Shido計算、時点が2か月ずれる)。大阪市内と隣接11市の塾にとっては、すでにクーポンを持っている未利用の家庭が大きな見込み客です。
CHAPTER 6

競合の構造 ── 地場の集団塾と、全国の個別指導チェーン

主要な塾の関西の教室数を、2026年9月22日に各社の公式サイトから数えました。

主要な塾の関西の教室数(府県別) 2026年9月22日。
大阪兵庫京都滋賀奈良和歌山
教室数では明光義塾(221)・スクールIE(162)・京進スクール・ワン(130)など個別指導のチェーンが上位を占めます。京進系・ゴールフリーは京都・滋賀、Axis・WAMは和歌山にも厚く、府県ごとに主役が違います。馬渕教室は府県別の総数が示されていないため下限値、東進はリンク数からの参考値です。
企業決算期売上(前年比)営業利益生徒・教室動き
馬渕教育グループ(大阪、非上場)2025年3月期260.5億円非公表5.56万人以上、310校以上関西の集団塾の最大手
京進(京都)2026年2月期(9か月の変則決算)202.9億円4.8億円期中平均36,159名京都・滋賀が地盤。個別指導スクール・ワンと保育・介護も展開
ワオ・コーポレーション(大阪、非上場)2025年3月期167.3億円非公表800校以上(Axis 500超)能開センターと個別指導Axis
成学社(大阪)2026年3月期151.6億円(+6.1%)9.8億円(+25.8%)在籍28,010人、直営277+FC52開成教育セミナー・個別指導学院フリーステップ
ウィザス(大阪)2025年3月期219.9億円(+6.3%)16.8億円(−14.8%)非公表第一ゼミナール。2025年9月に上場廃止
明光ネットワークジャパン2025年8月期248.3億円(+10.0%)16.9億円(+67.4%)明光義塾1,631教室、90,177名関西は221教室(大阪93)
ナガセ(東進)2026年3月期641.8億円(+16.2%)59.8億円(+22.9%)東進衛星予備校 FC920傘下に木村塾など関西の地場塾

月謝の目安(二次情報)

  • 集団指導。関西大手の高校受験コースで、中3は週1回2科目27,500円〜5科目37,400円(月・税込)。年間授業料は講習を除いて21万〜33万円。
  • 個別指導。保護者調査の平均で小6・中3が月2.5万円、高3が3.5万円。コマ数で月1.2万〜7万円台まで幅がある。
  • 値上げ。映像授業の大手は2025年4月に通期講座を7.1%値上げ。首都圏の中学受験塾も2025年に4〜10%値上げした。

多くの塾は公式サイトに金額を載せておらず、比較サイト・保護者調査の二次情報です。

関西の競合の特徴

  • 地場の集団塾が強い。馬渕・京進・成学社・能開・浜学園・希学園・日能研関西など、関西発の集団塾と中学受験塾が層をなす。
  • 個別指導は全国チェーンのFC。明光義塾・スクールIE・個別指導キャンパスなど、FC加盟の個別指導が住宅地の駅前に並ぶ。
  • 再編が進む。ウィザス・東京個別指導学院の上場廃止、ナガセによる地場塾の買収、ベネッセ系への集約など、大手による統合が続く。
CHAPTER 7

逆風とリスク ── 過去最多の倒産、講師不足、募集コスト

子どもの減少と大手への集中で、小規模な塾の撤退が増えています。

学習塾の倒産件数 負債1,000万円以上。帝国データバンク。
帝国データバンクで2025年は46件、東京商工リサーチでは55件(3年連続の過去最多)です。数え方が違うため件数は一致しません。2023年は近畿が18件で全国最多、2025年1〜9月は大阪府が7件で東京に次ぐ2位でした。倒産の9割超は従業員5人未満の塾です。

倒産・撤退の背景

  • 子どもの減少。6〜18歳人口は2019年から2024年に約5%減った(帝国データバンク)。
  • 大手・オンラインとの競争。売上100億円以上の19社が業界売上の66.2%を占め、映像授業やアプリも広がった。
  • 講師不足と人件費。講師の89%は非常勤で、大学生のアルバイト頼み。最低賃金・家賃・電気代の上昇が小規模塾の利益を削る。
  • 休廃業も多い。2024年は倒産53件に加え、休廃業・解散が195件あった(東京商工リサーチ)。
関西で起きていること内容
子どもの二極化大阪市・吹田・豊中・草津は子どもが比較的保たれ、奈良・和歌山・枚方・東大阪は2040年に3割以上減る
高校入試の構造変化大阪の私学無償化で私立専願が増え、公立高校は約50校が定員割れ。公立入試対策だけの塾は需要が細る
学力の課題2025年度の全国学力調査で、大阪・滋賀・和歌山の中3国語は全国平均を下回る(大阪52、全国54.3)。補習ニーズは根強い
学校以外の学びの場関西の不登校の小中学生は5.7万人。大阪府の通信制高校の生徒は19,326人。個別指導・オンライン・居場所型の需要が広がる
CHAPTER 8

Shidoからのご提案
「近さ」と「口コミ」を、入試の変化に合わせて設計する

ここまでのデータと保護者調査から、関西の学習塾が取るべき打ち手を整理します。保護者が塾を選ぶ基準の1位は「近い」(49.7%)、通塾のきっかけの1位は「知人・友人の口コミ」(47.0%)でした(POPER 2022年、保護者n=300)。

1. 校区単位で商圏を見直す

子どもの減り方は市によって大きく違い、関西は子ども1万人あたりの塾が全府県で全国より多い地域です。小学校区ごとの児童数の見通しと競合教室の位置を重ね、チラシの配布範囲・教室の統廃合・新規出店を校区単位で判断します。

Shidoができること:校区別の児童数と競合教室を重ねた商圏分析(リサーチ&インサイト)、校区ごとにチラシの配布範囲を分けるデザインと地域向け広告(デザイン/マス・メディア広告)。

2. 大阪市の塾代助成を「入口」にする

クーポンを交付されたのに使っていない子どもが約2万人います。「助成で月謝の実質負担がいくらになるか」を料金表に明記し、2026年度から始まったスマホのクーポン申請の手順まで案内すると、初めて塾を探す家庭の不安を取り除けます。隣接11市の塾も対象になります。

Shidoができること:助成後の実質月謝を明記した料金表とクーポン申請手順の案内ページの制作(Webサイト・コンテンツ制作)、検索広告での集客(デジタルマーケティング)。

3. 高校入試は「私立と内申」、その先の大学入試まで語る

大阪では私立専願が3年連続で過去最高になり、公立の平均倍率は1.05倍です。「公立に合格させる」だけでは選ばれにくくなりました。私立の上位コース・特待の実績、内申点の対策、総合型選抜まで見据えた中高一貫の指導を打ち出し、中1から長く通う理由をつくります。

Shidoができること:私立コース・内申対策・総合型選抜までを伝える塾のメッセージ設計(ブランディング戦略)、指導内容を見せるWebサイトと合格までの流れの紹介コンテンツ制作(Webサイト・コンテンツ制作)。

4. 中学受験の「新しい層」を取り込む

関西の中学受験率は過去最高の10.90%で、伸びているのは難関校ではなく中堅校・府内校です。初めて受験を考える小3〜小4の保護者向けの説明会、受験するかどうかを決める前の体験が有効です。首都圏との差(約18%)を考えると、まだ伸びる市場です。

Shidoができること:小3〜小4の保護者向け説明会・体験会の告知ページと広告の制作(Webサイト・コンテンツ制作/デジタルマーケティング)、教室の雰囲気を伝える紹介動画(撮影・映像制作)。

5. 口コミが生まれる仕組みをつくる

通塾のきっかけの47.0%は口コミ、72.4%の保護者が「塾は一度入ると変えにくい」と答えています。兄弟・友人紹介の特典、成績と面談の報告をLINEで保護者に届ける仕組み、Googleの口コミを依頼するタイミングを決め、在籍生の満足を新しい入塾につなげます。保護者の5割はLINE・メールでの連絡を望んでいますが、塾の7割は電話で連絡しています。

Shidoができること:LINE公式アカウントでの面談報告・連絡の設計(SNSマーケティング)、紹介特典のチラシ・カードのデザインと、Googleの口コミ導線の整備(デザイン/デジタルマーケティング)。

6. 個別・オンライン・居場所の需要に応える

関西の不登校の小中学生は5.7万人、中学生の塾は個別指導の割合が上がっています。少人数・個別・オンライン併用の選択肢と、学校に通いにくい子の受け入れ方針をWebで明示すると、大手が取りこぼす層に選ばれます。講師不足の中で、映像教材やAI教材との組み合わせも検討します。

Shidoができること:個別・オンライン併用の受け入れ方針と通いやすさを伝えるWebサイトの制作(Webサイト・コンテンツ制作)、授業やサポート体制の紹介動画(撮影・映像制作)、保護者向けの情報発信(SNSマーケティング)。

ご提案:貴塾のデータをお預かりできれば、貴塾専用の生徒募集戦略にできます

本資料は公的統計と業界調査に基づく関西全体の汎用版です。以下の情報をお預かりできれば、貴塾の商圏と生徒の実態に合わせて、狙うべき学年・校区・広告媒体・入塾時期をご提案できます。

生徒台帳(匿名で可)

学年・在籍校・住所の町名・入塾月・退塾月。どの校区から、何年生で入り、いつ辞めているかを地図と数字で出します。

問い合わせ・体験授業の記録

月別の問い合わせ数、体験から入塾への転換率、入塾しなかった理由。募集のピークと取りこぼしを見つけます。

入塾経路

紹介・チラシ・Web検索・Googleマップ・看板・SNSごとの入塾数。経路別の入塾単価を出し、広告の配分を見直します。

成績・合格実績

定期テスト・模試の伸び、合格校・進学先。保護者に響く実績の見せ方と、校区ごとの訴求の違いを設計します。

Webサイト・Googleビジネスプロフィール

検索語句・経路検索・電話数、サイトの流入と離脱。近隣の競合塾と比べた見え方を点検します。

料金・講習・塾代助成の利用状況

コース別の月謝、講習の申込率、助成クーポンの利用者数。実質負担の見せ方と、講習から通年への移行を設計します。

進め方:データはExcel・CSV・管理画面のエクスポートのままで結構です。お預かりから2週間で、商圏と生徒の分析、狙うべき学年と校区のリスト、広告媒体と予算配分、年間の募集カレンダー(春期・夏期・冬期講習と入試日程を含む)をまとめてご報告します。

SOURCES

出典と注意事項

  1. 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」サービス関連産業 第6表(学習塾、都道府県別、statInfId=000040033001)、第9-1A表・第9-1B表(産業小分類別、市区町村別)。「平成28年経済センサス‐活動調査」第13表。e-Stat https://www.e-stat.go.jp/
  2. 経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」長期時系列表 学習塾(statInfId=000028878232、2025年3月19日更新)。総務省「サービス産業動態統計調査 2026年6月分(速報)」。
  3. 矢野経済研究所「教育産業市場に関する調査」2025年10月7日。東京商工リサーチ「学習塾の業績」「学習塾の倒産」(2023〜2025年)。帝国データバンク「学習塾の倒産動向」(2024年1〜10月、2025年1〜9月)、「学習塾業界の動向」2026年1月。
  4. 総務省「人口推計(2024年10月1日現在)」参考表9・第10表、「令和7年国勢調査 人口速報集計」。厚生労働省「令和7年人口動態統計月報年計(概数)」。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」。
  5. 文部科学省「令和7年度学校基本調査」(小学校・中学校・通信制高校・大学等進学者)、「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」、「令和7年度大学入学者選抜実施状況」、「令和7年度全国学力・学習状況調査」(国立教育政策研究所 都道府県別集計)。大学入試センター「令和8年度大学入学共通テスト志願者数」。
  6. 文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」(statInfId=000040233711、2026年1月16日訂正版)、令和3年度・平成30年度。
  7. 総務省「家計調査(二人以上の世帯)」2025年 品目別(補習教育、都市別)。
  8. 大阪市「習い事・塾代助成事業 実施状況」令和8年1月末・令和7年1月末・令和6年1月末、こども青少年局「令和8年度予算事業一覧」。吹田市「子供の習い事費用助成事業」。
  9. 大阪府教育委員会「令和8年度大阪府公立高等学校一般入学者選抜 志願者数」。文部科学省「高等学校等就学支援金制度」。大阪の私立専願率・他府県の倍率は新聞報道・進学情報サイトの集計(二次)。
  10. 日能研関西 森永直樹「関西の中学入試」コラム(中学受験.JP、2026年3月3日ほか)。首都圏の受験率は首都圏模試センター(二次)。
  11. 各社公式サイトの教室検索(2026年9月22日取得):明光義塾、スクールIE、京進スクール・ワン、京進の中学・高校受験TOPΣ、個別指導Axis、個別指導WAM、ゴールフリー、河合塾、東進衛星予備校、馬渕教室、立志館ゼミナール(二次)、希学園。
  12. 各社決算資料:成学社 2026年3月期決算短信、京進 2026年2月期決算短信、ウィザス 2025年3月期決算短信、明光ネットワークジャパン 2025年8月期決算短信、ナガセ 2026年3月期決算短信。馬渕教育グループ・ワオ・コーポレーションは会社概要。
  13. 民間調査:POPER「塾選びに関する保護者調査」2022年4月(n=300)、アメ塾「塾選びに関する調査」2022年(n=614)。月謝は塾シル・塾選など比較サイト(二次)。
注意事項:関西の学習塾の売上は経済センサス(2020年実績、個人経営を除く)の実額で、市場規模約1,700億円は全国市場の二次情報に関西のシェアを掛けたShido推計です。子ども1万人あたりの塾の数は、事業所が2021年6月、人口が2024年10月で時点がずれています。教室数は各社公式サイトの2026年9月22日時点の表示で、成基学園・浜学園・日能研関西・第一ゼミナールなどは府県別の数を取れなかったため図に含めていません。中学受験率は出典ごとに定義が違うため、日能研関西の集計にそろえました。家計調査の都市別の単年値は標本が小さく振れやすいため、目安として見てください。民間調査は標本が小さく、傾向の把握にとどめてください。